十順目 交わした約束
「ふぅ」と楓はため息をつく。
前半終わってトップだというのに彼女は浮かない表情を浮かべていた。
どうしてだか、あまりいい気分にはなれなかった。
そんなとき―
「お姉さま!」後ろから楓を呼ぶ声が聞こえた。
「あら、葵じゃない。どうしたの?」
実の妹である『聖護院 葵』が来てくれたのだ。
「お姉さまが心配になって来たの」
「どうやってここに?」
「あのね、樋口さんって人が入れてくれたの。お姉ちゃん、あの人と知り合いなの?」
「ううん、まぁ一応ね」
「へぇ〜」
と葵はいやらしく上目使い。
「それで。今日はこれだけ?もう何も無いなら帰りなさい」
「いやいや、ちゃんと用件はあるのよ。はいこれ」
葵は楓に何か手渡した。
「何かしらこれ」
「ひ・み・つ。えへへ、じゃーねお姉さま」と言って葵はどこかへ消えてしまった。
「何しに来たのかしらあの子」
気になったのか、楓は葵からもらった物を開けてみた。
そこには紅茶の入った水筒と手紙が携えてあった。
「何々?」楓は手紙の中を読んでみた。
『大好きなお姉さまへ。
大学に入って以来お姉さまは麻雀ばかりしていますね。
私は少し淋しいけど、お姉さまが喜んでくれるならわがまま言わず我慢します。
私は麻雀のことはよく分からないけど、お姉さまはきっと強いことだけは分かります。
だって、あんなに熱い瞳をしたお姉ちゃんを私は見たことが無いからです。
だから・・・・・絶対に優勝してね。
葵より』
「葵・・・・・」楓は胸の内が熱くなった。
「約束するわ。優勝してみせる」
と楓はこれから絶対に負けられない気持ちになった。




