死の恐怖
ブックマークしてくださった、お二人ありがとうございます!
陽翔が目を開けると、静かな森の中にいた。鳥のような鳴き声が聞こえている中で地べた寝ている。
「っ!」
意識が覚醒しがばっと陽翔は起き上がる。辺りを見回しここが森の中だと理解した。
「・・・・・・邪神」
陽翔こちらに来る前にレフィが言った言葉を思い返す。
「ここからじゃどうしようもない・・・か」
(あの邪神が自分から現れるなら話はべつだけど)
後悔が心の中に広がり、憂鬱になる。
それを振り払うため、陽翔は頬叩き自分に気合をいれる。
そしてまず陽翔がしたのはステータスの確認だ。やはり異世界と言ったらお馴染みのゲームなどで見られるステータスは欠かせない。なにせその数値により異世界での強さに関わるのだから。だが、
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?なんじゃこりゃ!」
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名前:宇都御 陽翔
種族:人間
職業:契約召喚士
称号:異世界人 不遇者
魔力:300
スキル:言語理解 思考加速
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「弱い・・・弱すぎる!」
陽翔はレフィに強力な力、即ち所謂チートな力を貰ったはずだったのだ。
この世界ラフィールでの一般的な成人のステータスは、
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名前:
種族:
職業:
称号:
魔力:200
スキル:少なくとも五個ぐらいは持つ
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というもの。これと陽翔のステータスを比べるとほぼ変わらない。というか一部では劣っている。陽翔としては到底信じ難い現実だ。
ちなみに陽翔の持つスキルは、
言語理解:ありとあらゆる言語の読み書きがまたは会話ができる。
思考加速:思考判断能力が格段に速くなる。
っといったもの。言語理解は必須中の必須中なので何があっても大丈夫なように、レフィが魂に定着させたのだ。
もしもこの状態で日本に帰ったら世界中の言語がペラペラな日本人になれてしまう。
(まっもう死んでるから無理だけど)
思考加速に関しては、常日頃から陽翔には考える癖があったため習得している。実を言うと日本で生きていた頃にもそのスキルの恩恵があった。例としては、トラックに轢かれる瞬間の時などが挙げられる。
「何でこんな事に・・・いや考えなくても分かるか」
(原因はやはりあの邪神しかないよな・・・)
陽翔は落胆しつつ次にどうするか考える。
(取り敢えず街に向かうことが最優先だな。それにしても・・)
「何なんだこの職業?・・・」
(女神様が言っていた職業の中にこんなのあったか?)
職業は非常に重要だ。職業によって出来る事が変わる。しかし、陽翔の職業は聞いたことのないものだ。
「職業すらおかしいなんてな・・・」
すると突如陽翔の前に文字の書かれた半透明な光が現れる。
「うわぁ!?」
いきなり出てきたため陽翔は心底驚いてしまう。
(なになに?)
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契約召喚士
呼び出された者と契りを交わすことで使役することができる。決して切れることのない繋がりを作る。
召喚魔力消費が非常に激しい欠点がある。
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「結構予想、間違ってなかったなぁ・・・」
(これが俺の武器か・・・魔力量増やすところから始めるか・・・)
とりあえずのすべきことを決める。この世界で生き抜くためまずは街を目指すため陽翔は歩き出した・・・
ガサッ
突然そんな音が聞こえた。陽翔は足を止める。
(失念していた!ここは異世界だ!魔物がいるじゃないか!)
今の陽翔には戦闘能力が皆無に等しい。そんな陽翔が戦闘になったら死ぬのは想像に難くない。
ゆっくりと音のした方を向く。恐怖から体は動ない。逃げろ逃げろと本能が叫ぶ。
一度死んだから逆にその痛みに恐怖が生じる。
(もう死にたくない!死にたくない死にたくない!)
しかし運命は残酷だった。
「グギャギャギャア!」
草をかき分け出てきたのは少し緑色の肌をした、化け物。
貧弱だが生き物を殺すには十分なボロボロな剣を持ち、これまたボロボロな鎧を着ていた。
顔は醜く歪んでおり、獲物を見つけたからかその目は笑っているようだった。
「ぁああ・・・」
(死んだ)
陽翔は喉を鳴らす。その化け物から目を離せない。
「ゴ・・・ブ、リン?」
陽翔に鑑定技能はない。そのためその化け物が何なのか分からない。
だがその姿はゲームや小説でよく見た雑魚モンスター、ゴブリンと同じものだった。
(現実に見るとこんなにも怖ろしいのか・・・!)
そんな陽翔を見てゴブリンは剣を構える。陽翔は何もできないと判断したのだ。
そして体制を低くして飛び掛かる。
「ギャギャ!」
「っあ・・・」
陽翔に反応できるはずがなく、ゴブリンの剣はいとも簡単に陽翔に突き刺さった。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
ゴブリンは陽翔で遊んでいる。ゴブリンの剣は陽翔の心臓ではなく、腕に刺さっている。
「あぁ・・・あぁ」
(痛い!痛すぎる!)
腕から激しい痛みが伝わる。死にたくないと願うも心のどこかでいっその事一思いに殺してくれ!っと願っていた。
だがゴブリンはそんなことはしない。陽翔の腕から剣を抜き、もう片方の腕を突き刺す。
「っああああああああああああ!」
陽翔の悲鳴が森に響き渡る。
ゴブリンがさらに痛みつけようと剣を振り上げ、陽翔は絶望した。
その時・・・
「は!」
その声が聞こえると同時に剣がゴブリンの首を刎ねた。
首から血生臭く血が噴き出し、陽翔にかかる。
少ししてボトッと頭が落ちる。
「ぉえ!」
全身を真っ赤に染めた陽翔は突如吐き気を感じ胃の内容物を吐き出す。
(な、なにが・・・)
突然おきた事に理解が追い付かなくて困惑する。
恐る恐る陽翔が目を前に向けると、そこには・・・
「大丈夫か!坊主!」
一人の男がいた。
英語がペラペラだったらどんなに楽か・・・いいなぁ。
また次回もよろしくお願いします!