13―協力者3
ショーマは驚くエドに隷属魔法をサクッと掛けた。
開発当初は魔法陣が光り輝いていた。しかし転移魔法の開発以降、魔法陣を魔力で描く様になってからは素養のある者しか見えないらしい。隷属魔法といい、転移魔法といい、ショーマの魔法は日々使いやすく改良されている。
『なんなんだ?この暖かい魔法は』
「えっとぉ、隷属魔法ですよぉ」
『隷属って、俺は奴隷にされたのか・・・』
ショーマは項垂れるエドを見て、ミツキに魔法を掛けた時を思い出した。
問答無用で隷属魔法を掛けるのって心が痛いな。でも今回は仕方ないって事で!で、この魔人の繋がりは・・・っと、これか。
ショーマはエドとの繋がりに糸電話の糸を巻き付けた。
―――あー、あー、テス、テス。聞こえる?
『!?』
エドは不意に聞こえた声にキョロキョロと背後を見まわす。
―――俺ですよ俺。こっち見てー。
ショーマはエドの前でひらひらと手を振る。
―――改めまして、俺の名前はショーマ。よろしくね!
『・・・この突飛な事態は受け入れるしか無いのか』
―――そうしてくれる?で、早速なんだけど、君の名前はエドウィナって言うの?
『・・・はぁ。俺はエドワルドだ。仲間にはエドと呼ばれてる』
エドは溜め息を吐き、名乗った。
―――ちょー美人のお姉さんに見えて、やっぱりお兄さんなんだね!
『・・・』
―――あ、俺もこう見えて男なんで。よろしく!てか、エドワルドって人間みたいな名前だね。
『・・・何が言いたい?』
エドの片眉がピクッと震えた。ショーマは慌てて謝る。
―――え!?怒った!?ごめん!ただ思った事を言っただけだから!!
『はぁぁ。で、なんでお前みたいな人間がこんなところにいるんだ?』
エドは盛大に溜め息を吐くと、ショーマに聞く。
―――俺は女と間違えられたからここにいるんだよね。てか、そもそも俺も人間じゃないんだ。
『人間じゃなかったらなんなんだ?まさか、お前も魔物か!?』
―――ざんねーん!俺は魔族でーす!まあ、一緒に捕まった子は魔物だけどね。
『へぇ、魔族かぁ。・・・は?紫色で?』
―――うーん。今変装中でさ。目だけならいいか。ほい。
ショーマは瞳だけ変装魔法を解く。
『・・・黒かよ』
―――みんな言うんだけど、そんなに黒って珍しいの?でも、そういうことでよろしく!
ショーマは変装魔法を掛けなおした。
―――で、明日の作戦なんだけど、ちょっと変更したんだよね。
『はぁ。お前は一体何をしでかす気だ?』
―――ちょっと!なんで急にダメな子扱い!?ま、いいけどさ。明日は俺が魔法で賊を捕縛することになってるんだ。だから、エドには他の女性達と一緒に賊の動きを止めて欲しい。
『それぐらい朝飯前だ』
―――よろしくー。やっぱり魔人のお兄さんは頼りになるね!てか、なんでエドは魔人なのに人間の味方をしてるの?
『俺はマーシーだからな。ソルの民の味方なんだ』
―――マーシーって人魚じゃないの!?エド、足あるじゃん!
『確かに、人間みたいな足が無いヤツの方が多いな』
―――皆の足が魚って訳じゃないんだね。ちなみにソルの民って?
『昔からこの地に住んでいる人間たちのことだ』
―――ふーん。昔ってどれくらい昔?
『そうだな。この世界に魔物が生まれる前だろうか』
―――うん。途轍もなく昔って事だけはなんとなくわかった。
『俺も、お前が魔族のくせにまったく常識が無い事がわかった』
―――え?
『マーシーとソル、そして魔族とは協力関係にある。その中でも鳥人族とは関係が深い』
―――へぇー、そうなんだ。
『でも、お前はそこら辺の知識が何も無い。結局のところ、お前は何者なんだ』
―――え?俺?俺はドラゴンに育てられてる竜人かな。
『ふーん。ドラゴンに育てられてる竜人ねぇ。・・・はあ!?』
エドは思いっきりショーマに顔を近づけ、ガン見する。ショーマは若干引き気味で返す。
―――俺、なんか変なこと言った?
