10―年末のあれこれと初日の出
ちょっと遅くなりました。
※1/1…明けましておめでとうございます。
『初日の出』部分、加筆しました。
女神から世界の事情を聞き出しある程度の対策を立てたショーマは、のんびりと日々を過ごしていた。
ヒスイと雪遊びをしたり、ソラとミツキと共に雪掻きをしたり、サクラと料理をしたり、レイカーの地で秘密基地の計画を進めたり、家族でシャインレイの海を見に行ったり・・・前言撤回。のんびりではなく、かなりアクティブに日々を過ごしていた。
その中でも目玉のイベントは、ミツキとの勝負だろう。
「ミツキ!明日勝負しよう!!」
『それは良いな。ソラ殿、主の相手はどちらがよいだろうか』
「そうだね・・・まだオオカミで良い勝負かな」
うん?どちら?オオカミ?
「ミツキって、人の姿でも戦えるの?」
『ああ。我だけでなくソラ殿だって、どちらの姿でも戦うぞ?』
「そうだった。ちなみにミツキは獣の時と人の時はどっちが強いの?」
『得物がある分、人の姿の方だな』
「えっ!?そうなの!?」
『この姿の時の攻撃は体当たりと噛みつきと引っ掻きだぞ?まぁ、そこらの奴よりは強い自信があるが』
「た、確かに人の時の方が武器の分強そう。ソラさんはもちろんドラゴンの時の方が強いよね?」
「比べた事はないけど、流石にドラゴンの方が強いと思うよ。身体強化しなくても強い体だし、ブレスもあるからね。
ミツキだって爪に氷刃でも仕込めれば違うんだろうけど」
「そっか!ミツキもソラさんみたいに魔法を使えばいいのに!」
『無理を言うな。オオカミの体はそこまで強くないぞ。身体強化と魔法を同時にこなすのは難しいのだ』
「ふーん。そうなんだ?」
身体強化と魔法の併用は難しいのか。そう言えばやったこと無いな。
◇◇◇
次の日、ショーマはミツキに挑んだ。
「クッ、ハッ」
カンッ、カンッ
ショーマはミツキの鋭い攻撃に木剣をギリギリ合わせ、反撃の機会を待っている。
『フンッ!ヌンッ!』
カンッ、カンッ
ミツキも上、前、横と工夫をして攻撃するが、ショーマの固い守りに攻めきれない。後ろに回り込もうにも、その隙が見出だせない。
「このっ!ヤァッ!!」
『ぬわっと!』ズサァー
「うわっ!!」ガツン
ミツキはショーマの渾身の踏み込みを後方に跳びギリギリ躱し距離をとる。
ショーマは前のめりによろけた体を剣を支えにして急いで元に戻す。
「はい、そこまで」
ソラの掛け声に二人は緊張を解く。ショーマは仰向けにバタッと倒れ喘ぎ、ミツキはお座りの姿勢で忙しなく舌を出している。
「ゲホッ、ハァハァハァ」
『ハッハッハッハッ』
適度に休憩を挟みつつも、かれこれ2時間程は打ち合っていた。
「どうミツキ。ショーマ強くなったでしょ」
『ハッハッ、獣姿じゃもう、ハッ、楽勝は出来ぬなっ!ハッハッハッ』
「カハッ、ハァハァ、ダメだ、苦しい!」
「ショーマ、最後の攻撃は踏み込みと打ち込みがバラバラだったね。焦るあまり手が先に出ていたよ」
「コホッ、わかったッ、ハァ、もっと剣の重さに、慣れないと、ハァ、振り回されてるよね」
「そうだね。でも、今日わかって良かったね。これが本気の殺し合いだったら、さっきの隙に殺られてたよ」
「ハァ、本気の殺し合い、か・・・」
ショーマは段々と呼吸が整い、立ち上がった。
「・・・はぁ、頑張って練習しないといけないね」
女神様にああ言った手前、我関せずじゃいられないもんね。
次の日、ショーマは人化したミツキに勝負を挑んだ。初手でミツキに剣を弾き飛ばされ、勝負は一瞬で決まる。
「こんなのムリー!!」
「主、こればかりは練習あるのみだ」
「ミツキに勝てるように稽古頑張ろうね」
「はぁい」
それから程なくして、ミツキは住み処の西の山へ帰っていった。
◇◇◇
今日は12の月30日。この世界では今日が大晦日に当たる。
「ソラさん、ちょっとラアイテに行ってくるね」
「今からかい?もう夜中だよ?」
「うん。でも、向こうは逆に早朝だよ」
「あぁ、時差ってやつがあるんだったね」
「それそれ。向こうはこっちより大体8時間早く時間が進んでるんだよね。で、今から行けば海岸から初日の出が見れるなって。年が明けて最初の日の出を見ると、良い一年になる気がするし!まぁ、一種の願掛けかな?」
「そうなんだ。気を付けて行ってね」
「うん!」
ショーマはラアイテに転移した。
◇◇◇
ショーマは魔法学校の裏の森へやってきた。この森を東へ抜けると、初日の出を拝むのにちょうど良い浜辺に出るからだ。
辺りを見回すが、人の気配は感じられない。これ幸いと、ショーマは足元に光・球を出して浜辺へ向かう。
良かったー!雲ひとつ無い清々しい空!
