8―この世界を考える1
翌朝、ショーマは起きると隣で寝るヒスイの頬をちょんちょんと突ついた。そして幼児特有のもち肌を堪能すると、起こさない様に気を付けながらベッドから抜け出す。
ダイニングに向かうと、既にサクラが起きていた。
「おはよう。早起きね」
「おはよ。なんか目が覚めちゃって」
ショーマは欠伸をしながら、冷蔵庫から水を取り出す。ついでに魔力を補充する。
ショーマがシャインレイから帰って一番にやった事がこの冷蔵庫の設置だった。サクラも「いちいち氷室に行かなくて済むから助かるわ」と大絶賛していた。
「ねぇ、ショーマ。何か酔い潰れた人に良く効く食べ物とかわかるかしら。私もソラもあそこまで酔わないから、何を用意してあげれば良いのかわからないのよ」
「え?女神様帰らなかったの?一瞬で帰れるのに」
「そうなの。今は客間で寝ているわ」
「はぁ。じゃあちょっと買い物に行ってくるね。朝ご飯は帰ってきたら食べるから」
「わかったわ。お願いね」
ショーマは身支度を整えると、ラアイテへ転移した。
◇◇◇
ショーマはラアイテにやってきた。
うーん。今度から転移する場所を考えないとダメだな。今回は大丈夫だったけど、出会い頭に人にぶつかったりしたら大変だね。帰りにちょっと探すかな。
さてと、とりあえずオレンジとアロエベラとヨーグルトかな。コーヒーは家にあるし、あ、ウコンもあるか見ておくか!
ショーマは二日酔いに効くと言われている物(※個人差があります)を購入するべく、市場へ向かった。
ショーマはオレンジ、アロエベラ、ヨーグルトを買うと、最後にスパイスの店へやってきた。
確かウコンはターメリックだったよな。
「こんにちは。扱ってるスパイスを教えてください」
「いらっしゃい。今日あるスパイスはクミン、コリアンダー、オールスパイス、カルダモン、コショー、ナツメグ、シナモン、ターメリック、チリペッパー、パプリカパウダー、クローブ、etc...だよ。何が欲しいのかな?」
うわぁ、カレー食いてー!!とりあえず今日は我慢だな。今度しっかり買い出しに来よう。
「ターメリックをこれで買えるだけ、これに入れてください」
ショーマはそう言って銀貨1枚と茶筒サイズの缶を渡す。
「はいよ。ちょっと待ってね」
店主はターメリックを缶に1/3程詰めて渡してきた。
1万円でこんな量か。やっぱりスパイスは高いんだなあ。さて、良さげな場所を探しながら帰るか。
ショーマは北門の東側から外に出て、今後使えそうな岩影を見つけた。そして、周囲を警戒しながら洞窟へ転移した。
◇◇◇
ショーマが帰ると、サクラが朝食を用意して待っていた。
「ただいま」
「お帰りなさい。お買い物ありがとう」
「あれ?ソラさんとミツキは?」
「二人は雪掻きをしているわ。昨日はかなり降ったみたい。
それを食べ終ったらヒスイを連れて遊んできてくれる?初めての雪にずっと玄関でうずうずしているのよ。女神様がまだ起きて来ないから、私は家に居ないといけないし」
「うーん。俺は女神様に聞かなきゃいけない事があるから家に居るよ。買ってきた物も調理しないとだし。サクラさんがヒスイを連れて行ってあげて。女神様が帰ったら俺も行く」
「そう?ならお願いね。巨石の近くに居るから」
ヒスイは大はしゃぎでサクラと共に外へ遊びに行った。
ショーマは朝食を食べ終えると、早速調理を開始する。
まず、アロエベラを下茹でする為に熱湯を用意した。皮を剥きサイコロ状に切って熱湯へ入れる。3分程茹でたらザルに取り、冷水で洗う。水気をきったら冷蔵庫へ。
オレンジは搾り器が無いので皮を厚目に剥く。適当な大きさに切ると布巾に包み大きめのボウルに入れる。その上から小さめのボウルで押し潰し、実を布巾毎搾る。出来たジュースを水差しに移す。コップ一杯を別に取り、ウコンをスプーン1杯分混ぜて冷蔵庫へ。
ヨーグルトはテンサイから作った砂糖を加えて冷蔵庫へ。
よし、こんなもんだろう。ジュースとヨーグルトの余りは後でヒスイにあげよう♪
さて、どうせ女神様が起きてくるのは昼頃だろうから色々考えるとしようかな。とりあえず今分かってる事を書き出してみるか。
ショーマはメモ帳に書き出すことにした。
えーっと、魔力が薄くなりすぎると世界が崩壊する。それで、魔力が薄くなった原因は混沌が無くなったから。
メモ
魔力薄→世界の崩壊
混沌無→魔力薄
これが昨日の話だよね。この関係から、混沌は何らかの作用なり返還なり還元なりを経て魔力になる。混沌は魔力の素と仮定できるワケだね。
メモ
混沌+何か=魔力
でも、魔力は生命力って仮説があるじゃん?これはほぼ確定だと思うんだよね。動物を狩ると何かが抜けていく感じがするから。
メモ
魔力=生命力
ってことは、世界の魔力が薄くなるイコール世界の生命力が薄くなるでしょ。
うわぉ、放っておいたら世界の生命力が無くなって世界が死ぬじゃん!
