2―餞別
翌朝、ショーマは部屋の片付けを始めた。
うわー、結構荷物増えたなー。はぁ、メンドイけどしょうがない。ここら辺は分解して処分するかな。
ショーマはバルコニーに出て、ガラクタ(の中でも主に冷蔵庫の試作品)を分解し始めた。
木の部分は湿らせて温めて腐らせて・・・うん。良い肥料になりそう!これは家行き。金属の部分は熱して塊にして、どうしようかな。あ!後でポンプシンに持っていこう!でも、魔法で作った金属って買ってもらえるのかな。
「ウィステリアくーん!お客様がいらしてるわよー!」
中庭からナタリーがショーマに声を掛けて来た。部屋にいる寮生は大体こんな感じでナタリーから大声で呼ばれる。
「はーい!今行きまーす!」
ショーマは手摺から身を乗り出し返事をすると、その場を少し片付けて下へと降りていく。
俺宛の客って誰だろ?
「ナタリーさん来ましたよーって、なんだ。ジル達か」
ショーマが食堂をヒョイッと覗き込むと、ジェレミア、イアン、ヒューイの三人がナタリーに出されたお茶を飲んでいた。
「なんだとはなんですか!相変わらずウィスは不敬な奴ですね!」
「はいはい。で、今日は何の用?俺、就活はしてないからね」
ショーマは椅子に座りながら適当に返す。
「はは、何の用ときたか。ウィスは卒業と共に国に帰るんだろう?別れの挨拶にも来ないから、こちらから出向いたんだが」
「二度と会えないかもしれないのに、友達に一言も無いなんてウィスは薄情者だよねー」
「私は別に、寂しいなんて思ってませんからね!寧ろ清々します!」
「みんな、なんかごめん」
すぐ来れるって分かってるのは俺だけだもんな。なんか、悪いことしたな。
「まぁいい。それで、餞別にこれをやる」
ジェレミアは懐から銀色のメダルを取り出した。ショーマは素直に受け取り、繁々と眺める。
「ありがとう。ちなみにこれは何?」
「それは、まぁ友好の証ってやつだ。表の星の絵がシャインレイの王家の紋で、裏の植物が俺の紋だ。それを持っていれば、例えば門での身分検査などが不要になる」
「へぇー。そんなすごいもの、俺が貰っちゃって良いの?」
「いや、逆にそんな物しかやれなくて済まないな」
「ウィス、ソレは絶対無くしちゃダメだよ?」
「大丈夫。ヒューイに言われなくても無くしたらまずいって判るから」
「泥棒とかにも気を付けてくださいね?悪用されたら大変ですから」
「わかってるって。そんなに脅すなら返すよ」
「もしもの話です!折角ジルがくれると言っているんですから、有り難く受け取っておきなさい!」
「へいへい」
「イアンはいつも素直じゃないな」
「大丈夫。俺、イアンがツンデレなのは知ってるから」
「だよね!ちなみに今のはツンとデレのどっち?」
「ヒューイはまだまだだね。今のはデレ判定っしょ」
「二人共、あまり揶揄ってやるな」
「もう知りません!私は先に帰ります!じゃ、お元気で!」
イアンはほんのり顔を赤らめ、早口で捲し立てるとバタバタと出ていった。
「ほら見ろ。じゃあウィス、またな。今後こっちに来る事があったら顔を出せよ?」
「ウィス、国に帰っても俺達の事を忘れないでね」
「ジルとヒューイも元気でね。また遊びに来るから。イアンにもよろしく」
ジェレミアとヒューイはイアンを追いかけて出ていった。
◇◇◇
厨房ではショーマがさっき使ったカップ類を洗っている。すると、ナタリーがやってきた。
「あら、ありがとう。今掃除中じゃなかったの?夕方までに終わる?」
「今はベッドを熱風で除菌&殺ダニ中なので30分くらい暇ですね」
ショーマはそう言って手についた泡を流し、洗浄が終わり水に濡れている食器を拭きはじめた。ナタリーは除菌?殺ダニ?と悩んでいる。
「そうだ、昨日ブラウン先生に聞いたんですけど。ナタリーさんは熊人なんですか?」
「そうよ。って、昨日まで知らなかったの?私はウィステリア君が竜人なのは随分前から知っていたけれど」
「たぶん、女神様が俺に教えるのを忘れてたんだと思います」
