プロローグ
よろしくお願いします。誤字脱字があれば申し訳ありません。
「てめぇぶち殺すぞ!」
道端に荒々しい声が響き渡る。しかし周りの人々は、見て見ぬふりをして通り過ぎてゆく。声をあげているのは、いかにも遊んでいそうな金髪の男である。
「すみません!すみません!本当にすみません!」
「謝って済むことだと思ってるのか、どうなんだよ、おい!」
謝っている高校生であろう少年は必死に土下座をしている。金髪の男の服には、茶色い染みが。男が激怒してるのは、この染みのせいだろう。店から出てきた青年に行き良い良くぶつかったのは、男のほうなのだがそんなことはお構いなしに怒鳴り散らしている。
そんな姿を眺めているこれまた高校生と思わしき青年がいた。一つため息をして、歩き出す。しかし助けに行く訳ではない。歩きながら携帯を取り出し110番をする。
「ええっと・・・はい喧嘩が起こっています。・・・はい・・ええっと場所は・・・・」
まもなくして警官が来てすぐさまおさっまった。彼、宇都御 陽翔は、それを見届ける。
本当は110番しなくても陽翔自身が止めに入れば、治まっていた。彼にも多少なりとも護身術があるし、あと1人ぐらいなら守れた。しかし陽翔はしない。
「はぁ。早く帰りてぇ。」
が、かと言って陽翔の本心ではない。故に陽翔は苦しんでいた。自分の心が助けに行けと叫ぶが、頭では余計なことをするなとお前に何ができると、ささやくのだ。
「何やってんだか・・・」
そう呟きながら横断歩道で止まる。力を抜いてまた1つため息をつく。空を見上げてボーっとする。
少しして信号が青に変わり、止まっていた人々が一斉に動き出した。勿論、陽翔も例外ではなく歩き出そうとする。しかしいきなり止まった前の人にぶつかった。
「っと、なんだ?」
前にいた男性は斜め前を向いて固まっていた。陽翔もつられてゆっくりと男性が見ている方に目を向ける。
(何かが火花を散らしながらこっちに来てるのか?)
次第にその姿が鮮明になり恐怖がその場の全員に駆け巡った。
ギギィィィィィィィ‼っと音をたて1台のトラックが猛スピードで突っ込んで来る。
そして丁度交差点の所で信号機にぶつかり気絶している、運転手の手が右にハンドルをきる。
とりあえずこれで誰も轢かれることはなくなる。
陽翔はふと前を見た。
別にさしたる理由がある訳ではない、ただ少し目を向けただけだった。だが、しかし陽翔は見なければよかったと後悔した。
1人の女子高校生が歩いていたのだ。耳にはイヤホンが見える。女子高校生は音楽を聴きながらスマホを見ているためトラックに気が付いていない。
このままだと確実に轢かれるだろう。
陽翔は、人を押しのけて走りだす。
「クソ!」
ほんの一瞬だったが陽翔の頭に無数の思考が巡る。
(何で俺は・・・どうして助けようとする!)
(あの時何もできなかった俺に何が出来る!)
だが陽翔は想像する。何もできないまま誰かが傷つく姿を。
陽翔の心が悲鳴を上げた。そんなこともう嫌だと心が叫んでいる。
(何迷ってんだ!)
トラックはもうそこまで来ている。このままでは間に合わない。
「ちくしょぉぉぉぉぉぉぉ!」
そう叫びながら大きく前へと飛び、女子高校生を突き飛ばす。代わりに陽翔はトラックの前えとでる。
(あぁ、俺死ぬのか)
ごっと音がして続いて肉が潰れる音が響く。血しぶきが舞いドッチャと何かが落ちた。
陽翔は気づいたら空を見上げていた。全身が熱く、燃えるようだった。遅れて全身に激痛が奔る。
「っが、は!」
あまりの痛さに声を上げようとするが出来ない。代わりに血液が口から溢れ出る。立ち上がろうとするも腕は動かない。
腕はありえない方向へと曲がり足は潰れていた。動くたびに血が漏れ出て寒くなっていく。
(あいつに謝れなかったなぁ・・・)
陽翔は空を眺めて涙を流す。少しずつ視界が狭まっていき、悔しさと後悔が胸に広がる。
「・・・・ご・・め、ん・・・」
なんとかその言葉を呟き、それを最後に陽翔は目を閉じた。
――運命の歯車が回りだす――
ありがちな物語ですみません。でもここまでお読みいただきありがとうございます。次回更新は未定です。
末永くよろしくお願いします。