33―大森林の校外演習1
今日はちょっと長めです。
ショーマ達は学校での練習を挟み、12日からまた校外演習に出た。二回目の演習は、初回の様に森の縁を西へ進み、ジャルタ川を河口まで下り、今度は海沿いに街まで戻るコースになっている。行程は二泊三日だ。
初回の演習と同様に二班に分かれる。今ショーマは警戒班。
「アランさん家って、老舗の商店なんだよね?アランさんはどんな仕事してるの?」
「俺はねー、モミール大陸の西にあるブルネスとラミジールっていう国との貿易をやってるよー。まー、今は学生だから書類仕事ばっかりだけどねー。卒業したらまた船に乗るよー」
「へぇ、ブルネスって、西の大国だろ?凄いな」
「西の大国?」
「あー、ウィスは知らないんだねー。モミール大陸の中央にあるラルンガ山脈は分かるー?」
「うん。モミール大陸を真っ二つに別けてる山脈だよね?生活基礎の本で読んだよ」
ラルンガ山脈の標高は平均2000m程。モミール大陸の中央より少し西寄りで、大陸を南北に縦断している。
「そーそれー。その山脈の西側をほぼ占領してるのがブルネスだよー。まー、占領って言っても元々あった国を属国にしてるからー、ブルネスだけならシャインレイと同じくらいの広さかなー」
「へぇー。じゃあ、ラミジールは西側だけど占領されてないって事?」
「そうだよー。あと西側でまだ占領されてない国はー、ミスリノートとライオネル、ソローシャンくらいかなー?場所だけで言ったらー、災厄の化身であるドラゴンが住むって言われてる前人未到の地もだねー」
うん!?災厄の化身って絶対ソラさんだよね!あれ?前人未到の地ってなんで?昔人間が討伐に来てたって言ってなかったっけ?
「ドラゴンか!東側では滅多に見れないドラゴンも、向こうでは結構見れるらしいな!!」
「あー、何回か飛んでる所を見たことあるよー。キレイな白だったなー」
「へぇ、白いドラゴンなんだな」
「ふーん」
ソラさんもサクラさんも遠目で見れば白いか。
「てか、なんでドラゴンが住んでるとこは前人未到の地って言われてるの?」
「囲んでる山脈の高さはラルンガ山脈の3倍はあるって言うし、中の土地もかなり標高が高いらしい。前人未到の地はそもそも人が住めないって噂だな」
「海側の断崖はとてもじゃないけどー、登れそうにないってー。ラルンガ山脈くらいは高いって話だよー。川の水が海に注ぐ前に消えるんだってー」
「へぇー。そうなんだ」
人間にはそんな風に言われてるのか。確かにソラさんに空を飛んで連れてって貰わないと人間の街に行けないもんな。
でもあれかー。転移魔法の完全版が完成したら外出し放題じゃん!!よしっ!この演習中に生体実験もやってみるか!!ウサギとか鳥とか生け捕れないかなー。
◇◇◇
ショーマは二日目のジャルタ川の河口に向かう途中でウサギを生け捕りにし、転移魔法の実験を行った。
生き物の転移はなかなか難しいな。あ、ここがダメなのか。じゃあこれをここに移動して、空いた所にこれを追加して・・・「おーい、ウィス!そんな所で何してる!危ないからあまり離れるな!」
「は、はーい!今戻ります!」
マイケルさん、ビックリさせないでよー。
ショーマは捕まえたウサギを持って、マイケルの元へ向かう。
「一人で何をしていたんだ?」
「いや、ウサギを捕まえたからちょっと処理をしようと思ってね。ほら。これで今夜のご飯はちょっと豪華になるよ!」
「はぁー。いくら山や森に馴れてるとは言え、あまり一人になるな」
「分かってるって!みんなから見えない所には行かないから大丈夫だよ!」
「そうか、なら良い」
その日の夕食は、ショーマが獲ったウサギをみんなで食べた。採集した植物の中に香草と香辛料があったので、演習中にしてはかなり豪華な食事だった。
帰りも魔物と出会う事もなく、無事に学校へ辿り着いた。
◇◇◇
ショーマはいつも通りに朝練を行っている。
あれ?これは。
ショーマが素振りをしていると、ふらりとブラウンがやってきた。ショーマは素振りを止め、ブラウンを迎える。
「おはようございます。ブラウン先生。どうしたんですか?」
「おはよう。次の演習について、ちょっと打ち合わせにね」
「打ち合わせですか?」
「そう。ウィステリア君は気付かなかったかい?あの森には魔物が居ない事に」
「やっぱり居ないんですね。おかしいと思いました」
「うん。魔物が居るのはジャルタ川の向こう側の西の大森林なんだよ。そこで、ウィステリア君に相談なんだけど」
「なんでしょうか?」
「ウィステリア君は魔物を従えてるんだよね?西の大森林での演習中は、夜だけにして貰えないかな?」
