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5-06-06 パラス アカウント


 拠点での整備は、少しずつ動き出している。

 まず、食堂、売店、研究室と個人の部屋が稼働しはじめた。

 と言っても、売店はキッチンカーのトレーラーとテーブルとイス、売店はまだ空っぽ状態である。


 今、それぞれが自分で作った部屋の内装などを少しずつ住みやすいように変えている。

 これで、最低限ではあるが、ここに住んで暮らす事が出来るようになった。



 食事に関して、いよいよ本格的に動き出すことになるので、大量に食材を仕込んで保存する必要がある。

 今松井姉妹は、服部さんに頼んでストレージを使ってもらっているが、やはりそれは互いに負担となっている。


 そこで、以前から考えていた松井姉妹のスレイトメンバー入りを行う事にした。


 松井姉妹に、国づくりメンバーとしてこれからも一緒に来ることを確認し、またメンバーのデメリットもきちんと話して打診したが、すでにもうそのつもりでいたらしい。

 毎日の食材仕入れや食事などで、いつも目の前でストレージを使っていて、既にお世話になっているので、それはそうかな。



「アー、松井実果をスレイトメンバーに加えてくれ」


『松井実果はメンバー登録を希望しますか?


 松井実果をメンバー登録します。

 松井実果のメンバー登録が完了しました』


「アー、次に松井枝奈をスレイトメンバーに加えてくれ」


『松井枝奈はメンバー登録を希望しますか?


 松井枝奈をメンバー登録します。

 松井枝奈のメンバー登録が完了しました』


 もう毎度おなじみの登録風景となってしまった。


「慎二さん、早速なのですが、私もストレージを使いたいのですが、以前服部さんにストレージに入れてもらった物って私も取り出せるのですか?」


「うん。 食材は共有スペースに入っているからだれでも出し入れできるよ。

 あと、個人用としてストレージを使えば、自分とマスター以外は使うことは出来なくなるから、そこを使うといいよ。

 スレイトの機能など、メンバーはマスター権限の一部を使わせてもらうって感じになるから、マスターとの間にはプライベートという考えはないらしいからね。

 まずは中を覗くことをイメージしてごらん」


「あ、なんか沢山物が有るのが解ります。 あぁ、こうやって見えるのですね。

 どうやって取り出せるのですか?」


「取り出す物を意識して、次に取り出したい場所を考えて、出すイメージをすれば、そこに出すことが出来るよ。

 入れる時は逆に行えば出来るが、たまに並べ直さないと、ストレージの中がいっぱいになり、入れた物が見つけられなくなるので、時々中を移動して整理してね。

 パソコンのフォルダわけのように、入れた物をグループ化していくと使いやすいよ」


「あ、やってみます」


「枝奈ちゃんは、食事予算の日本円は松井姉妹の2人で使える個人用のストレージに入れてあるので、お姉ちゃんとうまく使っていってね。

 それと拠点の工作費用もそこに入れておくので、水谷さんへの支払いはそこからお願いね。

 足りなくなったらサリーに言えばよいから。 スレイトメンバーはスレイト通信で連絡できるよ」


『はい、サリーです。 実果さん、枝奈さん 聞こえていますか? スレイトメンバーにようこそ!

 お金のことは私に相談してね!』


「わっ! 本当に近くに居なくても、声が聞こえてくるのですね」


「うん、これで使えそうだね。 あとは、服部さんにでも聞きながら覚えてください」


「「はい、わかりました!」」


 こうして、フードイベントに向けて大量に食材を調達して、調理出来しだい収納する事で、出来立てのお料理が保存できることになった。

 市場までキッチンカーで出かけ、仕入れた商材はキッチンカーに搬入して、そこでストレージに入れるようにするようだ。


 早速姉妹は、名古屋の柳橋市場まで買い出しに出かけて行った。


 イベントは、服部さんを中心に、唯華と斎藤さんにお願いする事にした。

 あと、会計としてサリーも付けておいた。

 ただ、拠点作りもまだ終わっていないし、特に売店の仕入れもあるからよろしくね。



 お金と言えば、摩導バングルによる電子通貨が利用できるようになり、売店での個人利用が出来るようになったので、お給料みたいなものを出すことにした。


 これまで一緒の行動をともにして、必要なお金はストレージ貯金から都度出して使ってきたので、俺たちは自分のお金という概念がなかった。

 共同生活団体みたいな感じであった。


 しかし、人数も増えてきて、住居もこれで決まったので、ここからは国としてお給料に相当するお金を毎月支給することにした。

 支給するといっても、新しく採用する予定の自国通貨パラスであり、貰うと言っても実際にはアーの管理する帳簿上の数字だけなので、実感はなにもない。

 国からの支給なので、まあ皆さん国家公務員みたいと考えれば良いな。


 新たな電子通貨の管理は、この国だけの特別な方法で行われている。 すべての通貨が電子通貨だけとなる国は、まだこの世界には無いと思う。


 新規発行されるパラスには最初はすべて国のIDが振られている。 そして、所有者が代わると、パラスに新しい所有者のバングルIDが振られていく。

 国が1億パラスを新規発行する場合、アーの中のパラス管理テーブルに1億個のパラス管理データが作られると言う事だ。


 例えば、給料で100パラスが支払われると、アーの中の100個のパラスそれぞれに、受取人のバングルIDが書き込まれる。

 買い物の支払いなどで、パラス資金が移動する場合、バングル同士を触れることで、パラスに書かれた所有者IDを、アーが書き換える事でパラスが移動する。

 支払いに使えるのは、当然自分のバングルIDが書かれているパラスだけである。


 このような管理方法は人間が行う場合はとてもできないことであるが、すべてアーの中で管理される電子通貨であるので、データベース的にできている。

 お金を盗んだり、偽パラスを作ったり、紛失したりすることが出来なくなり、国が供給した1パラスまで通貨の流れを常に管理することが出来る。


 まあ、使う人はそんな難しいことはどうでも良く、普通にパラスを使うことが出来るようになった。

 給料を貰うということは、バングルで管理された自分のアカウントの数字が増える事を意味する。


 しかし、個人で普通の買い物も必要なので、サリーに言うと、今後パラスを日本の円に交換してくれる。

 将来的には、きちんと両替業務として行う予定であるが、いまのところサリーにお願いして必要な円に両替してもらう。


 なぜこんな面倒なことをしているかというと、将来発行する自国通貨の運用について、どのようにすれば一番よいかを調べるために、俺たち自身でまず体験するためだ。


 また、バングルでの支払いについて、個人同士での支払いを可能にした。

 ここに現金はないので、バングル同士を触れることで行うことが出来る。 実際にはアカウント間での電子通貨のID書き換えを行っている。


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本作パラセルと同じ世界をテーマとした新作を投稿中です。

太陽活動の異変により、電気という便利な技術が失われてしまった地球。

人類が生き残る事の為には、至急電気に代わる新たな文明を生み出す必要がある。

ルネサンス[復興]の女神様は、カノ国の摩導具により新たな文明の基礎となれるのか?

ルネサンスの女神様 - 明るい未来を目指して!

https://ncode.syosetu.com/n9588hk/

こちらもご支援お願いします。 亜之丸

 

この物語はフィクションです。

登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

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