『おい、今、竜人って言ったか!?』
―――え、うん。そうだよ?
『そうなのか・・・』
エドはそう言って考え込む様に黙ってしまった。
―――???なんでそんな反応なのかよくわかんないんだけど。
『はぁ。帰ったら親に聞いてみろ』
エドはこれ以上話すつもりは無いとばかりに壁に寄りかかり目を瞑ってしまった。
―――うーん。わかったよ。明日はよろしくね!
『あぁ』
ショーマは腑に落ちない顔をしているが、エドにしっしっと手で払われその場を離れる。
「──ふわぁ」
ショーマはアンズ人形の元に帰り、壁に寄りかかると睡魔に誘われるまま眠りに落ちた。
他人からはずっと二人がただ黙って見つめ合っている様に見えただろうが、二人を気に留める者は居なかった。
◇◇◇
オズはトビーとセシルの元に戻った。
「戻った」
「お帰りなさぁい♪首尾はどぉ?」
「全く疑ってない訳ではないだろうが、問題ない」
「じゃあ後はあのお二人さんにお任せっつーことで、俺らぁずらかるぞ」
「そうだな。船は繋いだか?」
「バッチリよぉん」
「いつでも出れるぜ」
「じゃあ出るか」
三人は先程乗ってきた大きめの船に乗る。その船と頭が乗ってきたと思われる船をロープで繋ぎ、島から離れて行った。
島には船が一艘も無い状態になった。
◇◇◇
ソラとシドは小屋を山の中腹から覗っていた。
「あそこにウィスがいるのか」
「そうだね。大丈夫?」
「はは。さっきのブラウンに比べたら全然安定しているよ。いつでも話せるっていうのが一番大きいかな」
「そっか。その会話方法とか面白そうだから、帰ったら私も魔法を掛けてもらおう」
「そうだね。掛けてもらった方が何かと便利だよ。それに、傍若無人に僕らを操ろうとか思ってないみたいだし」
「確かに、魔物を操ろうなんて考えてもいないだろうね」
「うん。ウィスは根本的に優しいから」
「──スカイに似てね」ボソッ
「え?」
「フッ。さあ、あの子達も動き始めたみたいだし、私たちも準備を始めるか」
「うん?うん。そうだね」
二人は山から下り、オズ達のいた護岸へ向かった。護岸に船が無い事を確認するとすぐそばにあった林道の脇に姿を隠した。
◇◇◇
リンドはテッドと共にアルカンの港に居た。
「この船なら自警団の物なので私の指示で動かせます」
「なんだかめんどくさいな」
リンドはテッドの案内で、自警団の大型船に乗る。
「そう言えば、今は警備兵とは別組織なのだろう?」
「えぇ。政変の折にいろいろとありまして・・・」
「そうか。色々と大変だったのだな」
「はい。でも今回の件で一気に落ち着くと思います」
「だと良いな。ではそろそろ向かうとするか」
「わかりました。おい、出航だ!」
テッドが号令を掛けると、船はアルカンの港から出発した。
朝木 「やっとここまで辿り着いた」
女神様 「あと少しだね!で、私の出番は?」
朝木 「………」
女神様 「ちょ、ちょっとー!」
女神様はまだまだ先です!
まずは近々の事からコツコツと!(^_^)
エドはマーシーでした。
人魚じゃない形態のヤツもいるみたいです。
そして、疑惑の竜人!
どう言うことなんでしょうねー。
え?(;゜∀゜)
それぞれが動き出しました!
あそこがあーしてこーなるんです!
頭の中では巧くいくんだけど、書いてみたらどうだろうか。
ちょっと不安…(ー_ー;)
次回、いざ大脱出!です。
やーっとショーマは囚われの身から解放されます!
\(^o^)/わーい♪
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(*´ω`*)ニマニマ
次回投稿は作者都合により1/23(水)になります。
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