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1-03-08 現代生活の基礎知識

 いよいよサリーの現代での生活が始まりますね。

 まずは溜まったものをすっきりさせてください。



「じゃあ、早速使ってみますか。

 俺はこの外にいますので、自分ひとりで試してみてください。

 わからなければ呼びかけてください」


 そう言ってトイレの扉を締める。

「あっ、そうだ!」

 と言って、すぐに扉を開けると、早くも下着の紐を緩めているところであった。


「ゴメン!!」


 と言って、開きかけた扉を慌てて閉める。

 扉の鍵についての説明を忘れてたのだ。

 下手に鍵を触ってしまうと、開けられないからなぁ。


 そんなことを考えていると、すぐに水音が聞こえてきて、「フー」と声が聞こえた。

 何気ない顔をしてたが、結構ぎりぎりだったようで、何とか間に合ったようだ。


 そして、洗浄機能の音のあと、お決まりの「キャッ」という悲鳴が。


「大丈夫ですかー?」


「はい。

 四角い印のところを押せば、水は止まるのですよね?」


「そうです」


 扉の外から俺は答える。

 その後、カラカラとトイレットペーパーを引き出す音がした。


 でも、それから少ししてもトイレの扉が開かない。


「大丈夫ですか??」


 と再び呼びかけると、カチャッと扉があき、


「すみません。

 水を出すときは立たないようにしたのですが、お借りした服を濡らしてしまいました。

 乾くまで待っていようかとも思ったのですが……」


 どうも便座とお尻の間が少し空いていたのか? 便座の下にシャツが入っていたのか?

 見ると、Tシャツの後ろの裾が濡れていた。


「あ、説明が足りなかった。 ゴメン。

 下から水がでるから、座るときは便座とお尻の間が離れ無いように。

 あと、服が便座より中に入ると、出てくる水で濡れてしまうから気をつけてね」


「とても難しいものなのですね。

 あと、水ではなく、私が使ったときはぬるま湯が出ていました。

 暖かく気持ちがよくって、服が濡れていることに気が回りませんでした」


「すぐに慣れると思うけど。

 それと、用を足し終わったら、毎回ここで手を洗ってね」


「はい、わかりました」


「さっき言い忘れたのだが、入っているときこれを回して扉に鍵をかけてね。

 そうすると、鍵をかけている間、ほかの人が中に入ってこれなくなるから。

 反対方向に回すと鍵は開くよ」


 そう伝えると、早速カチャカチャと鍵を回して試している。


「ここを回すと、この棒が中から飛び出してきて、扉を止めちゃうのね。

 凄ーい」


 サリーは、聞いた事は自分でちゃんと試して確認し、理解するようだ。



「あ、背中冷たいよね。 着替えるから濡れた服を脱いで」


 言って、しまった! と思ったら、すでに目の前でシャツを脱いでしまっていた。

 上半身裸だ。


「ごめんごめん」


 と言って、新しいTシャツを持ってきて渡す。


「ゴメンね。 恥ずかしかったでしょ」

 そう言うと、


「医術師様の前で服を脱ぐのは当たり前の事です。

 それに奴隷はご主人様の命令は聞くものです!」


 そう言って笑ってる。 わざとかよー。


「サリーさぁ、俺はそんなに偉い人じゃないよ。

 だから、もっと普通に話してもらった方がいいから」


「はい、わかりました。 あ、わかったわ」


 濡れてしまったシャツは、一晩着ていたので洗っておこう。

 そろそろ暑い時期なので、このまま濡れたままの衣類を放置すると匂いそうだ。

 しばらく家を空けるつもりだったので、洗濯する俺の汚れ物は無いので、サリーが脱いだ濡れたシャツのみを洗濯機に放り込んで自動コースで洗濯する。


「慎二、これは何するもの?」


 サリーの質問に、おれはドラム式の洗濯機に洗剤をセットしながら、答える。


「この箱の中で、服を洗うのさ。

 これは洗濯機と言います」


「この箱の中で洗うのね?

 なんかちょっと斜めに深くて、狭い中に頭を入れないと洗いにくそうね?

