こんな悪役令嬢は嫌だ
深夜のテンションって怖い
「ユリアよ、お主がマオキュンに行った数々の狼藉は明白だ!今ここに宣言する!我はユリアとの婚約を破棄し、マオキュンと結婚する事を!!」
…………な、何を仰ってるの?
何故ヨコシマ王子の横にドレス姿のマオキュンが居るの?
なんで肩を抱かれているの……
「ま、待って下さいヨコシマ王子!私はマオキュンに…」
「言い訳とは見苦しぞ!」
近付こうとする私をヨコシマ王子は一喝した
嘘よっ!誰か嘘と言って!
───だってマオキュンは私の弟なのよ!
「お主が毎日のようにマオキュンを着せ替えして撮影し、あまつさえ半ズボン姿のマオキュンとお出掛けデートをしていたのは分かっているのだ」
「マオキュンには半ズボンが一番似合うんです!」
それなのに、何でドレスなんかを……
「笑止、マオキュンに一番似合うのはフリフリドレスだ!見よ、この女装させられて恥ずかしがる姿を!キュンと来るだろうが!」
「くっ、一理あるわ」
「うぅ、一理ないです姉様、助けて下さい」
羞恥に震える姿に挫けそうになるが踏み留まる
「でも甘いですわ、これを見なさい!」
私は懐から一枚の写真を取り出してヨコシマ王子に見せ付けた
「半ズボン姿だったらナマ足が見えるのよ!この無邪気な笑顔で無防備なマオキュンがやっぱり一番なのよ!」
「ふおぉぉぉぉぉ!シャツが捲れておへそが見えている!素晴らしいな、後でコピーをくれ」
「そのドレス姿の写真と引き換えなら宜しくてよ」
「しくしく、もう許して……」
ふっ勝ったわね、御守りに一枚持ってて良かったわ
「だが、ドレスの良さには勝てないな」
「なんですって」
「これを見よ!」
王子がマオキュンの手を取るとクルっと半回転させた
「なっ!ゴキュン」
思わず生唾を飲み込む
何故ならマオキュンのドレスは背中が大きく開いているドレスだったからだ!
「肩 甲 骨 !」
「それだけではない、もっと上も見てみろ」
「う な じ !」
いつもなら隠れている首が、ウィッグで無理矢理纏められていたのだ!
私は溢れる鼻血を押さえながら膝を折った
「これで分かっただろう」
「はい、ドレスも最高です」
私は間違っていた
マオキュンは半ズボンだけじゃなかったのだ
「祝福いたしますわヨコシマ王子、どうかマオキュンを幸せにしてあげて下さい」
「うむ、任せろ!」
「うぅ、誰か僕を助けて下さい」
マオキュンの恥ずかしがる声が聞こえた気がするけど気のせいかしら……幸せになるのよマオキュン、私も色んな服を持って遊びに行くからね
前書きと後書きは二万文字まで書けるのを今知りました
はっ!本文が千文字縛りでも後書きで書き続ける抜け道があるじゃのいですか!