4―アンズ送還
ショーマは今の己の状況と今後の予定を手紙に書いた。
これでよし!ユカリ用の転移魔法陣で行き先を俺からソラさんに変えれば手紙は届くはず。この手紙をソラさんが読んでくれれば、とりあえずどうにかなるかな?
ショーマはその場に胡座をかき目を瞑った。意識を魔物達との繋がりに集中する。
ソラさんは・・・あ、コレだ。この大きな存在がソラさんだ。地点をこの繋がりの先に設定すればたぶん大丈夫だよね。
ショーマはソラを確認すると、手紙を自身の魔力で包む。
手紙に俺の魔力を紐付けして一応届いたか判るようにしておこう。ソラさんが手に取ったら消える様にすれば完璧!
準備を終えると、ショーマは足元に小さな魔法陣を描いた。
「はい、じゃあ行ってらっしゃい!」
ショーマの書いた手紙は魔法陣の光の中に消えた。ショーマは再び意識を集中する。
あ、消えた。たぶん届いたね。
さて次は・・・アンズ姉ちゃんを起こす、の前に、アンズ姉ちゃんの人形を作るか。ただ逃がしたらすぐバレるし。
ショーマはアンズの頭に手を置き、解析を始めた。
ふぅ。それを複製魔法で、はいっ!
ショーマの前に、アンズが身に付けている物が一式現れる。
服とかはそのままなんだけどさー。生体はたぶん食べ物の時と同じで食品サンプルみたいになると思うんだよね。
ま、いいや。これに空気を入れて膨らませてーっと。このままじゃ透明人形だから、変装魔法を掛けて・・・。あ、髪!髪の毛だけ複製したら鬘っぽくなるかな?やってみるか。
ほいっと!おおー!なんとなく鬘っぽーい!コレを頭に被せて・・・。うん出来た!結構な力作じゃない?うんうん。これだけ似てればすぐにはバレないね!
さて、そろそろアンズ姉ちゃんを起こしますかー。手足の縄を解いて、ほど、ほ・・・なんなのコレ。どうやって縛ってあんの?もういいや。縄を切ってーっと。どうやって起こそうか。
ショーマはアンズの手足の縄を風の刃で切り、彼女を起こすべく方法を思案し始めた。
たぶん睡眠薬かなんかで眠らされたよね。布で口塞がれたし。てか、俺は早々に起きたのにまだ寝てるってどういう事?魔物と亜人の違いかな?
今更ながら亜人ってなんなんだろ。ナタリーさんは熊人で、鳥人もいるんだっけ。よく漫画なんかで言う獣人ってやつなのか?実はあのスカートの中に尻尾があったり!?
いやいや、俺が角も尻尾も羽根も無くて完全に人間と同じ見た目なんだから、いくら熊って言ってもそれは無いよね。教科書にも人間と同じ見た目って書いてあったし。今度誰かに聞いてみよー。
ってそんな事より、今はアンズ姉ちゃんを起こさないと。
「リコちゃん。起きてー」
ショーマはアンズの肩をを揺さぶる。気絶しているとは言え回りに人間がいるので、一応人間名で呼ぶ事にした様だ。
「リコちゃーん。起きてよー」
「ムニャア、、、スゥスゥ。。。」
完全に寝てる!?睡眠薬っぽいのを身体から抜けば起きるかな?うーん・・・それなら解毒か。
今杖持って無いけど、鉛筆を代用すればいけるかな。似たような形だし、イメージを強く持てばたぶん大丈夫だよね。
よし。これは杖、これは杖、これは杖・・・。
ショーマは鉛筆を持ち、アンズに魔法を掛けた。
「ディア・セント・フェア・デトックス」
アンズの身体をキラキラとした光が包み込む。光が消えると同時に、アンズは身動ぎをして薄く目を開いた。
「おぉ、成功っぽい!リコちゃん、おはよう。良く寝た?」
「――まだ眠い・・・」
「こら、寝るなっ!!」
ショーマは再び目を閉じようとしたアンズのおでこをペチンと叩く。あまり痛くは無い様で、アンズは嫌々目を開けた。
「何よ、ショーマ君。あたしまだ眠いんだけど」
「はぁー。眠いんだけどじゃないから。あと、ウィーって呼んで。ここ人間の領域だから。向こうに人間がいっぱい寝てるでしょ?」
ショーマはガックリと項垂れ、部屋の反対側の壁側をクイッと指差す。
「え?あ、ほんとだ。あれ?ここはどこなの?」
アンズはキョロキョロと辺りを見回す。見たところで分からず、家の中?と首をかしげる。
「リコちゃん、なんで俺らがこんなところに居ると思う?」
「急にそんな事言われても分からないよ!」
分からないよ。じゃねーよ!!
