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14―あっさり解決

本日、いつもより長めです。




 まだ日の昇らぬ内から、小屋の中は慌ただしい。下っ端がショーマ達を次々と起こして回り、それぞれに布で出来た猿轡(さるぐつわ)を嵌めていく。


 ショーマはこのどさくさに紛れてアンズ人形の魔法を解き、残った服などは洞窟に転送した。


「これで全員噛ませたっす!」


「おい、早くしないか。夜が明ける」


「へいーっ!おら、お前とお前はこっちだ」


「ちっちゃい嬢ちゃんはこっちっすよー」


 兄貴と下っ端はショーマ達をグループ毎にまとめていく。


「紫のお嬢ちゃんもこっちっす!」


 ショーマは下っ端に腕を取られ、一番幼いグループに入れられた。


「むっ!?むぐぐ・・・」


 はぁ!?俺、ここじゃないと思うんだけど!


 ここで逆らうのはややこしい事になると、ショーマは心の中で大きな溜め息を吐き反抗心を押し込めた。


 兄貴と下っ端はそれぞれのグループの女性を手首のロープを使いまとめて繋いでいく。


「1、2、3・・・あれ?兄貴、青が10しかいないっすよ?」


 やっべぇ!あんず姉ちゃんの分減ってるんだった!!どうする?・・・やばくなったら魔力制御を解くか(やってしまおうか)


 緊張から背中に冷たい汗が流れる。


「んあ?数揃ってりゃあ文句ねぇだろ」


「そっすね」


 ・・・ふぅ。あいつらが大雑把でバレずに済んだよ。


「おっし、(かしら)ぁ!準備できやしたぜ!」


「では行くぞ」


 男達に連れられて、ショーマ達総勢22名は小屋から外へ出た。


 うーさっぶーい!!!あれ、歯がガチガチいかない。なるほど、だから猿轡を噛まされたのかー。


 ショーマは変な所に関心を示しつつ、まだ夜も明けぬ薄暗い浜辺を船着き場まで歩いていった。




「うわー、でっけーなぁおい」


「うひょー!こんなでかい船盗んじまって大丈夫っすかねー」


 兄貴と下っ端は船が見えると口々に驚きを声に出す。


「旗筒があるということは観光船みたいだな。この時期は使われていないのだろう」


 旗筒?観光船?あの筒は大砲の砲身じゃないのかな。この世界では違うのか?


 ショーマは男達の反応に疑問を抱きながらも、船に近づいていく。




 全員がどうにか梯子を登りきり船に乗り込むと、兄貴と下っ端は(かしら)とショーマ達を甲板に残して船の運航準備に取り掛かる。


 この大型船は動力がキチンと用意されており、手で漕いだり帆を張る必要が無い。実はこの世界最先端技術の粋を集めて作られていた。

 しかし、兄貴と下っ端の二人が扱えるかは別問題である。そもそも機関室があることを知らないし、扉を開けて確認する事すらもなかった。


 二人は何も考えずに(通常通りに)錨を上げる。


「おい、帆を張らねぇと。って、この船には帆がねぇのか!?」


「兄貴ぃ、なんかもう船が動いてるっす!」


「はぁ!?どうやって動いてんだぁ!?」


 二人の慌て様を尻目に、大型船は静かに動き出した。


「これ、(かしら)に言った方がいいっすかね?」


「お前バカか?今(かしら)にんな事言ってみろ、新しい船を探せって言うに決まってらぁ。今から探したら寒波に捕まっちまう。ここは黙って出ちめぇばいいのさ」


 二人はこの不思議な状況を(かしら)に黙っている事にした。




 ショーマは動き出した船上で、仲間の配置を確認している。


 レベッカさんはあそこに居るのか。エドはっと、あそこか。うん?


 ふと、ショーマは何かの気配を感じた。気配を探る様に後を振り返る。


むっ!(あっ!!)


 ショーマの向いた先には、船の(へり)から小さく手を振り微笑むソラが居た。


むむむん(父さん)むむんむん(なぜそこに)!?」


 ショーマはソラにクイッと引っ張られ、慌てて繋がりに糸を巻く。


 ―――父さん、なぜそこに!?