「そうですね。昼間は色々バレますもんね」
「それもあるんだけど、演習には魔石の取り出し方の実演もあってね。出会った魔物を教師が倒さなくてはいけないんだよ」
ブラウンはそう言うと、僅かに眉間に皺を寄せ目を伏せた。じっと観察していないと気付かない程度の変化だ。
「それは・・・。わかりました」
「申し訳ないね」
「いえ、大丈夫です。そんな顔しないでください」
「え?」
「ブラウン先生、本当は魔物を殺したくないんでしょ?だから、夜寝るときは隠蔽魔法を解いて魔物を遠ざけようとしてたんですね。野営地は大森林に近いから」
「はは。ウィステリア君には敵わないな」
ショーマとブラウンは次の演習について少し打ち合わせをして解散した。
◇◇◇
11の月1日から、遂に三泊四日の演習が始まった。
演習コースは、西の森の中央を突っ切りジャルタ川を渡り(ちゃんと橋が架かってる。イメージは渡月橋)西の大森林を少し進んだ先で一泊、更に奥へ向かい一泊、初日の野営地に戻って一泊、西の森を突っ切り街へ帰還という行程だ。
警戒班を手ぶらにする為に、今回からのテントは二人用。採集班が荷物係を兼任する。
初日は何事もなく進み、野営地へ着く。
西の森を突っ切ると言うことでショーマ以外の生徒はビクビクしっぱなしだったので、かなり疲れている様子。今夜は爆睡だろう。
ショーマは深夜にテントを抜け出し、軽く周辺の魔物を従え、暫く離れている様に指示を出した。
◇◇◇
二日目になると、魔物に遭遇するようになった。生徒達はパニックになりかけたが、ブラウンの指示にショーマとジョージの年少コンビが的確に動き始めたので、どうにか恐慌状態にはならなかった。皆の力を合わせて魔物をどうにか撃退し、また先へ進む。
何度目かの遭遇で、ブラウンは猪の魔物を倒した。その場で解体の手順を披露する。ジョージ、ヘンリーは顔を真っ青にしながらもその手順をしっかり見学した。キャサリン、アランはたまに込み上げるものが有る様だ。ショーマ、マイケルはただ淡々と見詰める。
「これがこの魔物の魔石です。もし、今後魔物を倒す事があった場合、魔石は国指定の買取り店で売ってください」
「先生、魔物の肉はどうするんですか?」
ジョージが真っ青な顔で、でもしっかりと問い掛けた。
「魔物の肉は食べられます。魔力の回復効果の研究もありますが、それは定かではありません。骨などは工芸品や日用品などの材料にます。今日は荷物になるので、肉だけ少し頂きましょう」
ブラウンはそう言って、数個のブロック肉と魔石を鞄に仕舞いまた歩き出した。
二日目の野営地へ着くと、昼間の魔物の肉を焼き食べた。そしてそれぞれのテントで眠りにつく。
◇◇◇
バシャンバシャン
俺は遠くに聞こえる水音で目が覚めた。同じテントのジョージはよく寝ている。
何故かすごく気になる。俺は一人テントを抜け出し、音の聞こえる方へ向かった。
今夜は満月か。明かりを持たなくても余裕で森の中を歩ける。
暫く歩くと湖に着いた。月明かりを反射してとても明るい。何もいない。さっきのは魚でも跳ねた音だったか?引き返そう。
ザバッ
音のした方へ向くと、そこには人がいた。光の加減で金にも茶にも見える髪を肩甲骨の辺りまで伸ばし、透き通る様な白い肌をしている。そして、その美しい横顔に目を奪われた。
俺は夢でも見ているのだろうか。その現実とも思えない光景に、知らない内に後退りしている。
パキッ
小枝を踏んで音が鳴る。途端に身体中に寒気を感じる。
「誰だ」
その人はこちらをみた。濡れた髪をかき揚げる仕草が色っぽい。
「あれ?ヘンリーじゃん」
「ウィスだったのかよ!!」
俺が感じていた寒気はいつの間にか消えていた。
ショーマ「…説明回?」
朝木 「うん。まぁ」
ショーマ「そっか。ま、いんじゃない?西の情勢を先に知れて」
朝木 「あはは。アラン以外に説明出来る人が居なくてさ」
ショーマ「女神様がいるじゃん」
朝木 「あー、女神様はダメー」
ショーマ「なんで?」
朝木 「あれで色々忙しいんだよ」
ショーマ「ふーん」
意図せず説明回になりました。
色々とね、あるんですよ。色々と…
ショーマ達は魔物に遭遇しました。
実際に撃退するのは大変そうですね。
でもきっと、ブラウン先生が程よい所で奥の手を使っているんではないかと推察します。
キラン( ̄ー ̄)^☆
次回は、おい!こんな夜中に何をしてたんだ!?です。
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