メモ
世界の魔力薄→世界の死!?
そう言えば、シャインレイってまだまだ途上国だよね?首都だからだとしても子供が少なかったな。ヘンリーとカールは二人兄弟なのに11歳も離れてたし、キャシーは一人っ子だったな。生命力が少ないから出生率が下がってるのかな?
メモ
生命力薄→生物減?
これはあり得るな。もしかしたら動物も含めて世界的に出生率が下がってるかもね。魔力についてはこんなものかな。
それで、混沌だけど。俺の知識で合ってるなら、恐怖とか憎悪とかそんな負の感情だよね。女神様も魔王としてヘイトを集めろって言ってたし。あ、女神様は魔王を作り出すのを失敗してるんだっけ。
メモ
混沌≒負の感情
魔王=混沌を集める存在
すぐに混沌が必要だったら戦争を止めるなって話だよね。死んだ人間から魔力は出ていくし、混沌も溜まるし一石二鳥じゃん。あー、なんか俺の思考が魔王っぽい。笑
メモ
戦争→混沌の発生+魔力(生命力)の解放
あれ?そう言えば、今は薄くなったって事は昔は濃かった?って事は、昔は混沌が有った?
メモ
昔 魔力濃→混沌が有った?
ショーマは今までの検討を踏まえて、3つの仮説を立てた。
<仮説その1>
女神様が世界を1から作った場合。
世界を作った時に残った混沌を使って魔力を作っていた。混沌がどんどん消費されて、今の魔力が薄い状況になる。
→女神様の実力不足。
<仮説その2>
既に完成された世界からスタートの場合。
女神の行動で混沌が生産されなくなった。残った混沌を~(以下その1と同じ)
→100%女神様のせい。元のポテンシャルを維持出来なかった。
<仮説その3>
その1、その2に関わらず、昔はどうにか運営出来ていた場合。
何らかの要因で混沌の発生が止まった。残った混沌を~(以下その1と同じ)
→さっさと原因の解明をしないとマズイ!
その1と2だったら、手っ取り早く戦争を起こしてもらおうか。悪魔からの横槍がなければ、火種は至る所で燻ってるだろうし。
その3とか洒落にならないね。どうなるんだろう。
とりあえず、女神様が起きてきたら確認しよう。・・・まだ起きて来ないのかな?早くヒスイと雪遊びしたいなー。
ショーマはダイニングテーブルに突っ伏して、女神が起きて来るのを待っている。
ショーマ「なんだか、世界の行く末が不安だ」
朝木 「うん。ショーマの双肩にかかってるね」
ショーマ「…今から他の人にチェンジしない?」
朝木 「え?今更何を言ってるの?」
ショーマ「魔王やりたくない。明るい未来が見えない」
朝木 「大丈夫!ショーマならやれる!」
世界はこんな事になってました。
壮大なスケール(笑)でお届けしています。
こんなハズでは…(ノ´∀`*)てへ
次回は、二日酔いの女神様!?です。
しっかりしてくれ!(`△´*)
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