6―家族が増えた日3
ショーマとヒスイは冬の気配深まる森へとやってきた。
二人共、白っぽいモコモコの膝上丈の上着を着込み、内側に毛皮が貼ってある皮の膝丈ブーツを履いている。ヒスイは更に真っ赤なニット帽を被っていた。これらは先日、サクラが村で交換してきた物だ。
「にーちゃん、なにするー?」
ヒスイがピョンピョン跳ねると、ニット帽のポンポンがピョコンピョコンと弾む。
ヒスイのあまりの可愛さにショーマは身悶える。
何この生き物!メッチャ可愛いんですけど!!
「――ぅん。じゃあ、お散歩でもしようか」
「おさんぽ?」
ヒスイは目をキラキラと輝かせてショーマを見上げる。
「うーん。そうだ、世界樹の所まで行こうか」
「せかいじゅ?」
「そうだよ。ほら、手を繋ごう?」
「うん!」
ヒスイはよくわからないまま、ショーマに連れて行かれた。
世界樹の下に来ると、ヒスイは上を見上げて感嘆する。
「にーちゃん、このき、おっきーね!」
「この大きな木が世界樹だよ。ヒスイは将来この木を守る仕事をするんだよ」
「しごとー?」
ヒスイはまだ理解が出来ないのか首を傾げる。ショーマはその可愛らしい仕草に顔を両手で隠して悶絶していた。
俺の弟が何をしても可愛すぎるんだけど!!
「――こほん。そうだ、折角ここまで来たんだし、木登りしてみる?」
「するー!」
「先ずはあの枝に登ってみようか」
「うん!」
ショーマは頑張って登るヒスイの後ろから手で押してやる。
「わあ!たかいねー!!」
ヒスイはキャッキャとはしゃいで落ちそうだ。
「ヒスイ!暴れちゃダメだよっ!!危ない!!」
ショーマは空気をネット状に編んで空中ブランコの落下防止ネットの様に枝の下に設置した。更に空気をロープ状に縒り、命綱代わりにヒスイの腰に巻く。
「これでヨシッと。ヒスイ、あの枝まで登ると洞窟が見えるよ。見たい?」
「みたい!!」
ショーマとヒスイは更に高い枝を目指して登って行く。設置されたネットは枝毎にどんどん増え、足を踏み外して落ちてもボヨンと元の位置へ押し戻した。ヒスイは落ちてもキャッキャと楽しみ、幼い頃のショーマと違って高い所で足が竦む事もなかった。
「ほらヒスイ、あそこの岩の所が洞窟だよ。見える?」
「どれー?」
「ほら、兄ちゃんが指してる方だよ」
ショーマはヒスイの脇にしゃがみ、ヒスイの目線で洞窟を指差した。
「あー!おとーさんがいるー!!」
「ホントだ。手を振ったら気付くかもよ?」
「おとーさーん!!」
ヒスイはソラに向かって両手で一生懸命手を振る。
ソラはこっちに気付いたのか、手を振り返してきた。
「あ、父さんもこっちに気付いたみたいだね」
「うん!」
「じゃあ、そろそろおうちに帰ろうか」
「はーい!」
ショーマは空気を固めて腕を作り、ヒスイがピョンと跳び降りて行くのを補助した。命綱とネットがあってもかなりヒヤヒヤだったことは想像に難くない。
◇◇◇
ショーマとヒスイは洞窟に帰ってきた。庭ではソラが何やら料理をしている。
「おとーさんただいまー!」
「ただいま。何してるの?」
「二人ともお帰り。今この鍋で鳥のトマト煮を作ってるんだ。出来上がったら味見をしてくれる?」
「いいよ!今日は寒いから鳥鍋はナイスチョイスだね!
