24―キャッキャウフフ
ショーマ達は一旦客間へ戻り、大浴場へ向かう。
イアンとヒューイは用事があるからと、一旦別れた。
大浴場は4階にあり、内風呂と露天風呂がある。ショーマ達は洗い場で汚れを流すと、早速露天風呂に入った。
「はあぁー。極楽ー」
「僕、露天風呂って初めてです!」
「そうか、夜は満天の星空でもっと凄いぞ。また寝る前にでも来たらいい」
「そうなんですね!楽しみです!」
暫くすると、イアンとヒューイが露天風呂にやってきた。
「遅くなりました。って、私よりも筋肉質ってどういう事ですか・・・」
「はは、服を脱げばしっかり男じゃん」
浴槽の縁に腰掛けているショーマを見たイアンは悲しげな目をしている。一方のヒューイは何かに関心する様にショーマを見た。
「あんまジロジロ見んな!野郎に見つめられても嬉しくない!!」
ショーマはイアンとヒューイにバシャッとお湯を掛けた。
「ひゃっ!」「うわっ!」
ひゃって、ひゃって!女子か!!うん?おぉ!
イアンとヒューイも「ふー。」とか「あー。」とか言いながら風呂に入った。
そんなイアンにショーマは近付く。
「──思ったんだけど、俺よりイアンの方が全体的に女っぽくない?右目の泣き黒子なんてさ、ちょっとした色気があるよね」
「どれどれ。おぉ、確かにね。
うーん。おまけにその妖艶な赤い瞳で流し目なんかされた日には勘違いする奴もいるかもしれない」
「はぃぃい!?」
「そうだな。声も男にしては高めだし、ちょっと化粧するだけで簡単に化けそうだ」
「イアン様は細腰ですから、体のラインを強調する服の方が似合いそうですね」
「ジルにジョージまで!なんでそうなるんですか!!」
「フフン。俺以外が女みたいって言われてるのは気分がいいね」
「ウィス!謀りましたね!」
「イヒヒヒ。それそれ!」
ショーマはイアンに向かってバシャバシャとお湯を掛ける。ヒューイはイアンの側からジェレミアとジョージの近くに避難した。
「ぶわっ!ちょ!やめっ、て、ください!」
「わはは!もういっちょ!!」
「ねぇ、ジル、ジョージ、あそこが花園に見えるのは俺だけ?」
「「!!!」」
「もう!お返しです!!」
「わっぷ!やめれ!このっ!」
「ひゃっ!やりましたね!」
ショーマの白いうなじに張り付く遅れ髪はなんとも言えない色気を醸し出し、時折イアンが髪をかき上げる姿は艶かしい。
そこには役者が男二人とは思えない扇情的な光景が広がっていた。
「ね?ちょっと、ヤバくない?」
「見てはいけないモノを見てしまいました」
「おい!二人共そろそろ止めろ!」
「あ、すいませんでした」
「悪い悪い。楽しくてつい」
「ったく。お前達二人はただ巫山戯ているつもりだろうが、俺達には美女と美少女が戯れてる様にしか見えないぞ」
「俗に言う、キャッキャウフフってヤツだね。危うくそっちの世界に入るところだったよ」
「なんか、居たたまれないです」
ジェレミアは顔を背け、ヒューイは人の悪い笑みを向け、ジョージは両手で顔を隠した。
「「・・・」」
ショーマとイアンは死んだ魚の様に濁った目を赤く染まり始めた空へ向けた。
露天風呂から見た夕焼けは格別の美しさだった。
◇◇◇
夕食は客間の近くの部屋に用意された。内容は豪華なコース料理かと思いきや、大皿に乗った家庭料理だ。
マナーなぞ知らないショーマとジョージに合わせて用意されたらしい。とは言っても、一つ一つの素材がとても高級な事には代わりない。
「ウィス!パンが白くてふかふかですよ!」
「そうだね!この鶏肉の香草焼きがまたこのパンに合う!この白身魚のバターソテーなんて、ふっくらした身に素材の味を損なわない味付けが絶妙!!イアン、そのイカと野菜の炒め物とって!」
「ははは!そんなに喜んで貰えると、用意した甲斐があったな」
「ウィスって美食家?評価がなんだかオヤジ臭い」
「オヤジ臭いって、酷くない!?」
「はいはいどうぞ。よく噛んで食べてくださいよ。喉に詰まらせたら大変です」
「ありがと!てかイアン、その言い方お母さんみたいだよ」
「お、お母さん!?」
「あははは。お母さんだって!」
「あぁ、この料理も美味しい~。イカが新鮮だね!」
「イアン様がお母さんなら、ウィスは子供ですね」
「えー、こんなお母さんいらなーい」
「私だって願い下げです!!」
「ウィスはもう少しゆっくり食べろ。誰も盗りはしないから」
「はーい」
「──ジルはウィスのお父さんみたいですね」
「こんな息子は要らん」
「ジルってば、冗談なのに厳しいなー」
「俺の代わりにヒューイが父親役をやればいいじゃないか」
「えー、やだよ!」
「ヒューイさんはどちらかと言うと、ウィスのお兄さんですかね」
「じゃー、ジョージはお爺ちゃんだ!」
「ウィス、せめて若いお爺ちゃんでお願いします」
「お爺ちゃんでいいんだ!」
騒がしい食卓は、5人の笑い声と共に進んでいった。
ショーマ「・・・」
朝木 「言うな。分かってる」
ショーマ「なら、何も言わない」
どうしてこうなったー!!(/≧△≦\)
回り道からのドボンです。はい。残りのイベント数を考えると、ショーマは50部までに卒業出来ないみたいです。
露天風呂のキャッキャウフフは書いてて楽しかったです。
実はイアンは美人さんなんですよ。
注:周りは兎も角、朝木自身は腐ってません。たぶん。笑
食事の場面は、ちょっと冒険しました。ほぼ会話でしたが、誰が誰だか判るように書けたかな・・・。
一応人物こんな順番です。
ジョージ→ショーマ→ジェレミア→ヒューイ→ショーマ→イアン→ショーマ→イアン→ヒューイ→ショーマ→ジョージ→ショーマ→イアン→ジェレミア→ショーマ→イアン→ジェレミア→ヒューイ→ジェレミア→ヒューイ→ジョージ→ショーマ→ジョージ→ショーマ
うわぁ。書き出さなきゃ良かった。
次回は、メインイベントの夜景を見る!です。
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