7-01-04 爆弾宣言
この第三調洋丸から、本日の日中に行われた上陸についての説明が行われている。
「岡野教授、解説ありがとうございました。
それでは引き続き、この島の発見者であり、第一上陸者である加納慎二さんからのメッセージをお届けします。
それでは加納さん、よろしくお願いします」
ここまでの経過が話された後、いよいよ公式な発表の場に慎二が登場する。
これまで隠れた存在としてきた慎二であったが、これからは慎二が目立った位置で登場する事に成る
そして、カメラは緊張して待機していた慎二に向けられた。
「この発表をご覧の皆様、はじめまして。
私は、このプロジェクトの主催者である加納慎二と申します。
既にこのカオルチャンネルの配信を通じてお伝えしていますように、先週太平洋上の公海に出航しまして、本日私は無人島を発見し、そして私は島への上陸に成功しました。
事前調査におきましては、この周辺海域において、これまで先住人の有無を問わずに、人が上陸できるような島や岩礁など、陸地の存在は一切確認されておりませんでした。
そして、これまでの島周囲の調査船からの調査、本日実際の上陸による島内調査、ドローンによる上空からの調査結果をまとめて先ほど公開いたしました。
我々調査隊は実際に本島を調査し、島内を何周か移動して調査しました。 まあ、半日程度で調査が出来るほどの島です。
簡易的な調査となりますが、現時点で本島が無人島であることの確認調査は終了しました。
国連海洋法による島の定義、過去の調査、並びに今回の調査の結果を基に、この島が誰にも所有権が無い、無人島であることを宣言します」
ここで画面に大きな文字で、
『今世紀最後か⁉
所有者なき無人島が発見される!』
というテロップが表示された。
「また、この島は確認できる物では、所有者はおらず、どこの国にも属しておりません。
私は発見者と第一上陸した者として、私が本島の所有権を有し、そして排他的に占有することをここに宣言します。
そして、この島の名前を カノ島 と名付けます」
すると、画面に
『所有者は、加納慎二に決定。
島の名称は カノ島 に!』
とのテロップが表示される。
「次に、第一発見者である私は、かつて日本国籍を有していましたが、私は日本国籍を離脱しており、現在無国籍です。
そして、私は、今この時点から、この島をどこの国にも属さない、独立国家であることを宣言します。
新しいこの国の国名は カノ国 です」
『速報 独立国を宣言!
新国名は カノ国』 と言うテロップが表示された。
「次に、私はこのカノ国の初代国王となる事をここに宣言いたします。
また、本日ご来賓頂きました、こちら日本、フランス、台湾の各政府の代表の方々により、本日午後我が国家としての承認を頂くことが出来ました」
映像では、午後に行われたフランス代表のソフィと、日本、台湾政府関係者と全員で握手している時の船内風景が映し出されている。
「そして、この地に新たな独立国家が樹立したことをここに宣言します。
カノ国は、このカノ島および島の外周の海域を国際法で定められた範囲において、我が国の領土とすることを宣言します。
今後、我が国の許可なくして、武装の有無や理由の如何を問わず、我が国領土・領海・領空内への侵入を禁じます。
我々は、国是として、進歩的であること、経済的であること、そして平和であることを強く望みます。
しかし、現在・将来にわたり、わが国やわが国民に害をもたらす行為の行為が認められた場合、我が国は我が国の法に従い、我が国独自の方法で、それら排除・解決することを予めお伝えいたします。
また、それらの予兆を認められた場合、それを一方的に排除する権利を要する事をお伝えいたします。
最後に、我が国は連絡のための出先機関を、現在お世話になっている日本国に置きます。
国家として我が国への連絡を求める場合、先ずは日本国外務省を経由してわが国出先機関の連絡先をご確認ください。
我が国を承認いただき、国交や通商などを頂ける国家が御座いましたら早急なるご連絡をお待ちいたします。
なお、今回この島の発見は単なる偶然ではありません。
我々は、十万年以上前にこの地球に存在した先代からのメッセージを受け取りました。
準備を進め、指定の時にこの海域にやってまいりました。
そして島は、私がこの場所に来たことにより、姿を現してくれ、そして先代からの権利を私は引き継ぎました。
先代からの伝えでは、現在非常に狭い我が国領土であるこの島ですが、まだ開示されていない部分があり、それらは今後姿を見せるとの事です。
私からお伝えすることは以上です」
「以上で、新国家 加納慎二国王からの発表をお送りしました」
この日の夜のフランスのテレビニュースでこの会見が放送される予定だ。
そしてフランスからの素材は世界に配信されることになる。
日本でも放送されることになるが、日本はすでにその時間帯は深夜帯となるために、あまり大きなニュースとして取り扱われなかった。
そしてWeb配信を見た人以外には、一般にはさほど知られないことになる。
◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇
「ふー」
船内のミーティングルームの椅子でへたり込む俺。
先ほど行った宣言は、貴子のスレイトヘルパーであるシーの話や陛下の言葉に、西脇唯華が国家としての要件を加味し、それを俺がまとめた文章だ。
島の所有権の宣言に対しは、第三国からの横やりを排除すべく、発見と同時に日本、フランス、台湾という複数の国の政府関連の人物に立ち会ってもらった。
そして、それも一緒に中継された。 当然、何故その3国が一緒に立ち会っているのかと言う疑惑は生まれてくると思うが、そこは仕方がない。
そして探査する最初の時点から記録を残し、それをすべて開示してある。
あとから、昔この島に渡った祖先の記録があるなどと、無理矢理資料をでっち上げ、イチャモンを付けるのが国是としている国がいるからだ。
さらに、我々が去った後に、ここに勝手に上陸して、島を武装占拠されても困る。
そして、ここが価値が低い無人島であることを明確に示すためにも、発見時の面積さは、あえて小さくしてある。
そう、海上に露出している部分はほんの一部になっている。
それに狭い陸地範囲であるが為に、一日程度の探索でほぼ全体を歩くことが出来、速やかに調査結果が公表できた。
現在の島には、狭い砂で出来た陸地とそれを取り囲む僅かばかりの領海しかない。
また周囲に鉱脈等も確認されていない。
発生するとすれば、この海域での漁業権であろうが、陸地や大陸棚が無い太平洋のど真ん中では発生するプランクトンが少なく、多くの漁獲量は望めない。
ただ、この島が出来たことにより、浅瀬が出来たので、今後プランクトンは発生しやすくなると思う。
あえて軍事力により島を獲得をする為の費用対効果が得られないと思わせることと、国家樹立を宣言した際に、この国には国力もは無く脅威感を与えないこととが重要と考える。
大国がここに価値がないと勝手に判断してもらい、国家間の軋轢を発生させないことが、プロジェクト成功への課題の1つである。