 ―――なぜって、ショーマを助けに来たんだよ。


 ショーマはソラの事を思わず父さんと呼んだ。普段の彼らしくなく、かなり動揺している様だ。ソラが人間の町以外で父さんと呼ばれ、ちょっとニヤケているのはご愛嬌だろう。


 ―――え、でも、え???


 ―――詳しい説明は後でね。これからの動きを伝えるよ。


 ―――うん。わかったよ。


 ―――この船が出航したら、ってもう出航したみたいだね。この船はリンドさん(おじいちゃん)が海流を操ってある場所へと進める。そして、目的の場所に着いたらシドが海を凍らせて船の動きを止めるんだ。そこでアルカンの自警団が奴隷商達を捕まえるから、ショーマは女の子達を守ってあげて。


 ―――え?う、うん。わかった。これが大捕物?


 ―――違うよ。そうだなぁ、これは消化試合かな?


 ―――・・・あいつらの扱いが可哀想。でもこれでお姉さん達も安心だね!あとは自警団のみなさんに任せるよ!


 ―――それがいいよ。じゃあ僕はまた後で来るから。


 ソラはそう言って、ショーマの視界から消えた。


 あれ?父さん、まさか浮いてた?もしかしてドラゴン姿じゃなくても飛べるの!?


 ショーマはソラの登場に暫くの間、吃驚(びっくり)して惚けていた。隣の女の子が控えめにショーマの手を引き、彼ははっと我に返る。心配そうに見つめてくる女の子に、ショーマは大丈夫と今出来る最(口角を上げて)大限の笑顔(目を細めた顔)を見せた。




 朝日が上ってきた。周囲は一気に明るくなる。




 ショーマ達の一歩前には(かしら)が立ち見下ろしていた。彼はそれなりに高身長の様だ。身なりは奴隷商にしては良い物を身に着けている。


「今からお前達を船倉に入れる!自分の前の者に従って順番に進め!」


「さぁ、お嬢ちゃんから行くっすよ!」


 (かしら)の号令の元、下っ端が少女を引いて船倉へ降りていった。

 ショーマも素直に後についていく。その際、レベッカに向かって首を横に振った。そしてエドに指示を出す。


 ―――エド、レベッカを止めて。


『わかった』


 エドはショーマの指示に従い、レベッカの拘束に手を掛けた。なぜなら、レベッカが今にも(かしら)に飛びかかろうとタイミングを(うかが)っていたからだ。




 ショーマ達は船倉に閉じこめられた。男らはここには居ない。


「ふぅ」


 ショーマは(おもむろ)に猿轡を外す。


「むっ!?」


 隣の女の子が驚愕の眼差しでショーマを見つめる。なんでこの子は手が自由になってるの!?と言ったところだろう。

 ショーマは女の子を横目で見つつ、レベッカとエドを探す。


 ショーマは近くにいたエドの猿轡を外した後、レベッカの猿轡も外そうと手を掛ける。


「レベッカさん、なんでさっき一人で飛びかかろうとしたんですか。まだ作戦地点に至ってなかったのに。あそこで突き落としてもすぐに陸地に泳ぎ着きますよ?っと、外れた」


 ショーマは先程のレベッカの行動を咎める。


「はあー、ふうー。だって、船倉に閉じ込められたらチャンスは無いでしょう?なんで止めたの?」


 レベッカは大きく深呼吸をして、逆にショーマに問うた。


「作戦は変更です。とりあえず、みんなの拘束を解きましょう」


 ショーマはそう言って杖代わりの鉛筆を掲げる。そしてレベッカとエドの手足のロープを風の刃で切り拘束を解いた。


 ショーマは女性達が驚く中、次々と魔法で手足の拘束を解いていく。レベッカとエドは猿轡を外していった。


「さて、全員自由になったかな?」


 ショーマは女性達の前に立ち、回りを見て確かめる。全員が自由になったことを確認すると、これからの事を伝えた。


「今、自警団の作戦が進行中です。そろそろこの船は止まります。その後、奴隷商たちは捕まる予定です。わたし達はここで静かに救助を待ちましょう」


 ショーマの言葉に女性達の顔は明るくなった。


『おい、俺はどうしたらいい?』


 エドはショーマに話し掛ける。


 ―――そうだね、何かあるといけないからここで待機で。俺と一緒にこの子達を守ってくれる?