ショーマは喋りながらもどんどん食器を拭いていく。
「あら。女神様は相変わらずなのね」
「ナタリーさんも女神様を知ってるんですか?」
「私は実際に会ったことは無いの。でも為人は知っているわ。彼女、おっちょこちょいの慌てん坊さんよね」
「ぶはっ!っっと危ない」
ショーマは思わず吹き出し、拭いてるカップを落としそうになる。ナタリーはふふふと笑いながら、ショーマの拭いた食器を棚に仕舞っていく。最後の一つも無事仕舞い終わった様だ。
二人はそのまま雑談を続ける。
「そう言えば、ナタリーさんはいつから俺が竜人だって知ってたんですか?最初っから?」
「最初はドラゴンだと思っていたわ。ほら、お祭りの時に声を掛けたのを覚えている?あの時はあなた達からドラゴンの匂いがしたから声を掛けたの」
「そんなにドラゴンの匂いって解るものなんですか?」
「うーん。動物はともかく、人間にはなんだか爽やかな香りがする?って思うくらいじゃないかしら。私だからあの人混みで気付けたと思うわ。熊人ってね、鼻が良いのよ」
ナタリーは誇らしげに鼻を擦る。
「それでね、次の日にウィステリア君は学校へやってきたでしょ?そんな申し送りは受けてなかったから、確認を取っていたの。10日程で返事が来てね。まさか、魔族だとは思わなかったわ」
「じゃあ、俺の事情は知ってるんですね」
「ええ。これからも頑張ってね。未来の魔王様」
ナタリーはそう言うとニッコリと笑った。
「あ、そうだ。今後学校にお忍びで来ることになったら、一階の物置を使って良いわよ。後任にもちゃんと申し送りをしておくから」
「それはすごく助かります。今後も図書館を利用したいと思っていたので」
「そうでしょう?さぁ、お掃除頑張って!私のチェックは厳しいわよー」
ショーマはナタリーからの激励(?)を受け、部屋へ戻っていった。
◇◇◇
ショーマは窓の拭き掃除をしている。
よし、これで終わりっと!
机と棚板の上の埃も無いし、床の隅に掃き忘れも無い、窓もピッカピカ。最後の仕上げに送風魔法で換気して・・・我ながら完璧だな!
嵩張る系の荷物はこれで全部か。転移先はとりあえずウチの物置で良いかな。帰ったら片付けるってメモも一緒に送れば大丈夫っしょ。
ショーマは荷物を送るとナタリーにチェックをお願いして、無事合格点を貰い食堂へ下りた。
暫くすると、ジョージとナタリーが一緒に下りてくる。
「これで二人共卒寮ね。寂しくなるわ」
「ナタリーさん、美味しいご飯をありがとうございました」
「また会う日までお元気でいてくださいね」
ショーマとジョージはそれぞれナタリーに挨拶をすると、連れ立って学校を出ていった。
◇◇◇
ショーマとジョージは街へ向かっている。
「ジョージ、これからどうする?とりあえず旅の支度の前に宿の手配かな?」
「この荷物を置きたいですし、まずは宿ですね。ウィスはどこか当てはありますか?」
「うーん。来たときに泊まった所しかわからないや。昨日みんなに聞いておけば良かったね」
「そうですね。とりあえず、ウィスの泊まった宿に空いているか聞いてみましょう」
二人は街の南東の商店街を目指す事にした。
朝木 「なんか登場人物多くない!?」
ショーマ「いや、そんなこと言われても。朝木が連れてきたんじゃん」
朝木 「もうしゃべり方忘れちゃったよ!ヒューイとかこんなだったっけ?」
ショーマ「大体こんな感じだったっしょ」
朝木 「自信無いなー」
ショーマ「そんな言うなら、食事会みたいにナレーション的に書いて済ませれば良かったじゃん」
朝木 「あれはあれで難しいの!」
ショーマ「そうかよ。まぁ、頑張れ」
キャラクター像がぶれぶれ中です。
読み返してもしっくり来なーい!(ーー;
ジェレミア達とナタリーさんとお別れしました。
次は誰とお別れかな?
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