 あのー、私の服もいっしょに洗っても良い?」


「洗う服があるのだったら、一緒に洗ってあげるよ。 持っておいで」


「いえ! とんでも無いわ。

 自分の服は自分で洗いますから大丈夫です!」


 そう言うと、彼女の洗いたいという服を持ってきたので、ちらっと見る。

 当たり前だが洗濯タグなんてものは、付いなさそうだ。

 生地に色や柄はなく、麻っぽいから、多分色落ちはないだろうから、全部一緒に洗ってみるか。


「シャツだけ洗うのはもったいないから、それも一緒に洗おう」


 サリーに汚れ物を入れさせて、俺は洗剤を少し足して洗濯機の蓋をする。

 蓋を締めたのを見て、サリーは


「えっ? 洗わないの?」

 って不審そうに聞いてくる。


 俺はスタートのスイッチを押すと、洗濯機の中からズザザーと注水が開始された音がする。


「箱の中で、水の音がしてる!」


 LEDのチカチカが始まって、やがて洗濯機はゴオ、ゴオと振動しながら動きだした。

 サリーは洗濯機の前面の透明の蓋の前に釘付けになり、目を見開いて、蓋の中の洗濯物の動きに見とれている。


「水がこぼれそうになったら私が蓋を押さえるので、慎二は休んでいてね。

 え? これって、押さえていなくても、中の水がこぼれてこないの?」


「途中で蓋を開けなければ、水は漏れないよ」


 そういえば、俺も子供の頃、昔の洗濯機の蓋を開けたまま、上から中をずっと見てたっけ。

 あの頃は、洗濯層と脱水層が別々の2層式洗濯機だったし、洗濯槽は洗濯中は蓋を開けたままだったな。

 今は蓋を開けると洗濯が止まってしまうな。


 大丈夫と言ってもサリーは洗濯機を見つめているので、俺はその間にスマホで近所のお店情報を検索をする。

 女性物の服って買いに行ったことがないし、女の子の服とか下着や靴など、どこで何を買ってよいのかさっぱりわからない。


 あと、食べ物はどうかな?

 真剣に洗濯機を見つめ続けるサリーに、食べられそうな物は何か聞いてみる。


 料理の名前じゃわからないから、肉や野菜などとか、調味方法や味付けなどを聞くが、やはりよくわからない。

 料理名ではだめだし、材料もだめらしい。


 食べられないものや嫌いなものっていうものも首をかしげている。

 あとは食べに行ってみるしかないな。


 少ない洗濯量ではあったが、乾燥まで行ったので、結局サリーは1時間ほど、ずっと洗濯機の前にくっついていた。

 ピピーとアラームがなり、「何か鳴ってますよー」って俺を呼ぶ。


「開けてもいい?」

 って聞かれたので、フタの取っ手を教え、自分で開けさせる。


 モワッとした熱気の中、洗濯したシャツを取り出すと、顔に当て


「わー乾いてる。

 フワフワで温かいー」


 洗濯機に「ご苦労様でした! とても綺麗になっています」ってお礼を言ってる。


 俺が残っていた洗濯物をドラムから取り出すと、ポロッと1枚の洗濯物が落ちた。

 拾って見るとステテコ?


 いつ、洗濯機にいれたの?

 今、何はいているの。

 思いっきり、俺の手からステテコをひったくられた。

 サリーはさっと物陰に行き、男物の大きなTシャツの中に隠して、ステテコを素早く履いたようだ。


 洗濯機に付き合って1時間ほどを無駄に過ごしたが、その間に俺はいろいろな事をネット検索することができた。


 さあ、いろいろ面白そうな慎二の部屋を探検しましょう。



 こちらで公開されていたこの話に続く2話は、外伝として下記に移動しました。


 パラセル テクニカル外伝P - パラセルと異次元空間

 https://ncode.syosetu.com/n3633gf/


 外伝P1-03-09 現代生活の基礎知識2

 https://ncode.syosetu.com/n3633gf/1/


 外伝P1-03-10 異次元生活の雑知識

 https://ncode.syosetu.com/n3633gf/2


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本作パラセルと同じ世界をテーマとした新作を投稿中です。

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こちらもご支援お願いします。 亜之丸

 

この物語はフィクションです。

登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

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