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その一打  作者: 安坂 祐
17/18

十六順目 女帝降臨

ついに始まった、第二次予選Aグループ。

このグループは前回大会優秀者で選抜されたいわゆるシード権を持っているもの達のグループであった。

それ故に優勝候補が一堂に会する、小さなオールスターである。

出場するのはこの4人となった。


東家:長谷川綾(西進大)【前回優勝】

南家:樋口健司(青葉大)【特別出場】

西家:三橋夕菜(城南大)【前回準優勝】

北家:内藤京次(共成大)【前回三位】


親には『女帝』長谷川、ラス番には我らが部長が入っている。

千佳と亮は固唾を呑んでその様子を見ていた。


〜東一局〜


静かな雰囲気の中ゲームは進んでいく。

「リーチ!!」

第一声は意外にも初出場の樋口だった。

まさかの展開に見ている取り巻きは驚きを隠せない。

だが、打っている側としては淡々と牌をツモっていく・・・・

そして

「ロン」

静かに内藤が牌を倒す。

「タンヤオ、盃一口、ドラ1・・・・3900点ですね」

ダマで華麗に部長がリーチをかけていた樋口から点を削ぐ。

だが、この程度でつぶれるような玉ではないことは誰の目からも分かりきっている―

この男の実力は未知数。

計り知れないことを頭の中で考えてるやも知れない。

綾が最も恐れる理由である。


〜東二局〜


ここから、ゲームが始まった。

「リーチよ」

一巡目から、綾がリーチをかけてくる。

「ツモ」

そして無難に頭老牌を捨てていく三人をよそに自らの力でツモる綾。

「リーチ、ツモ、平和、タンヤオ、三色、ドラ2・・・倍満。

 チッ、高が倍満止まりか。少し焦ったかしらね。まぁ、いいわ、早く点棒をよこしなさい」

正しく、ここに女帝が降臨した瞬間だった。

さっきとは違う威圧感が局を覆っている。

誰もが希望を失いそうな―そんな感じの暗闇が自らの指を侵す。

どうすれは良いか判断がつかない状態になる錯覚に陥った。

「一瞬で場の空気を変えた・・・・これが女帝の麻雀」

千佳は遠目から綾を見る。

まるで奥にある何かを探し出すように―


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