6―縄張り制覇
※6/27…会話文の表現を修正。
※10/5…鳥の魔物の色を変更。
※12/21…今後の部分を少し変更。
ショーマ達はミツキと共に魔物を従えたり、動物を狩ったりしながら、山全体を網羅した。
夜、洞窟でショーマは地図を見ながらミツキに提案する。
「ミツキ、そろそろ山を下りようと思うんだ。どうする?一緒に行く?」
『主は更に西に向かうのであったな。我はこの山で暮らしておるでの。森の奴等の縄張りを荒らすのは止めておこうか。主の料理が食べられないのは残念だが』
「そっか。じゃあ、明朝出発するから、当分お別れだね」
『そうだな。何か聞いておきたい事はあるかの?』
「うーん。いろいろ教えてもらったから大丈夫だと思う!」
『わかった。一つだけ、鳥の魔物には気を付けろ。あやつらは飛べるから主の隷属魔法が効かぬやもしれぬ』
「そういえば鳥はその辺飛んでるけど、鳥の魔物ってまだ遭ったことないや」
『この山から東の空はドラゴンのものだからの。鳥の奴らはここより西におるのだ』
「へぇー。何か対策を考えてみるよ」
『それが良い。我は主が魔王になるのを期待しておるでの。ここで躓かない事を祈っておこう』
「ははは。任せておいて」
明くる朝、ショーマ達は山を下り、更に西へ向かって旅立った。
◇◇◇
ショーマ達はどんどん魔物を従えていく。しかし、思うように先に進めていない。
あー、また進まぬ日々がやって来たよ。山から離れれば離れるほど、魔物が増えてる気がするな。あれは野鳥、いや、鳥の魔物だな。
ショーマは赤い鳥の魔物を見つけた。
「ウルシ、ちょっと止まって。静かにね」
ショーマはウルシから降りると、鳥の魔物へ近付く。
とりあえず、鳥かごの魔法で動きを封じてっと。
ショーマは魔法を発動し、鳥の魔物を石の鳥かごに閉じ込めた。
鳥かごはそのまま地面にフワッと落ちる。中では鳥の魔物がギャーギャー鳴いている。
そのまま、隷属魔法を展開!どうだ?
鳥の魔物は見事ショーマの魔法で従えられた。
よし、完了!これならいけるな!
「用事が有ったら呼ぶから。それまでは普通に生活してて」
ショーマはそう言うと鳥かごの魔法を解除し、鳥の魔物を逃がした。
「ウルシ、お待たせ。さ、次に行こう」
ショーマ達はまた進み始めた。
◇◇◇
家を発った頃に比べショーマの魔法は展開の早さがレベルアップしているはずなのだが、魔物の絶対数が多く思う様に進めない。
一人で居るとどうしても独り言が増える。
「いくら西にドラゴンが滅多に来ないからって魔物が多すぎるよ」
ショーマは思い通りに進まない事の理由を考え始めた。
「そっか。この森はミツキみたいな王者が居ないのか。だからこんなに魔物天国なのか」
彼はは一つの核心に辿り着く。
「でも、お陰でわかった事がある!魔物は黒が一番偉い!これ重要!回りを黒い魔物で固めれば、魔法を使わなくても従える事が出来るのだー!って、俺、何やってるんだろ。疲れてるんだな」
彼は頭を振って軽く気分転換を図る。
「そういえば、白の魔物ってミツキしか遭ったことないな。他の魔物は黒までしかいないのかな?」
彼の独り言はさらに続く。
「しかし、両生類と爬虫類の魔物には参ったよね。緑のカエルとか、緑のヘビとか、緑のトカゲとか・・・。普通が緑じゃないのかよ!って思わず突っ込んだよ。がっつり魔法を使ってくるし。ウルシが跳んで避けてくれなかったら当たってたよ」
よほど暇なのか、独り言が止まらない。
「逆に魚はさ、何色だろうと魚なの。魚の魔物なんて居ないんだよ!女神様も最初に教えてくれればいいのに!」
「あ、魔物だ。ウルシ、止まって」
ウルシは背中で独り言をずっと言ってるショーマを少し心配している。
彼は黒が上位種ということを知っていたし、魚に魔物が居ないことも知っていた。ミツキのようにショーマとしゃべれない事が酷くもどかしい。
◇◇◇
ショーマ達は遂に海岸線までやって来た。
「海だ!断崖絶壁だけど!
ウルシ、ルリ、後ちょっとで制覇だよ!!」
ウルシとルリは首を縦に振る。とても嬉しそうだ。
「よし、今日はここまでにして明日最後までやっちゃおう!」
ショーマは鋭気を養うため、今日は早めに休む。
◇◇◇
出発から半年が経った頃、ショーマはドラゴンの縄張り内の魔物を全て従えた。
これで大陸西部の一端はショーマの手によって従えられたことになる。
おし!これで縄張り制覇!
「もしもし、女神様ー?居るー?」
―――キャッ!イテッ!
「あれ?大丈夫?」
―――ごめん。ちょっと足元見てなくてタンスが足にぶつかった。
「それを言うなら「タンスに足が」だから」
―――コホン。それで、今日のご用件は?
「・・・。一応、ドラゴンの縄張りが終わったから上司に報告」
―――ほう・れん・そうってヤツだね!ショーマ君は偉いなー♪
「ども。それで、次はどんな感じ?」
―――うんとねー。そのまま勢力を広げちゃおうか!
「具体的にどれくらい?」
―――そうねー。今の5倍は欲しいかな。
「は!?どうやっても人間の国にぶつかるし!」
―――それは大丈夫だよー。まずは北方に広げてみたら?
「とりあえずその方針で行くよ」
ショーマは女神リンクを切ると、大きな溜め息を一つ吐いた。
◇◇◇◇◇
魔王はドラゴンの縄張りを制圧したか。
1年で終らせたとは。なかなか筋が良い様だな。
◇◇◇◇◇