『わかった。何も起こらないことを祈ろう』




 直後、船はギシギシと音を立てて停止した。




  ◇◇◇




 奴隷商の男たちは船の船橋(ブリッジ)にいた。


 兄貴が舵をとり、下っ端が周囲の警戒をし、(かしら)は椅子に腰掛け目を閉じている。


 ──ギシギシギシ──ズズン──


「なんだ!?」


(かしら)ぁ!船が止まっちまった!」


「すぐに確認してこい!」


「へい!」


 (かしら)が兄貴を確認に走らせる。


「お前は船倉の確認をしてこい!」


「あいっさー!」


 下っ端は船倉に向けて駆け出した。


「──一体何が起こったんだ?」




 下っ端が船倉への階段を駆け下りる途中、奥の扉が開く。そこから五人の兵士然とした男が飛び出してきた。彼らは自警団の団員たちだ。


「え?さっきはその部屋、誰も居なかったじゃないっすか!!」


 下っ端は慌てて踵を返し、船橋へ戻ろうとするもここは階段。足を滑らせ(つまづ)いている間に拘束された。




 兄貴は船の状況を把握しようと船首に向かっていく。


「さっびぃな。うん?海が凍ってる?まさかっ!?」


 兄貴は船首に駆け寄り、船の(へり)から下を覗き込もうと顔を出す。すると、空中に浮かぶ男と目があった。彼はソラだ。


「へ?浮いてる?」


「あーあ、見つかってしまったか」


 ソラは口ではそう言いながら、顔には獰猛な笑みを浮かべていた。


「バ、バケモノ!!」


 兄貴はソラから逃れようと船橋へ向かって走り出すも、難なく追いつかれて拘束された。




 (かしら)は一人船橋で手下の帰りを待つ。


「──あいつら、遅くないか?」


 ガチャ


「おい、遅かったな。っ!?」


「待たせたな」


 (かしら)が廊下側のドアに視線を向けると、そこにはテッドと数名の自警団の団員がいた。


「奴隷商ジョッシュ!いや、アイザック・ロクサンド!貴様を法令違反で拘束させてもらう!」


「くっ!」


 (かしら)(もとい)アイザックはテッドのいるドアの反対側にある直接外に出られるドアへ走った。


「馬鹿が。そっちに人員を配置していない訳がないだろう?」


 アイザックはテッドの呆れた声を聞き流し、ドアを開けた。そこから両側に階段があるのだが、それぞれの階段の前には二人の男がいる。彼らはリンドとシドだ。


「くそっ!」


 アイザックは二人の内、線の細いシドに向かって懐に隠していたナイフを投げる。シドは顔に向かってくるそれを素手でいなし、ナイフの後から体当たりをしてきたアイザックを甲板へ投げ飛ばした。


「おいおい、殺して(やりすぎて)ないだろうな」


「大丈夫です。こんな雑魚、殺す(魔法を使う)価値もない」


 シドの淡々とした返答にリンドは苦笑いを浮かべつつ甲板へと降りていく。そして投げ飛ばされ気を失っているアイザックを拘束した。


「テッドよ。わしらは孫を迎えに行ってくるよ」


「わかりました。ここは我々にお任せください」


 リンドとシドはテッドにアイザックを引き渡し、船倉へ向かった。





朝木  「やっと捕まえられたー」

女神様 「ほんと長かったね」

朝木  「いろいろと手を伸ばしすぎたと反省中」

女神様 「反省ついでに私の出番も!」

朝木  「いやぁ、まだ出ないかな?」

女神様 「なんでよ!?」


 女神様の出番はもう少し先です!



 やっっっと捕まえられました!

 捕まえる場面、淡々とし過ぎたかな?

 うーん。強すぎるのも考えもの?



 次回、事後処理その1。です。

 立てっぱなしのフラグ回収に行きます。

 1話では終わらない可能性が…

 Σ(´□`;)



 応援して頂けると嬉しいです(^^)

 訪問だけでも大感謝(^^)/



 お休み中のご訪問ありがとうございました(*´ω`*)


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