3―謎金属/旅立ち
ショーマとジョージは商店街の宿屋にやってきた。
大荷物のジョージを階段下に残し、ショーマは一人カウンターに行く。
「こんにちはー」
「おお!あの時の坊主じゃないか。元気だったかい?」
「あ、俺のこと覚えてたんだ」
「わははっ、あの衝撃はなかなか忘れられないよ!」
「そう?今夜二人部屋一室空いてる?」
「二人部屋か?今日は空いてるぞ。この前は祭直前だったからなぁ。もう一人は親父か?」
「父さんはとっくに帰ってるよ。俺が魔法学校に入るために来てただけだからね。もう一人は友達。荷物がいっぱいだから、部屋が空いてるか先に確認に来たんだ」
「へぇ、じゃあ坊主と連れは魔法学校の卒業してきたのか。そりゃあ目出度いな」
「えへへ。ありがとう。ここって一泊いくらだっけ?」
「一人大銅貨1枚だが、卒業祝いに銅貨30枚にまけてやろう。残りの20枚で旨いものでも食ってこい!」
「まじで!?おじさんありがとう!!」
二人は部屋に荷物を置くと、宿屋の外階段を降りていく。
「じゃあ、夕方までに一階の食堂に集合ってことでいい?」
「それで良いですよ。じゃあまた後で」
ショーマとジョージは各自旅の準備を始める為に別れた。
◇◇◇
ショーマは当初の予定通り、杖のポンプシンに向かっている。
これ、買い取ってくれるかなぁ。フライパンを複製魔法で増やしたから材料費はタダなんだけど。
元々鉄だったけど冷蔵庫の部品を作るのに魔法で捏ねまくったら、なんか変な金属になったんだよな。
冷蔵庫は結局魔法でなんとかなっちゃったから、ファンとか配管とかの部品って要らなかったんだよね。羽根の角度を揃えたりして一生懸命作ったのに無駄骨だったよ。
ショーマの持つ金属の色は油の回った鉄鍋と言うか、水溜まりに油が垂れた感じと言うか。ガンメタに透明な七色を塗った様な不思議な色をしている。そして、当初のフライパンよりも軽くなっていた。
カランカラン
「こんにちはーって、いつも店の方に居ないな。こんにちはー!!」
ショーマは店の奥に向かって大声を掛ける。
「はーい、今行きますよー」
奥から店主の声がした。
ショーマが壁に並んでいる杖を眺めていると、奥からエプロンを着けた店主がやってくる。
「お待たせしました。って、いつぞやの坊っちゃん!」
「どもー。お久し振りです」
「今日はどうしたんだい?杖に不都合でもあったかな?」
「いえ、学校を卒業したので実家に帰るんです。その前に杖の整備をお願いしたいのと、これを買い取って貰えるかなって思って」
ショーマは鞄の中から謎金属の塊を取り出す。
「ふーん。どれどれ・・・っ!!坊っちゃん!!この金属はどこで手にいれたんだ!?これは魔鋼鉄じゃないか!!」
「え?え?魔鋼鉄?」
店主はものすごく興奮しているが、ショーマは訳が分からず首を傾げるばかり。
「知らずに持ってきたのかい!?魔鋼鉄は魔力で鍛え上げられた鉄の事を言うんだよ。色を見るに・・・って、おい!ほぼ完成しているじゃないか!!」
「ほぼ完成と言われてもよく分からないです。買い取ってもらえるんですか?路銀の足しにしようと思うんですけど」
「買い取る!寧ろ買い取らせてくれ!!しかし、こんな貴重な物をウチで売ってしまっていいのか?」
「俺には価値が分からないのでなんとも。杖を値引きしてくれたお礼も兼ねてるので、買い叩いてくれていいですよ」
何てったって、この魔鋼鉄?の材料費はタダだから。
「そんなこと言われてもな。この量で大銀貨1枚以上にはなるな・・・」
「それなら銀貨10枚でいいです。この杖作ってもらう時タダ同然だったじゃないですか。白金を使ってるのに」
「いやいや、その杖の材料はほぼ自前じゃないか」
「じゃあ、技術料と特急料金ってことで。てか、大銀貨なんて持って旅してたら危険なんで止めてください」
「うぅ、しかしなぁ。じゃあ、銀貨50枚でどうだ?大銀貨1枚以上の価値がある事は判っているのに、それより安い額で買い取るのは性に合わないんだ」
