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6-01-03 初公開


「では、今回皆様にお手紙を送らせていただきました、石崎礼一郎教授をご紹介させていただきます。

 石崎教授、それでは よろしくお願い申し上げます」



「あ、皆さん、多くの方は始めましてですね。

 また、古い方々は、以前 地球物理学教授をしていた石崎と言ったほうが、通りが良いのかもしれません。

 最近、こちらの大学に再び教授として迎えられました。

 今後ともよろしくお願い申し上げます。


 さて、時間がございませんので、本日は皆様にお知らせとお願いがございましてお集まりいただきました。

 まずお知らせですが、今回私がこの大学に来ましたのは、以前の地球物理学を教える為ではございません。


 わたしは、こちらの大学に物理学部に第二力学課という学課を新設しまして、その第二力学と言うものを研究するために参りました。

 この学問には、まだ正式な学名などございません。 呼び方が必要なので、私が第二力学という言葉を作ったもので、これは暫定でございます。

 後の歴史で変わっていくものと考えております。


 これからご紹介するモノ(・・)は、この世界ではまだ知られていない技術です。


 世界に先駆けてこの日本で少しでも先行できればと思い、今回お力をいただけそうな分野の諸先生方にご連絡を差し上げた次第です。


 それで、世の中に知られておらず、また今お持ちの古い常識と比べ、それが逸脱したものである場合、最初は異端であるとか、まやかしであると考えられるとになると思います。

 ですので、本日は先生や教授と言う殻を一度脱ぎ捨てて、皆さんが幼少期の頃の、何にでもきらきらした目でものを見ていた感覚で私の話しを聞いていただければと思います。


 そして、今回の内容をお知りになると、これまでの皆様の科学の常識に狂いが出るかもしれません。

 それは、聴かなかったほうが良かったと思うかもしれません」


 ちょっと馬鹿にしたような笑いがあちこちで漏れる。


「もし、お聞きにならないでも良い方は、いまのうちにご退席ください。

 そして、お願いですが、これからお話しする内容につきましては、いずれ世間にも発表を行うことになるとは思いますが、それまでの間、極力秘密とさせてください。


 では、本論に入りたいと思います。

 まず、今日のテーマに移りますが、どなたかエーテル論などと呼ばれているものをご存知の方はいらっしゃいますか?」


 石崎教授がそう言うと、何人かから手があがり、


「大昔のデカルトの宇宙空間に充満した物質があるという理論で、アインシュタインの特殊相対性理論で誤った理論と結論づけられたものでしょうか?」


「そうです。 しかし、そうでしょうか? 我々はこのエーテル、Ether、英語読みではイーサネットのイーサです。

 我々は、これを区別するためにエターナルと呼んでいます。

 とりあえず、エターナルの話は少し置いておきます。


 今日の本題はずばり、魔法です」


 会場がざわめきだす。 溜息すら漏れている。


「魔法って何でしょうね?


