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6-05-01 準備完了


「今回を持ちまして、摩導具講座入門編を終了いたします。

 これまで、ご清聴ありがとうございました。

 まだ次の講座につきましては予定が出来ておりません。

 しばらくは皆様が独自で研究を頂くことをお願いします。

 そして、再びお会いできる機会が御座いましたら、またよろしくお願い申し上げます」


 割れんばかりの拍手の中、名古屋先端技術大学で行われていた石崎教授の摩導具の講座が終了した。

 この講座は、何種類かの摩導具について、その使い方や動作について簡単に説明を行い、実際にグループに分かれて実習を行う物であった。


 4月から始まった入門編は、予定した2か月4回の講義スケジュールを終えて、講座として無事に終了した。

 今回は原理や仕組みについては、エターナルとマナクリスタルの存在の紹介にとどまった。

 また、摩導パターンとマナクリスタルの組み合わせで摩導回路が作られている話などが行われた。

 どちらかというと、各自が摩導具を使える実習がメインであった、

 そこでは、それぞれ自分なりに考えてきた方法で摩導具をいろいろと試し、納得する人や、叫びだす人など面白いことになった。


 そして、受講生にはなんと、最後に摩導具のサンプルが配布された。

 第1回入門編の講座の終了記念品は、受講者全員に黒い光を作る摩導具が配られた。

 これをもって研究してくださいと言う意味で、それは配られた。



 この講座が行われる前に、石崎教授から招待状が送られて名古屋先端技術大学に集まった人たちがいる。

 その中から何名かは慎二がピックアップして、あらかじめ摩導具を広げる仲間になってもらった。

 あらかじめ選ばれた仲間は、いっしょに摩導具を研究すると言うよりも、既に実用化された摩導具により、俺達の国づくりの手伝いをお願いしている。


 今回の講座の参加者は、純粋に摩導具を自分たちで研究したいと思える人を選んで講座を開いた。

 今回はあくまで最初の発表会で配った招待状を持つ人だけですでに定員数を超えてしまったので、全員がすでに摩導具体験者である。

 彼らは、発表会で石崎教授から投げかけられた摩導具とは何だと言う問いかけに対して、それぞれ考えを持った人々であるので、みな真剣であった。

 当然、参加できなかった各方面の人達から問い合わせが入る事となる。

 しかし、既に国づくりが忙しくなっているために、以降の講座は石崎教授ではなく、慎二がピックアップをして仲間になってくれた人たちが教える事にしている。


 まあ、当面は入門編を何度か繰り返し、来年度から初級編を行う予定で、彼らに教材や講義内容についての検討をお願いしている。

 しかし、今その講座の受講申し込みが殺到しており、ものすごい倍率になっていると大学の事務局の人が話してくれた。

 まだ出来て数年であり、まだ世間にはほとんど認識してもらっていない大学にとって、これは大きな宣伝効果となったようで、事務局としては嬉しい悲鳴のようだ。



 ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇



 シーズン的にそろそろ貴薬草の探索は始まる時期ではあるが、貴子はまだ拠点の屋上農園で山下華代さんの牛の世話の手伝いをやっている。

 貴子の成長はほぼ安定したようで、17歳くらい年齢でほぼ固定されたようである。


 そして、いま貴子と言うと屋上農園の一画で植物栽培の実験を行っている。

 里の候補地からストレージに収集して来た土壌を、そのまま屋上の一部に展開して貴薬草が再現できないかを試している。

 また、新たな薬草を育てるための区画の準備を始めており、それが出来た後に貴薬草の探索に出るようだ。

 ただ、相棒の真希が南極基地へ行っているため、安全を考慮して誰か助手は必要と考えている。


 貴薬草と言うと、久しぶりに富沢漢方薬局、いや、今は富沢製薬 社長の由彦さんが会いたいと言ってきた。

 由彦さんの名古屋本社に来客が来ていて、その人を俺に会わせたいと言ってきたのだ。


 その来客は、富山の漢方薬店時代から丸薬や金の丸薬を買っていただいていた台湾のお客さんであった。

 彼はかつて台湾で商売をしており、かなり大きな会社に育て上げたらしいのだが、今は引退しているとの事。

 以前病気であった奥さんの治療に富沢漢方薬店の丸薬が役に立ったと、大変感謝されている。


 今回は以前のお礼もあるが、ぜひ金の丸薬を台湾にも欲しいと言う事であった。

 今、金の丸薬の配布については由彦さんに一任してあるが、国外配布となる場合の処理について相談したかったらしい。


 それと、そのお客さんは政府にもコネクションが有るらしく、今後国づくりが進んだ際に何か役に立つのではないかと言う事で、由彦さんは俺に引き合わせたかったらしい。

 タイミング的にちょうど良い時期なので、俺もそのお客さん、李さんにお会いする事にした。


 まあ、俺達の秘密をすべて話すことは出来ないが、国づくりについてを簡単に話し、台湾政府への協力が出来ないかという話を行った。

 台湾と友好関係が結べる事は有益であると考えている。



 ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇



 慎二たちと活動を始めたソフィ博士は、拠点の研究室で慎二と壮太と一緒に課題に挑戦していた。


 先日慎二たちは先日半導体工場を買収し、摩導化を行った。