「――ふぅ。さっきの市場で何があったかよーく思い出してみて?」
ショーマは思わずツッコミそうになったが、一つ息を吐き冷静になろうとする。
「さっき、市場で?ウィーの買い物が長くて飽きた」
飽きたって・・・。
「――んん。で、そのあとどうしたっけ?」
ショーマは咳払いと共に先を促す。アンズは一生懸命思い出そうと唸る。
「うーん。あ!パパのお友達って言う人間に会った!それで、パパがあたしを探してるって言われて、どうなったんだっけ?」
「その人間に薬を嗅がされてここまで運ばれたんだよ」
もう、なんなのこの娘。バカなの?
「はぁ。リコちゃんさ、今日誰とアルカンに来たっけ?」
ショーマは呆れつつもアンズに問う。
「そんなの、おじいちゃんとウィーに決まってるじゃん!」
「でも、町で話し掛けてきた人間はパパのお友達って言ったんでしょ?おかしいよね?」
「あれ?でも、パパのお友達って、あれ?」
「リコちゃんはその人間に騙されたの。それで、誘拐されてここまで連れて来られたの。俺も巻き添えにしてね。解った?」
ショーマはにっこりとアンズに向かって笑い掛けた。
「あ、えと、ウィー、怒ってる?」
アンズがおずおずとショーマに話し掛ける。
「いやぁ、全然怒ってないよ?俺より200歳も年上なお姉さまは、かなりのお馬鹿さんなんだなぁって呆れてるだけ。
俺との約束を破ったからこんな事になってるのにも気付いて無いみたいだし?知らない人に着いて行っちゃ駄目って言ったよね。
それにさ、本当にお父さんが探してるとしても、匂いで判るからお友達に頼んだりしないよ?どうしてそんな事も解らないの?ねぇ、お姉さま?」
ショーマは嫌味たっぷりにアンズに返す。
「そんなに言わなくてもいいじゃん・・・」
アンズはシュンと縮こまった。
「あ、呼ばれた。じゃあ、家に帰ってお母さんからたっっっぷり叱られてね」
ショーマはアンズの下に魔法陣を描く。
「え?ママに!?ちょっと待って!!」
「じゃあね~♪」
魔法陣が光ると、アンズは洞窟へと跳ばされた。
さてと。アンズ姉ちゃんが居た所に人形を設置して。あ、鞄を洞窟に送っておかないと。とりあえず、鉛筆だけ杖代わりにポケットに入れておこう。
ショーマは鉛筆をポケットに仕舞うと、鞄を自分の部屋へ転送した。
これでよしっと。そろそろ魔力を制御しますか。そこの人達にも話を聞かないとね。
ショーマが魔力制御をすると、凍てつくほどに濃かった辺りの魔力が薄れた。これで捕らわれた人間も含めその内目覚めるだろう。
はぁあ。とりあえず、ちょっと休憩。
ショーマは壁に寄りかかり、自らの手足を空気を縒って作った縄で縛り目を閉じた。変装魔法を掛けて縄に見えるように細工を施すのも忘れていない。
ショーマはそのまま眠りの世界に誘われた。
朝木 「お説教って書くの難しい」
朝木 「はぁ。またショーマに予告詐欺って言われてしまう…」
ショーマはアンズを洞窟に強制送還しました。
カエデ母ちゃんに説教を丸投げです。
次回、手紙を受け取ったソラは。です。
息子から、誘拐されましたー。
なんて手紙が来るとは思わないよね。
(;・∀・)
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