それにしても、この世界でダッチオーブンを見るとはなー」
「ダッチオーブン?この鍋の名前かな?」
「そうだよってヒスイ!熱いから触っちゃダメ!!」
ショーマは鍋を触ろうとしたヒスイの手を勢い良く引っ張る。ヒスイはキョトンとしたあとみるみる目に涙を浮かべた。
「う~、ごめんなさい」
「兄ちゃんこそ大きな声を出してごめんね?でも、火傷しちゃうから冷めるまで触っちゃダメだよ?」
「はーい。ぐすん」
ソラはそんな二人を微笑ましく見ている。
暫くするとヒスイは泣き止んだ。火の前で座っていたソラの膝に抱えられてご満悦になっている。ショーマもその隣に座り、火を眺めながらのんびり過ごしていた。
「ソラ、そろそろショーマとヒスイを――って、もう戻っていたのね。二人ともお帰りなさい」
洞窟からサクラが出てきた。ソラにショーマ達を迎えに行っもらおうとしたらしい。
「ただいま」
「おかーさんただいまー!」
ヒスイはソラの膝からピョンと飛び降り、サクラに抱き着いた。
「あらあら。ヒスイにはお母さんのお手伝いをしてもらおうかしら。ショーマはどうする?」
「俺はソラさんの手伝いをするよ」
「お願いね」
サクラとヒスイは洞窟の中へ入って行った。
「ショーマ、ヒスイはドラゴンだからその鍋の温度くらいじゃ火傷はしないんだよ」
ソラはショーマと二人きりになると、先程焦らなかった種明かしをする。
「そっか、つい人間基準で考えてたけどヒスイはドラゴンなんだよね」
「うん。でも、ショーマはどんどん人間の常識を教えてあげてね。いずれ僕らの様に街や村の人々と付き合わなくてはいけなくなるから」
「わかった。任せて!」
「よろしくね。じゃあ、味見をお願いしようかな」
ソラは徐に鍋の蓋を掴んで取った。
「素手!?って、本当に火傷してない・・・」
「ははは。さぁ、どうぞ」
ショーマは素手で蓋を掴んだソラの手を確認してホッとする。そんな様子を見たソラは、笑いながらスプーンを差し出す。ショーマはそれを受け取り味見をする。
「フーフー。ズッ。うん!おいしい!!」
「そう?良かった」
「あ!!良いこと思い出した!ちょっと中に行ってくるね!」
ショーマは洞窟へ駆け込んだ。ソラはとりあえず鍋を火から降ろし、近くの岩の上に置いた。
「ソラさん!これこれー!!」
「うん?それは焼く前のパン?とチーズだね。何か作るの?」
「そう!ソラさん、ナイフ貸して」
「はいどうぞ」
「ありがと。チーズをサイコロ状に切って、パン生地に混ぜ混んで。で、ダッチオーブンを複製して・・・」
「え?鍋が増えた!?」
ソラはショーマの魔法に驚く。
「複製魔法なんだ。便利でしょ?この鍋でパンも焼けるんだよ♪」
ショーマは複製魔法で作った鍋の底に手頃な石で高さを出して網を入れる。その上に油紙を敷いて丸く捏ねたパン生地をお花の様に並べていく。その鍋を先程までソラが使っていた鍋のあった場所に設置した。
「ソラさん、蓋の上にも炭を置いてくれる?」
「へぇ、蓋の上にも置くんだ」
ソラは手で炭を蓋の上に並べていく。
「それぐらいかな?このまま40分くらい放置すればパンが焼けるよ。
うーさぶっ。ソラさん、今日寒くない?いつもより冷えるね」
ショーマは火から少し離れていたからか、ぶるりと震えた。ソラは空を見ながら考える。
「――今夜は雪かもしれないな。ショーマ。風邪をひくといけないから中に入ろうか。ここはこのまま置いておいて、後でパンが焼けそうな頃にまた見に来れば大丈夫だよ」
「そうだね」
ソラは出来上がった鍋を持ち、ショーマと共に洞窟へと入って行った。
朝木 「いやぁ、可愛いねぇ。ヒスイ君」
ショーマ「だろー?ホントに天使!」
朝木 「てか、ショーマちょー過保護じゃん」
ショーマ「あれは過保護にもなるって!生まれたてホヤホヤだよ?しかも天使だし」
朝木 「そりゃそーか」
ショーマ「朝木、ウチの天使の登場は多めでよろしく!」
朝木 「アタリマエダヨ(>∀<)b」
とにかくウチの天使はカワイイんです!
ちなみに、今後もう一人ちびっこ増えます。
キャラ設定済です!(☆∀☆)
只今登場タイミングを計っております!笑
次回は、レッツパーリーナイッ!笑
応援して頂けると嬉しいです(^^)
訪問だけでも大感謝(^^)/
ブックマーク頂きました!
ありがとうございます(*ノ▽ノ)
気付けば15万字を超えました。
まさかこんな事になろうとは…
短編って言ってたのはドコのドイツだ!
って感じですね(ー_ー;)笑




