5―捜索騒動
深夜、何かが回転する様な音が聞こえた。
シュピーン!
『はぁはぁ、うっぷ、うげぇ』
「うーん。こんな夜中に何が、、、え?ユカリ?・・・え!?どうしたの!!」
ショーマは慌ててユカリにヒールを掛けた。
『ま、ずい、にん、うっぷ』
「ヒールじゃダメか。じゃあこれならどうだ?」
「ディア・セント・フェア・ケア」
ショーマが呪文を唱えると、ユカリが復活した。
今までの軽い乗り物酔いはあくまで三半規管へのダメージだったからヒールで治ったのか。あそこまで酔ってたら、癒すじゃなくて治す必要があるのか。
『考察は後にしろ!ソロン達が危ないんだ!!』
ショーマが考え込んでいると、ユカリに思考の海から引き戻された。
「危ないってどういうこと?」
『30人くらいの人間が、お前の言ってた橋を渡って森の中を湖に向かっているんだ!銀色の金属板を持って迷うことなく真っ直ぐな!!』
うん?銀色の金属板?・・・はっ!!
「やっべ!GPS!!」
『じーぴーえす?とにかく、早く助けに行け!!』
「分かった!ちなみに、向こうは今何時だった?」
ショーマが部屋の時計を見ると、深夜2時を過ぎた辺り。
『今向こうは昼だ。とけい?の短い棒が10を過ぎたところだった』
「まじかよ。よし、行くぞ!!」
『おう!!』
ショーマとユカリはレイカーの住む湖へ転移した。
◇◇◇
ショーマはユカリと共に湖へやって来た。
『ショ、ショーマ様!?なんですかその魔力!!』
『ショーマ様って悪魔だったのか!?』
『馬鹿!ショーマ様は魔の王だぞ!!あれくらい当たり前だろ!!』
レイカーの戦士達はショーマの魔力量に戦慄いている。
「やっぱこうなるのかー」
ショーマはぽりぽりと頭を掻いている。
『おいショーマ、どういう事だ?』
「あー、今魔力制御を解除しててさ。俺は保有魔力がかなり多いんだ。レイカーのみんなは魔力に敏感だから気付いたみたい」
『なるほどな』
ユカリがショーマの説明に納得していると、青ざめた顔色のソロンが小走りで近付いて来た。ユカリはそんなソロンの顔の前で羽ばたき、状況を確認する。
『ソロン!ショーマを連れてきた!人間はまだ来てないよな!?』
『ま、まだ来てません!』
「間に合って良かった。ユカリ、人間のいる所まで案内して」
『わかった。こっちだ』
ショーマはユカリの案内で、大森林の中を歩いていく。
『ショーマ、この先に人間が居る。ちょっと待ってろ』
ユカリは一人、人間の方へ飛んでいった。暫くすると戻ってくる。
『やつら、何かを捜しているみたいだ』
「たぶんコレ」
ショーマは胸元から卒業証明証を取り出す。
『判ってるなら持ってくるな!!』
「いや、こう言う使い道もあるかなって」
ショーマはそう言うと、卒業証明証を首から外し近くの枝へ掛けた。そして、ユカリを伴って遠目だがその枝のよく見える位置へ移動し、息を潜める。
「おい、これじゃないか?」
「うん。この反応だな」
「どうしてこんな所に引っかかってるんだ?」
「鳥の悪戯とか?でも、さっきまで何も反応無かったよな」
「どうする?とりあえず戻って隊長に知らせる?」
「反応があるんだ。すぐ来るだろう」
騎士の言葉の通り、その場へ他の騎士達が段々と集まってきた。
『おい、人間をあそこに集めて何をする気なんだ?』
「いいからいいから。全員集まったら教えて」
『あと5人って所だ。でも、残りがこちらへ向かってる気配は無いぞ』
「はぁ、まじかー。めんどくさ。じゃあ、とりあえずコイツらだけ片付けるか」
ショーマは一つ深呼吸をすると、騎士達へ向けて歩き出す。
『お、おい!大丈夫なのか!?』
「大丈夫の、はず?」
ショーマは自信無さげに答える。ユカリはとりあえず見守る事にした様だ。
ショーマはどんどん騎士達に近付いていく。話の内容が聞こえる位置で止まった。
騎士達はぶるりと身体を震わせる。
「なぁ、なんか寒くないか?」
「お前もか。俺もそんな気がしてた」
「捜索を止めるな!人命が懸かってるんだぞ!」
「いやぁ、さすがにこの森で夜を越えては生きてないだろう。学校を卒業したとは言え、まだ13歳の子供なんだろ?」
「この証明証だって魔物に奪われただけで、今も元気に西の街道を進んでいるかもしれないし?」
「そんな御託は良いから気合いを入れて探せ!」
うーん。あの暑苦しい人が指揮官かなぁ。てか、やっぱり俺を探してるね。どーすっかなぁ。
「なぁ。あそこに人影が見えたきがするんだが」
「まさか。そう言えば、この辺りに人型の魔物の生息地があるんじゃなかったか?」
「いや、魔物だったら隠れないだろ」
数名の騎士がショーマの方へ歩き出した。
あ、見つかっちゃった?しょうがないな。
ショーマは威圧を放つ。そして、徐々に乗せる魔力を増やしていく。
「なぁ、やっぱりおかしくないか?いくら11月とは言えここまで寒くないだろ」
「う~、た、たしかに寒い!!」
騎士達は歯をガチガチと言わせ、腕をさすり暖を取ろうとしている。
「おい、あれ・・・」
「ま、ま、ぞく・・・」
その場に居た騎士達は全員気を失った。
あ、今の俺は全部が素だった。変装魔法くらいは一応掛けておくか。
『おい、ショーマ。どうしてこの人間達は気絶したんだ?』
「あぁ、人間は濃い魔力に弱いらしくて。威圧を放って無理矢理魔力漬けにしたんだ」
『お前、結構えげつないな』
「そう?殺生はしてないから戦力を削る方法としては穏便だと思うけど。てか、今本調子じゃないから巧く加減して戦えない」
『そうか。それより、どうするんだコレ』
「はは。困ったね。とりあえず、残りの人間も気絶してもらおうか」
ショーマはそう言うと、ユカリに索敵を任せてその方向に威圧を放つ。
そうして大森林に入ってきた騎士は全て気絶した。
ショーマはソロン達にもお願いして、騎士達を一カ所に集める事にした。
ショーマ「俺、今どれぐらい魔力あるの?」
朝木 「うーん。一般人が1だとすると、今は70前後かな?」
ショーマ「おお」
朝木 「それで、放出魔力が常時15くらい?」
ショーマ「それって、どれくらいすごいの?」
朝木 「うーん。一般人が10分耐えられるか耐えられないか?」
ショーマ「もはや歩く魔力兵器じゃん!!」
朝木 「でも騎士は訓練してるから“なんか寒いな”って思うくらいだよ」
ショーマ「な、なるほど」
ショーマが久し振りに俺TUEEEです。
この設定すぐ忘れちゃう(; ̄ー ̄A
次回は色々事後処理をしたりするお話しです。
あの人が出たいみたいです。(;・ω・)
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