 それは、シルクスクリーンによる摩導パターン作成の高密度化を行うために、高密度の露光設備である半導体工場のリソグラフィ技術を使う為である。

 しかし、ここには半導体製造設備が有るので、電子回路のような摩導回路が作れないかと考えているからだ。


 マナクリスタルの発振は電子回路で用いる水晶などと比べるとものすごく早い振動を行うことが出来る。

 そして、摩導回路もその発振速度に追従する。


 と言う事は、それらを利用する事で、現在とは比べ物にならない高速の電子回路が作れることを意味していた。

 それをベースに、俺たちは博士と新しい摩導具の開発を始めていた。


 それを実現するために、それらの回路の基本となるAND回路(論理積)OR回路(論理和)NOT回路(論理反転)を摩導回路で作った。 基本摩導ゲート回路である。

 これが揃うとロジック回路を作ることが出来るのだ。


 これを組み合わせる事で、現在の電子回路で用いられているロジック回路が移植できる事に成った。

 最初は、それら基本回路を用いて機能モジュールを組み立てた。 摩導IC回路である。


 それらを組み合わせて出来たものが、摩導CPUである。

 今後作られる摩導CPUチップを搭載した摩導具は、現世界やパラセルを通じて販売を行うことを予定しており、我が国の主要輸出産業の1つになる予定だ。


 最初は摩導8ビットCPUを作ったが、ものすごい速度で動作するので、あえて高ビット化しなくとも処理データが8ビットのままでも十分すぎる実用性があった。

 しかし、俺たちが目指すのは単純なデジタル回路や従来のCPUではない。


 俺達は多次元を扱うために、次元間の空間座標の計算を行う事が中心となる為に、ベクトル演算が必要となっている。

 これは現在の3次元空間に、次元空間を含んだ多次元での計算を必要としていた。


 であるため、論理演算を行う摩導ゲート回路ではあるが、基本データとして扱う値は、0と1の直流2値のようなデジタルのビットではなく、虚数域iを含む交流の多次元ベクトル的なアナログ要素に対する論理積や論理和など演算を扱い、現在の電子回路でいう、アナログとデジタルの両属性を兼ね備える事に成った。

 その摩導ゲート回路を組むことで、結果として多次元のベクトルを与え、それを直接ベクトル計算ができるコンピュータを作る事に成った。



 それを主にソフィに考えてもらい、俺たちはそれを実現する摩導モジュールの組み立てを行い、それにより新たなコンピュータを作る事に成った。

 その時に使用したのが、シリコンウェハではなく、北極工場で作っているマナクリスタルのインゴットを薄くスライスして作ったマナウェハである。


 磨かれたマナウェハに対して、半導体工場で露光を行い、マナインクで配線を行う事により新しい摩導CPUが出来上がった。


 このコンピュータは、今まで俺のスレイトのヘルパーであるアーの余剰演算機能を用いてお願いして来たが、それら電算処理を摩導コンピュータに移し替えるために造った。

 特に摩導通信によりインターネットの交換機能を充実するために、これまでアーにの代替えとして何台もの摩導コンピュータを使用して、置き換えを行う予定である。

 AI?であるアーが使っているパラセルのコンピューターの処理能力が如何に大きいかが思い知らされた。


 今、拠点には何個かのCPUが入った小さなラックが置かれている。

 このラックは摩導通信で摩導ネットワークにつながれ、世界各国に有るデータセンターのサーバーラックに接続されている。


 摩導CPUが作られたことで、データセンターに送ったサーバも同時に改良され、各データセンターのサーバー内にも摩導CPUを内蔵した。

 以前は、アーでないと高速な処理が出来なかったため、一旦アーに通信データをすべて集約して処理してきた。

 これでアーを通さずにデータセンター間で直接通信が可能となり、これで雑多な処理からアーを解放してあげることが出来た。


 拠点の摩導コンピュータでは、これから作る国で使用する莫大な数の摩導回路の摩導通信で送られてくる信号を処理する。

 無数にある摩導回路であるが、摩導通信によりそれぞれの現在の状態が拠点の摩導コンピュータで管理されており、


 また、今後はこの摩導コンピュータで摩導通貨であるパラスの管理を行う事に成る。


 そう、これで新しい国に向けた情報化の準備は整った。

 であるので、いよいよ国を立ち上げる日が近いと言う事だ。


 これで予定した国づくりの為の開発の一区切りを迎えたことになる。

 そして、ここからが国づくりの本番となるので、気を引き締めていく事を皆で誓った。


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本作パラセルと同じ世界をテーマとした新作を投稿中です。

太陽活動の異変により、電気という便利な技術が失われてしまった地球。

人類が生き残る事の為には、至急電気に代わる新たな文明を生み出す必要がある。

ルネサンス[復興]の女神様は、カノ国の摩導具により新たな文明の基礎となれるのか?

ルネサンスの女神様 - 明るい未来を目指して!

https://ncode.syosetu.com/n9588hk/

こちらもご支援お願いします。 亜之丸

 

この物語はフィクションです。

登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

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