35―大森林の校外演習3
ショーマは人型の魔物とまた話始めた。
「あれ?さっきより顔色が悪くない?大丈夫?」
『貴方様の魔力にあてられて、寒気を感じただけです』
「それはごめんね?」
『もう大丈夫です』
「あ、そう言えば名乗ってなかったね。俺の名前はショーマって言うんだ。君は?」
『ショーマ様ですね。よろしくお願いします。ワタシの名前はソロンです。そして、我らはレイカーと言います』
「ソロンか。これからよろしくね。それで、なんで君たちレイカーはこんな所に居るの?人型の魔物の生息地はもっと西のはずだけど」
『我らはこの湖の水がないと生きられないのです。他の魔物達が西に旅立つのを見送った後も人間に見つからない様に、ひっそりと生きてきました』
「でもさ、ここに居たら人間に襲ってくれって言ってる様なものだよ?そのうち絶滅してしまうよ」
『それが運命ならば受け入れます。でも、そう簡単には消える気はありませんよ』
「そっか・・・。また会いに来るね」
『気に掛けて頂き、ありがとうございます』
「じゃあ、気を付けて。おやすみ」
『はい。おやすみなさい』
ショーマは湖から上がると送風魔法で水気を飛ばし、服を着てテントへ戻っていった。
◇◇◇
ショーマは野営地に戻ると、サッとテントへ入った。
「ブラウン先生、ただいま」
ショーマはブラウンと同じテント。他はヘンリーとジョージ、マイケルとアラン、キャサリンが一人。キャサリンは女の子の為、この様になった。
ブラウンはショーマの正体を知っているので、この組合せはとっても都合が良いらしい。
「お帰り。ヘンリー君が後を追ったみたいだったけど、大丈夫だったかい?」
「特に目撃されてないので大丈夫だと思います」
「それは良かった」
「そうだ。この奥の湖で、人型の魔物を従えてきました」
「あぁ、レイカーだね。彼らは元気そうだった?」
「元気に魔法を放って来ましたよ。そのせいで髪を括ってた紐を失くしました。替えはあるんで良いですけど」
ショーマは口を尖らせながら、事のあらましをブラウンに説明する。
「ははは、そんな事があったんだ」
「負けを認めるまでホント他人の話を全然聞かないんですから」
ショーマはそう言って肩を竦める。
「そうだ!人型の魔物の進化前って、どんな状態なんですか?
動物は野性の動物って判ります。でも彼らは髪の色が茶色いだけで、肌の質感なんかは魔物と同じだったんですけど」
「進化前は普通にその種族って感じだね。今日会った彼らはレイカー。それ以外の何者でもないよ」
「へぇー、なるほど」
「そう。ちなみに、西の方にはマーシーという種族を崇めるソローシャン王国があるよ」
「え?今の話の流れから言うと、マーシーは魔物の種族ですか!?」
「そうだよ。マーシーは天候を操る魔法を使うからね。人間には扱えない奇跡だから、神の遣いと言われて信仰の対象になっているんだ。見た目は下半身が魚で、上半身が人らしいよ」
「それって人魚!?」
「良く知っているね。ソローシャンの人間はマーシーの事を人魚と呼んでいるよ」
「へぇー」
「さ、明日も早いからもう寝なさい」
「はーい。おやすみなさい」
◇◇◇
三日目は猪の魔物を解体した場所を避けて少し違うルートになった。死体をそのままにしてあるので肉食の動物が居る可能性があるらしい。
ショーマ達は魔物に遭遇しても、昨日と同じ様に撃退し又は逃げ、昼はブラウンに簡易結界(?)を張って貰いサンドイッチを食べ、午後もまた行軍を続ける。
暫く進むと、一行の前に猪の魔物(緑色)が現れた。昨日ブラウンが倒した魔物より一回り大きい。
「エア・アロー!」
ヘンリーは魔物へ風の矢を放つ。しかし、魔物は難なく避ける。そして、お返しとばかりに風の刃が飛んできた。
「クソッ、ウィス!」
「はいよ!ソイ・ウォール!」
ショーマはヘンリーの指示で、土の壁を形成する。直後に魔物の攻撃が壁に当たった。
「おおぅ!ギリギリセーフ」
魔物はショーマが作った土壁を超えようと助走をつけて走り出す。
「ウィス、走るぞ!」
「うん!」
ショーマとヘンリーは皆の元へ走る。魔物がショーマの土壁を飛び越えた瞬間、キャサリンからの攻撃を受ける。
「ウォタ・ボール!
ヘンリー!ウィス君!早くこっちに!」
ショーマとヘンリーはキャサリンの後方へ走り込んだ。と同時に、ジョージとマイケルが魔物の顔目掛けて魔法を放つ。
「ソイ・ボール!」
「ウォタ・ボール!」
二人の攻撃に魔物は怯んだ。
ジョージのあれ、もう土球じゃなくて石礫だよね・・・。大森林に入ってから、自重しないね。
ショーマはジョージの魔法を若干引き気味で見ている。すると、後ろからアランに声を掛けられた。
「ヘンリー、ウィス、怪我は無い?」
アランは聖の概念と相性が良く、戦闘が始まると治癒要員として後方で待機する事が多い。
「俺は大丈夫です。ヘンリーは?」
「俺も大丈夫だ」
「じゃあ、そろそろ逃げようか」
撤退のタイミングを図っていたブラウンが皆に声を掛け、ブツブツと詠唱を始める。詠唱に合わせ、徐々に風が吹き荒れる。そして、ピカッと光りショーマ達は思わず目を瞑る。視野が戻ると魔物が逃げていく姿が木立の向こうに見えた。
「あれ?俺らが逃げるんじゃ無いんですか?」
ヘンリーの疑問にブラウンが答える。
「うん。目眩ましのつもりが、嚇かし過ぎたかな?さ、先を急ごう」
ショーマ達はまた歩き始め、夕方には野営地へ辿り着く。
残っている魔物の肉や食べられる植物、固いパンでの食事を済ませて、皆テントへ入る。
ショーマはまた深夜に一人森に入り、周辺の魔物を従えた。
翌日、ジャルタ川を渡り西の森の中央を通りながら薬草採集を行い、無事学校に着いた。
ショーマ「おー、ここで大陸西側の情報が出た」
朝木 「ね?あそこでアランに説明してもらって良かったでしょ?」
ショーマ「確かに」
朝木 「私だって、色々考えてるんだよ?」
ショーマ「ふーん」
朝木 「ムキー!たまには尊敬しても良いんだよ!?」
ショーマ「はいはい。お疲れー」ヒラヒラ
朝木 「くっそー!!」
西には魔物を信仰している国が有るようです。
そして、ソローシャンは内戦直後の予定。
今後ショーマとどう絡ませようか考え中です。
未来に丸投げ!( ・_・)ノΞ●~*
戦闘シーンって、難しいですね・・・。orz
もっと精進しなくては!
次回、転移魔法が完成します!
あと、どうやって卒業しようか悩み中です。
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