冒険者 陽翔
テンプレ展開かと思いますがどうぞよろしくお願いします。
「ここの辺りは比較的に安全な方だ」
ジンは陽翔に聞かれそう答えた。
(やはりゴブリンはどんな世界でも序盤の雑魚モンスターなのか)
「だからといって、生半可な気持ちで来たら死ぬことになるぞ」
どんなに弱いモンスターでも、脅威になる可能性がある。そのため、辺りの警戒は解かず陽翔達は森の中を進んでいく。
「あと少しだな」
あれから少し休み、ジンが言ったとおり、王国に行くことになった。
「少し休むか・・・」
陽翔の様子を見てジンはそう判断した。陽翔の息ははぁはぁと荒かった。
陽翔に体力が無いわけではない。だが冒険者であるジンの方が体力が多い。加えて木々の間から見える太陽が陽翔の体力をガリガリと削っていた。
「は、はい・・・」
(一様体力は自信あったんだけどな・・・)
陽翔は日本で多種多様なバイトをしていた。その中には体力がなければ出来ないものもあった。そのため一般の男子高校生と比べれば体力は多い。
(これから頑張らないと)
そう陽翔が決心していると、
「ほらっ」
ジンが陽翔に水袋を投げる。
「うわと、と」
陽翔自身も驚きのすっとんきょうな声をあげ、あわてて受けとる。
チャプチャプと音がして水が入っていると陽翔は分かった。
「い、いただきます」
水袋に口をつけごくごくと水を飲む。ひんやりとした冷たい水が陽翔の体に染み渡る。
ぷはぁと息をもらしジンに返す。
「生き返りました」
「それは良かったよ」
ジンは陽翔にそう微笑む。陽翔の息が落ち着いてきたことを確認し立ち上がった。
「短いが行こうか」
「分かりました」
陽翔も立ち上がる。まだ疲れは残っているし、体力回復もぜんぜんしていないが、あと少しと自分に言い聞かせ、歩き出す。
「ジンさんはなんの依頼でこの森に?」
陽翔は前にいるジンにそう話しかける。
「ウォールフの討伐依頼で来たんだ」
陽翔が死にかけた現場に居合わせる前に依頼は終わっていた。
「ウォールフは二匹で行動するんだよ」
「ということは連携して攻撃してくるんですか?」
「そ、巧妙な連携で気を抜けばその瞬間、殺られる」
ウォールフとは狼のような魔物で、非常に素早く狩りをする。ゴブリンも集団で行動するが、そこに連携なんてものは無い。
そうこうしているうちに、城壁のようなものが前方に見え始めた。
「さてと、あとは検問を抜ければトカーナ王国だ」
陽翔はジンに連れられ検問所に入る。検問所はトンネルのような形で左右に二人の兵士が立っている。
「身分証の提示をお願いします」
「はいよ」
ジンはあらかじめ手に持っていたカードを見せる。
(あれがいわゆるギルドカードか・・・)
「お疲れ様ですジンさん」
兵士はを少し見てカードを返す。
「おうよ、やっぱ宿のベットじゃねぇと体がキツイわ」
「ジンさんが泊まっている宿のベットはふかふかですもんね」
ジンと兵士の男は親しげに会話をする。
「それでこちらの方は?」
そう聞かれ陽翔は物凄く緊張し始める。
「こいつはハルト、訳ありでな身分証が無いんだよ」
「そうですか・・・王国に入られるなら銅貨十枚ですが・・・」
「そこをなんとか!俺とランダの仲だろ?」
ランダと呼ばれた兵士は、はぁとため息をついた。
「分かりました、でも上司にばらさないでくださいよ?」
「分かってるって」
そういいながらジンは歩きだす。陽翔はランダに軽く頭を下げジンの後を追う。
「ジンさん信頼されてるんですね」
「ま、長い間冒険者してるからな」
そして小さなトンネルのようなところを出て門をくぐった。その先には活気ずき賑やかな光景が広がっていた。
「凄い・・・」
「だろ?」
陽翔の驚きぶりにジンは満足してうなずく。
「ほら、立ち止まってないで行くぞ」