 私も、SFや漫画などファンタジー的なイメージしかなく、言葉は理解していますが、魔法などと笑って端から信じていませんでした。

 もし、そんな魔法などがあったら、私に見せてみろと思っていました。

 ところが、私はそれを目の前で見せられました」


 ざわめきはさらに大きくなる。

 司会から、お静かに願いますと言う声がかかる。


「ただし、今日ここで皆様にお見せするものは魔法ではありません。


 それは魔法と同じエターナルを使った理論を使って作られた摩導具という物であり、これは魔法使いでなくとも、誰もが使うことが出来る物なのです。

 まあ、いろいろ言う前に、摩導具を実際に見てもらったほうが早そうですね。

 では、助手に登場してもらいます」


 呼ばれるとステージの袖口から助手のクリスが、ワゴンを押しながら可愛い服を着て登場した。

 なぜクリスがと言う話もあるが、例え調べられても身元が特定されない人を選んだ。

 その、魔法少女っぽい服が怪しさを更に高めていた。 服装はわざとである。


「では、まず1番を見せてください」


 教授がそう言うと、クリスは1番の塩ビパイプを手に取った。

 そう、例の塩ビパイプの摩導具だ。 リレーで使うバトンくらいの大きさのものだ。


 教授は、司会者に向かって、


「すみません。 火災報知機を少しの間、切ってください。

 ありがとうございます。

 では、助手の人は、会場に見せてください。

 はい、この通り、種も仕掛けもございません」


 会場に苦笑が漏れる。

 まあ、仕掛けはあるのだがね。


「では、その先に小さな炎を出してください」


 すると、クリスが持っている塩ビパイプの先に、ライターほどの小さな炎がポッと現れた。


 でも、確かにこれではそれこそライターと変わらないので、遠くからはほとんど見えず、会場には残念そうな空気が流れた。


「では、ここに」と言って、教授の1メートル先の空中を指さす。

 「ここに小さな炎を出してください」


 クリスは、パイプを教授の方に向けて、教授の指さす先に炎を出した。

 大きな炎ではなく、その空中に小さな炎が浮かんでいる。


「では、そうですね。

 その中段あたりにおられる方の前に、出してください」


 そう言われると、クリスはそのパイプの先を少し上に向けて、会場の中段位に向けると、炎はそこにひょいと移動した。


「どなたか、近くで見たい希望が有りますか?」


 すると、さっと手が上がった人がいたので、クリスはその人の近くに炎を移動させる。

 後何人かに炎を近づけた。

 会場はざわついているが、多くはガスか何かを使った手品と思っているようだ。


 教授はクリスに合図をすると、クリスは炎を消した。


「火災報知機ありがとうございました。

 これは、ガスが燃えて出た炎ではありません。

 私は魔法の原理と言いましたが、皆さんはそれを否定されると思いますので、どうやっていたのかは、まずは皆さんでお考え下さい


 それでは、火と来ましたので、次に水に行ってみましょう」


 すると、ステージ袖からサリーが風呂桶ほどの大きなアクリルの水槽をワゴンに乗せて押してきた。

 彼女はそれは会場の真ん中に置くと、舞台袖に戻って行った。


「では助手の方は2番を持ってきてください」


「では、何が起きるのか、どうしてこれが起きたかを、皆さんで考えてみてください。

 助手さん、箱の上で弱くお願いします」


 教授がそう言うと、クリスはアクリルの箱の側に立ち、アクリル水槽の箱の上にパイプを向けた。

 すると、箱の上がかすかに白っぽくなり始めると、小さな(もや)のようになり、そこから水がぽたぽたとアクリル水槽の中に滴り始めた。

 最初はぽたぽたであったが、やがてシャワーのようになり、そして大きな蛇口から出るように大量の水が出始めた。


 水槽に半分ほど水がたまった時点で、教授が止めるように助手に言うと、水は止まり靄は消えていった。


「会場にたくさんの方がいらっしゃいましたので、多くの水蒸気が浮いていたようですね。

 あ、ちょっと大きなヒントを出してしまいました。

 その水は、会場に置いておきますので、本物の水かを確かめたい人はあとでご覧ください」


 サリーが再登場して、クリスと二人で、重くなった水槽を中央からステージ脇の方に押していく。


「では、次の問題です。

 ここに普通のテニスボールが有ります」


 教授はそう言うと、床に何回かその黄色いボールを弾ませた。

 そのあと、会場中央に置いたスタンドポールの先端にそのボールを取り付けた。

 自立した細い棒で、先端にボールを銜えるクリップが付いた棒だ。


「では助手の方は3番で照らしてください」


 するとボールが明るく光り始めた。

 どこからかスポットライトで照らしているかもしれない。


「会場の照明を落としてください」


 周りが暗くなると、ボールだけが光っている事が見えた。

 会場内にほかに光源が見当たらないのだ。


 上から光を当てた場合、影が床にできる。

 客席側からボールの光は明るく見えているので、ボールにあたらなかった光や影は本来演壇の奥に出るはずだ。


「助手は、照射を少し揺らしてください」


 すると、確かに助手が持つ棒から光が出ているようであるが、その棒の先端は決して光っていない。 暗いままだ。


「照らしながら、ボールの周りをぐるっと回ってください」


 ボールは光り続けたままで、やはりボール自体が光って見える。


 ここで会場の照明が戻された。


「念のために、会場のお客様の持ち物を光らせてみましょう。

 どなたか、何かお貸しいただけますか?」


 はい、といって机に置かれていた透明のペットボトルの水を渡された。

 確かに、これは透明なので中も見えるので良いかもしれない。


 助手はそれを受け取ると、ポールが挟んであったクリップに挟んだ。

 外したボールは、会場に投げて渡して、普通のボールであることを見てもらっている。


 そして助手が持ち場に戻ると、再び会場は暗くなった。


「今度は少し強めにしてみましょう」


 そう言うと、暗い会場の中で、水が入ったペットボトルが光りだした。

 それはすぐにまぶしいくらいの明るさとなり、照明が消された会場であるが、最初の照明よりも明るい白い光で会場が満たされた。


「はい、ありがとう」


 そい言うと、会場はすっと暗くなった。

 いや、すでに照明は戻されていたのだが、今のまぶしさにより目が暗く見えていたようで、しばらくすると周りが見えてきた。

 会場のざわめきは大きくなっていた。


「あまりいきなり問題を増やすと皆さんが答えが出せなくなるといけませんので、本日は次で最後とします」


 目が慣れてきて会場が良く見れるようになった。

 すると、ステージ奥の白いスクリーンが明るく照らされている。

 会場は説明のプロジェクターの投影が始まるのかと思った。


「では、最後の問題です。 ここを見てください」


 スクリーンの一点に黒いマーカーが示されていた。

 教授が手に持つパイプから出されているようで、教授の手が丸く動くと、その黒いマーカも丸を描いていた。


 でも、その先は白いスクリーンがあるだけで、何が有るのか誰にも分からなかった。


「このデモは以上です」


「「「えっ!」」」


「すみません、スクリーンに何が書いてあったかよく見えなかったのですが?」


 後ろの方から声が聞こえる。


「私が示した黒い点は判りましたよね」


「ええ、だけどそこに何が書いてあったのか、この席からは見えませんでした」


「では、15分ほど休憩としますので、その間にそれぞれ皆さんご自身でお考え下さい」


 そう言うと、教授はパイプを演台に置いておいてステージから脇に去って行った。

 先ほどの水もステージ脇に置かれたままになっていた。


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本作パラセルと同じ世界をテーマとした新作を投稿中です。

太陽活動の異変により、電気という便利な技術が失われてしまった地球。

人類が生き残る事の為には、至急電気に代わる新たな文明を生み出す必要がある。

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こちらもご支援お願いします。 亜之丸

 

この物語はフィクションです。

登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

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