最強
遅くなりましてすみません!
陽翔が少し待っていると、ジンがやってきた。
「無事冒険者になれたようだな」
「ありがとうございます、何から何まで」
「ハハ、いいってこれからは同業者としてよろしくな」
「はい!」
陽翔としては頼もしい限りだ。そもそもの戦闘能力が乏しい陽翔にとって、いろいろと教えてくれる人は貴重だった。
「そういえば、ジンさんはランクいくつなんですか?」
「ん?俺か?俺はCだよ」
「すごいですね」
「そうでもねぇよ、特にこの王国ではな」
と、二人が会話しているとなにやら人々が騒がしくしていた。
「と、噂をすれば・・・ほら」
ジンは人混みの方を見てそう言った。陽翔は言われた通り視線を向ける。
その時人混みに押され一人の女性が倒れそうになる。
「あ!」
(危ない!)
そう陽翔が言おうとした瞬間風が駆け抜ける。人と人の間をするりと進み風は女性を抱き止めた。
「大丈夫かな?」
「は、はい」
女性は驚きながらもうなずく。
陽翔の目にやっと風に見えた人物が映る。燃えるような赤の髪。優しいライトグリーンの瞳をした、女性だった。
「あ、あの人は一体・・・」
ポツリと陽翔の口からこぼれた。ジンは驚いた様子もなく陽翔の肩を叩く。
「あれがこの国最強のアミナ・ヒルシートだよ」
「最強・・・」
最強の名を冠する少女は人々に笑みを向ける。
「王国で生まれた世界で五人目のSランク冒険者さ」
「ぼ、冒険者のランクはAまでのはずじゃ・・・!」
陽翔がそう言うのを分かっていたジンは苦笑を顔に浮かべていた。
「あぁ、通常はな」
「どういうことですか?」
陽翔は別に彼女に憧れているわけではない。ただ一体どれだけ強く、どれだけモンスターを殺したのか、それが気になったのだ。
陽翔は、ゴブリンとの邂逅をへて、強さの意味を知った。故に最強と呼ばれるアミナがたどり着いた境地を知りたかったのだ。
「常人じゃ到底不可能な偉業を達成することが条件だ」
国を救うとかな、と付け加えてジンは首をふる。
「いわゆる英雄ってやつさ」
「英雄・・・」
「それで、あの嬢ちゃんは15歳という若さで4年前のモンスターの大進行の前線で多大な功績を残したのさ」
(15歳って俺とほとんど変わらない歳じゃないか!)
陽翔の目は件の人物えと向かう。
「ごめんね、通してくれるかい?」
そうアミナが言うだけて人だかりが2つに分かれる。
「ありがとう」
そしてそのまま、王城に向かっていった。
「ま、そういうわけでこの国じゃ嬢ちゃんが有名すぎるのさ」
ジンは仕方ないと、息を吐き出す。
「よし!ほら、飯食うぞ、もう日も沈んできた」
「そう、ですね」
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「疲れた」
陽翔はそう言いながらベットに体を沈める。
(ジンさんにお金まで貸してもらちゃったな)
ジンと一緒に食事をした後、『金無いだろ』といい宿屋と当分のお金をくれたのだ。
「強く・・・強くならなきゃな・・・」
(あの時のようにならないようにな)
陽翔はそのまま眠気に任せて意識を手放した。
短めでした