「あ、はい」
街はたくさんの人々が行き交い、誰もが笑顔だ。そんな街の様子を見ながら、はぐれないようジンにしっかりついていく。
「へい!らっしゃい!取れたて物がいっぱいあるよ!」
「こっちは新鮮野菜売ってるよ!」
店がところ狭しと並んでおりいい臭いもしてくる。
(そういえばこっちに来てから何も食べてないな・・・)
長時間歩いていたため陽翔の腹は空いていた。
そんな陽翔を見てジンは仕方ないと心で呟いた。
「後で奢ってやるよ」
「え、でも」
「当分暮らせるように貸すんだ、あんま変わらないさ」
(いつか必ず恩返ししないといけないな・・・)
ジンの優しい心に感動しつつ決心をかためる。
陽翔達はすこし歩き、大きな建物に着く。
「これが冒険者ギルドだ」
「でかっ」
「ささっと済ませるか」
ジンが迷いなく歩いていくのにあわててついていく。中は冒険者がちらほらいた。ジンは冒険者登録料のための銀貨五枚を渡す。
「ハルトはそっちな」
そう言い残しジンは別の受付へ行った。言われるがまま進む。
「はじめまして、ご登録ですね?」
ジンに言われた受付は青髪の女性が担当だった。
(いきなりむさ苦しいオッサンとかだったらめっちゃ困るし)
「はい、お願いします」
受付嬢はにこやかに微笑む。
「かしこまりました、では登録料銀貨五枚を頂けますか?」
「分かりました」
ジンに渡された銀貨を手渡す。
「はい、それではこの水晶に触れてください」
占いに使われるかというほど大きい水晶玉に手をかざす。すると水晶は淡く光り始め、中からジンか持っていた物と同じようなカードが徐々に出てくる。
(いったいどういう仕組みだよ)
そう思いながら仕組みを考えていると、光りは消えカードが完全に出た。
「こちらがギルドカードになります、ハルト様ですね」
「はい」
受付嬢にカードを受けとると陽翔の中に消える。
(だからいったいどういう仕組みだよ!)
「カードを意識のすれば現れますよ」
試しにやってみると、陽翔の右腕にカードが握られていた。カードには陽翔の名前とEと書いてある。
(名字は無いのか差別しないためかな?)
「それでは冒険者の説明を、させていただきます」
「お願いします」
受付嬢は落ち着いた少年を見て疑問に思う。
(なぜ冒険者に・・・)
考えながらもしっかりと仕事をする。
「冒険者は上からA,B,C,D,Eと分けれております。クエストをこなせばランクを上げることができます。クエストは自分と同じランク、もしくは一つ上のランクを受けることかできます」
(俺が知ってるものとあんまり変わらないな)
「採取依頼は左の受付にて納品していただければ完了となります。討伐依頼はと魔物を倒されますとギルドカードに記録されますので右の受付にてカードり提示していただき、問題がなけれぱ完了となります」
(便利だなー)
「また、一度受けたクエストを拒否した場合は違約金が発生しますのでご了承ください。予想外の事態が起きた場合は違約金は、発生しませんのでご安心ください」
何も口を出さすしっかりと聞いてくれる陽翔、受付嬢は驚きを禁じ得なかった。冒険者になる者は大抵、態度がでかかったり、面倒くさがりが多い。中には陽翔のような者もいるが、この受付嬢は初めてだった。
「説明は以上となります、分からない点はございませんか?」
「はい、よく分かりました」
「私はセイナです、今後とも宜しくお願いします」
「宜しくお願いします」
(ひとまず武器だな)
陽翔はどんな武器にしようか考えながら歩いていく。
「・・・どんな人なのかしら」
後ろでそんな呟きが出たのだが陽翔の耳に入ることはなかった。
今回はやっと陽翔が冒険者になりました。戦闘が少ないですかもう少しで出てくると思うので今後とも宜しくお願いします!