あれ?他に日の出待ちの人は居ないんだ。この世界には初日の出を見るっていう習慣は無いのかな?ってことは、この海岸は俺の独り占めか!!じゃあ、あそこの高台に行っちゃおう!
ショーマは浜辺を少し歩き、海へ飛び出す様に聳える崖の上へ行く。
この崖、犯人が自白しそうな崖だよね。パトカーとかあの辺に停まっててさ。経緯をいろいろ披露した後に、どうしてこんな事したんだ!って刑事が臨場感たっぷりに聞くの。
お、空が赤くなってきた!もうちょっとで出てくるね。
ショーマは暫しその場に座り日の出を待つ。
徐々に空が赤から黄色に変わり更に白くなると、太陽がその姿の片鱗を顕す。見渡す限り水平線のその場所から見る光景は神々しい。聞こえるのは波が岸に打ち付ける音だけ。そして、冷気を孕んだ風が日の出と共にぶわっと吹き抜けた。
うわぁー。なんか、感動する。来て良かったな。
ショーマは数十分その場に留まり、ある程度太陽が上ると洞窟へ戻った。
◇◇◇
翌朝、ショーマ達は御来光を眺める為に、洞窟のある山の山頂に登り始めた。
「にーちゃん、はやくー!」
ヒスイは楽しそうに山を登っていく。
「ヒスイ、ちょっと待ってー!」
ショーマはヒスイを追って駆け登る。
「危ない所には行かないでねー」
「気を付けるんだよー」
サクラとソラは先に行ってしまった子供たちに声を掛ける。
「いっちばーん!」
「ハァハァ。ヒスイ、元気すぎ」
ヒスイとショーマは山頂に辿り着いた。
洞窟のある山は1500m程の高さがある。海から平地までが2000mあるので、標高だと3500mは超えるだろう。魔物の住むエリアのほぼ中央にあるので、そのまま中央山や中の山などと呼ばれている。
「少し出るのが早かったかしら」
「そんなこと無いよ。二人とも、こっちにおいで」
サクラとソラも遅れて山頂に辿り着いた。そして、子供たちを呼び戻す。
「ほら、ここに座って温かい物を飲んで待ちましょう?」
サクラは水筒から温かいミルクスープをコップに注いで子供たちに渡した。
「おいしーい!」
「はぁ。生き返るー」
ヒスイとショーマはサクラの隣の岩に座り、スープを飲んでいる。ソラはそんな三人の肩に毛布を掛けてあげている。
四人は暫くその場で待つ。
「あ、そろそろ太陽が登ってくるね」
ショーマは東の山脈から一条の光が差して来た事に気が付いた。
山頂から拝むのは大地から上る日の出だ。太陽は大地を赤く染めながら上がってくる。山頂から山脈までには遮る物が何もなく、視界全てが赤くなった。海から上る日の出とは違う趣があり、こちらもまた美しい。
「はぁ。素敵ね」
「本当に綺麗だね」
「おそら、きれーだね!」
「こっちはこっちで良いね」
四人は思い思いに日の出を眺めている。
アハハ!初日の出を一日に2回も見るなんて、スゴい贅沢だよね!
こうしてショーマ達は新年を迎えた。
ショーマ「ねぇねぇ、朝木」
朝木 「なに?」
ショーマ「あのさ、俺TUEEEだったよね」
朝木 「そうだよ?」
ショーマ「ソラさんにもミツキにも勝てないのに俺TUEEEなの!?」
朝木 「一応、その二人を従えてるじゃん」
ショーマ「…そうだけど。これじゃ、俺の手下TUEEEじゃない!?」
朝木 「大丈夫大丈夫!そのうちショーマってやっぱりTUEEE!になる予定!」
ショーマ「ホントかな」
朝木 「任せて!」
ショーマはまだまだ成長中です!
身長的にもね!笑
次回、親族訪問!
どんな人達が来るか、ワクワクです(^ω^)
応援して頂けると嬉しいです(^^)
訪問だけでも大感謝(^^)/