「うーん。わかりました。それで売ります」
「よし、じゃあ杖の整備をするから貸してくれ」
ショーマは杖を店主に渡すと後でまた来ると店を後にした。
タダで作った金属が50万円(ショーマの感覚)になってしまった・・・。これ、いい商売になりそう。
◇◇◇
ショーマは旅立つに疑わしくない程度の旅装を調え、整備された杖を受け取ると宿屋に戻り荷物を置く。
「ふぅ。軽いものを選んでも結構重いな」
ショーマは中古だが兎に角軽い一人用テント、寝袋、シャインレイの地図、魚の干物や干し野菜など、追加した物品の状態を確認する。
明日の朝は適当に市場で買って食べよう。昼もそれで良いか。そんでレイカーの所に寄って、今後の相談をして、で帰ると。
はぁ。なんだかソワソワしてきたな。半年振りの家だもんな。
一通り確認すると部屋を後にする。
ショーマは食堂へやってきた。ジョージはまだ来ていない様だ。
店員に連れが居ることを告げ、店の奥のこじんまりとした席に陣取る。
今日のオススメは鯛のアクアパッツァか。時間が掛かるけど、ジョージが来る頃に丁度出来上がるかな。
ショーマの財布は予想外に潤っているので、オススメを迷わず頼む。そしてボーッとジョージが来るのを待った。
「あ、ジョージ!こっちこっち!」
店に入ってきたジョージを見つけると、ショーマは大きく手を振りながら呼び掛ける。
「お待たせしました。ウィスは随分早かったですね」
「大して揃える物もなかったしね。さ、何食べる?オススメ料理はもう頼んであるから」
ショーマとジョージは旨い料理をたらふく食べ、宿へ戻る。
料金はそこそこしたが、ショーマはジョージを騙くらかして銅貨20枚だけ徴収した。
◇◇◇
翌朝、市場で朝食を食べ南門から街の外へ出る。
「これでラアイテの街とも当分の間はお別れだね」
「そうですね。入学前がなんだか懐かしいです」
「色々あったもんね。海行ったり、お城行ったり楽しかったな」
二人は暫し無言で感傷に浸る。
「──ウィス、また会えますよね?」
「そりゃね!今度来たときはジルに仲介を頼めば良い?」
「え?なんでジル様が出てくるんですか?」
「だって、その内ジョージは貴族になるんでしょ?」
「え!?な、なんで知ってるんですかっ!?」
「ふふん。ナ・イ・ショ♪」
ショーマは小悪魔の様にウィンクを投げる。ジョージは男だと知っていても顔を赤らめた。
「げ、何その顔・・・。じゃあ、俺こっちだから。またね!」
「はぁ。だったらウィンクなんかしなければ良いのに。
じゃあまた。道中気を付けてくださいね。知らない人には着いていかない様に」
ジョージは溜め息を吐きながらもしっかりとショーマの身を案じる。
そして、分かれ道でそれぞれの方角(西と南)に別れて行った。
朝木 「はぁー!やーっと終わったー!」
女神様 「ここまで長かったね」
ショーマ「ほんとほんと。もっと短縮できたよな」
朝木 「思い付いたままに書いてるから…赦して?」
ショーマ「朝木は計画性が足りない」
女神様 「そう。それに、記憶力も悪い」
朝木 「うっ」
ショーマ「しかもまだ終わってない」
女神様 「家に帰るまでが旅」
朝木 「でも、ほんとあとちょっとじゃん!ほっとしたっていいじゃん!!」
ショーマ「気を抜くなよ」
女神様 「あと少しなんだから頑張りなさい」
朝木 「はーい(-_-;)」
あと少しで魔法学校編が終わります。
いやぁ、長かった!
章タイトルを途中から魔法学校卒業編に変えてあります。
謎金属は魔鋼鉄でした。
タダで作ったものが50万円とか、羨ましすぎる!
次回はレイカーの住み処に行った後家に帰ります。
ほんとに帰ります!
応援して頂けると嬉しいです(^^)
訪問だけでも大感謝(^^)/
あ、タグ増やしました。
[後書きは反省会]です。
フッ、今の私にピッタリですね…




