陽翔の物語
お待たせしてすみません!
無理して一週間と言いました。なので誠に勝手ながら二、三週間ペースにさせていただきます。
こんな私ですが、今後とも宜しくお願いします!
その男はゴブリンの血を拭きながら陽翔に話しかける。
「無事で良かった・・・」
「あ、え・・・そ、その」
「俺が間に合わなかったら、死んでたぞ」
事実そうであり、もう死んでしまうと思うほど絶体絶命だった。
「あ、ありがとうござーッ!?」
突如、思い出したかのように陽翔の腕に激痛が走る。
「坊主!」
男は急いで陽翔の近より、バックに手を突っ込む。
「ポーションだ!飲め!」
そう言って陽翔に青い液体を飲ませる。
(ポ、ポーション!?)
陽翔としては不安だった。いきなり得たいの知れない液体を飲まされたのだ。無害と分かっていても不安になるのも当然と言えるだろう。
だが、ポーションを飲み終えると陽翔の腕の傷が瞬く間に塞がっていく。
「大丈夫か?」
男は陽翔の体を一通り見て異常がないことを確認すると、ホッと息を吐き出す。
刺し傷は今すぐに陽翔が死ぬものでは無かったが、それでも死ぬかもしれないと思うと気が張りつめてしまうのだ。
「ありがとうございます・・・」
「いいってことよ」
「あ、あの!」
陽翔は緊張しつつ、男に声をかける。
「ん?」
「貴方は、一体・・・?」
「ああ!俺は、ジン」
「ジンさん・・・」
「おう、姓は無いぞ」
陽翔はそれほど驚かなかった。名字がある人は貴族だけなのだろうと陽翔は思う。
「俺は陽翔っていいます」
だからわざと名字を言わず名前を言う。
「そうかハルトって言うのか・・・」
ジンはいい名前だと思いなから、最初から聞こうと思っていたことを聞く。
「それで、どうしてこんな所に居たんだハルト?」
「それは・・・」
陽翔の現状を伝えても信じてもらえないだろうし、というか分からないだろう。
「よく・・分からなくて・・」
ということで記憶喪失という、定番の嘘をつき誤魔化す。
「そうか・・・」
(辛かったんだろうな・・・)
ジンはさほど驚かなかった。この世界ではこういうことがたまにあるのだ。
生活が苦しく子供を養うことが出来なくなって子供を捨てる人。そして、その子供がそのまま生き続けていくことやまた、自分の居場所を失った人が逃げていたりする人がいる。
「よし!なら俺が王国に案内しよう!」
「あ、ありがとうございます!」
(王国か・・・確か)
この世界は三角形のような形をしている。
北に魔族。南東に精霊族。南西に龍族。そして、この3部族の中央に位置するのが、人族となっている。
また人族のさらにまた中央に世界樹と、呼ばれるいかにもな、巨木がそびえ立っている。
(トカーナ王国か・・・といことは、ここはノルト森林だな・・・)
「王国は治安がいいんだよ」
「じゃあ、絡まれることは無いんですね」
(日本で最後の日に見た男子みたいにはなりたくないし・・・)
「おう!」
「良かったです」
「だろ~俺らみたいな冒険者も面倒事が無くて助かる」
治安が悪ければ、治安維持のために冒険者が駆り出されることになる。
「やっぱりジンさんは冒険者だったんですね」
「依頼でノルト森林に来てたんだよ」
「王国のギルドは良いところですか?」
「皆いい奴ばっかだぞ」
(ジンさんを見るかぎりよさそうだ・・・やっぱりこの世界で生きるためには、冒険者になるしかないか・・・)
陽翔にそこまで強い力は無いため危険度は相当高くなる。かといって他のことをしようにも、知識や技術がなくできない・・・
必然的に危険だが冒険者にならざるおえない。
「なんだ坊主?冒険者に興味あるのか?」
「はい!」
「坊主に向かないと思うがな・・・」
「危険は承知の上です!」
「・・・分かった俺に任せておけ」
「!何から何までありがとうございます!」
「ま、ここで出会ったのも何かの縁だろうからな!」
「いつかこの恩は返します!」
「楽しみにしてるからな」
「はい!」
ここから陽翔の世界での、物語が始まる・・・
「行くか」
「お願いします!」
たくさんの出会いと冒険、戦い、別れが待つ世界が待っている。
ー希望と絶望のなかで彼は進み行くー
少し短めです。
陽翔君の物語が始まりました!