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21―捕獲と誤解と友人




 その後ショーマは何度か貴族の生徒に待ち伏せされた。その度に逃げていたが、とうとう捕まる。今日に限ってショーマは一人だった。


 青髪の生徒が話し掛けてくる。


「なぁ、なんで毎回逃げるんだ?」


 そりゃ、お前らと関わりたくないからだろ!


「だんまりか?」


 なんて言えば良いんだよ!めんどいなんて言って大丈夫なの!?


「まぁ良い。お前、名前は?」


「──ウィステリア」


 ショーマはじとっと青髪の生徒を睨む。


「ふーん。じゃあティアだな」


「は?」


「名前が長いから愛称で呼んでも良いだろ?」


「なんでそんな女みたいな呼び方すんだよ」


「女みたいって、女でしょう?」


 赤銅色の髪の生徒が問う。


「俺は男だ」


 ショーマはいつも通り訂正する。


「その見た目で男は無いよね」


 胡桃色の髪の生徒が言う。


「あー!もー!めんどくさいな!!青髪のお前、ちょっとこっち来い!!」


 ショーマはこのトリオのリーダーと判断した青髪の生徒を強引に端まで引っ張って行く。


「ジル!!」


 胡桃色の髪の生徒が慌てて呼び止める。


「大丈夫だ。そこで待ってろ」


 青髪の生徒は堂々とショーマに連れていかれた。




 ショーマは青髪の生徒に服の合わせを(はだ)けて見せた。


「これで満足か?」


「お前、本当に男なんだな・・・」


「だから言っただろうが」


 二人の間には何とも言えない空気が漂う。


「そう言えば、お前の名前はジルって言うの?」


 ショーマは服を直しながら尋ねる。


「ジルは愛称だな。俺はジェレミア・カルシス・シャインレイだ」


「うん?シャインレイってどっかで聞いたことあるような?」


 ショーマは首をかしげる。


「この国の名だ」


「あー!もしかしてお前、この国の王子とか!?」


「あぁそうだよ」


「へぇー、本物の王子様かー」


 ショーマはいろいろな角度からジェレミアを眺める。


 彼は海の様に深い青(マリンブルー)の長髪を頭の下側で一括りにし、スッと通った鼻筋とキリッとした眉が印象的な端正な顔立ちをしている。身長はショーマ(140cm程)よりも頭一つ程高い。体格はやや細めだが、剣を振るう為に必要最低限の筋肉は着いている様だ。


「お前、変な奴だな」


「何が?」


「普通は相手が王子って判ったら態度を改めないか?」


「うーん。俺、この国の人間じゃないし?」


「そうなのか?」


「そうそう。だからこの国の王子って言われても、ふーん。って感じ」


 ショーマはあっけらかんと言い放った。


「あははは。お前、面白いな!」


 ジェレミアはケラケラと笑った。


「ウィス」


「何だ?」


「お前じゃなくて、ウィスって呼べ」


 ショーマはニヤリと笑ってジェレミアに言ってのける。


「じゃあ、俺の事もジルって呼べ」


 ジェレミアもそれに答える様にニヤリと笑う。


「ジル、よろしく」


「こっちこそよろしく、ウィス」


 二人は互いに手を出し、握手をした。




 ショーマはジェレミアと共に二人が待つ場所まで戻る。そして二人の紹介を受けた。


 赤銅色のサラサラな髪を肩口で揃え、ヒョロリとした体格の生徒がイアン・マックナード。


 胡桃色の癖っ毛の短髪、ジェレミアよりは鍛えている感じのする体格の生徒がヒューイ・ロットル。


 三人はジョージと同じ15歳だった。




  ◇◇◇




 後日、ショーマは三人をジョージに紹介する。

 ジェレミアについて紹介した時「えっ!あ、あの、青の貴公子!?」とジョージは青褪めた。そんなジョージを尻目に「ぶははは!青の貴公子だって!」とショーマはジェレミアを指差し笑い転げる。


 後でショーマはイアンにこってり絞られた。




  ◇◇◇




 最近、平民コースの生徒と友人になった。


 魔法使いには珍しく、薄いべっ甲色の髪と目をしている。スルリと長い髪を女騎士の様に頭の高い位置で束ね、背は俺より頭一つ程低く、肌は透き通る様に白い。小振りな鼻に口角の上がった薄い唇と全体的に可愛らしい顔だが、目だけは切れ長でやや鋭い。将来は目のキツイ美人になると思った。──友人になる前は。

 俺にはどこからどう見ても女にしか見えなかったが、彼は正真正銘“男”だった。価値観をひっくり返された気分だ。


 彼は他国からの留学生らしい。

 俺の正体がこの国の王子だと知ると、無遠慮に観察し、挙げ句の果てに「王子って言われても、ふーん。って感じ」と言ってのける。


 久々に面白いと思った。


 そいつは自分の事を「ウィスと呼べ」と言ってきたから、俺は「ジル」と呼び捨てる事を許した。

 イアンには何を考えてるんだと怒られたが、俺は気にしない。ヒューイもウィスを気に入ったみたいだし、別に良いだろう。




 後日、ウィスの級友のジョージとも友人になった。


 彼は焦げ茶の髪を短めに整えて、ウィスと違い礼儀正しい。イアンは彼の一歩引いた所は赦せるみたいだ。


 ジョージの目の色はどことなく不思議な色彩だ。一見薄茶に見えるが、光の加減で緑が混じって見える。

 どこかで見たことがある気がしたが、どこだったか・・・。





ジェレミア「おい朝木!なんで俺が出てくるまでにこんなに時間が掛かってるんだ!」

朝木   「え?だって、いろいろ説明しなきゃいけなかったから?」

ジェレミア「だからって、学校編始まってから20話は長いだろ!」

イアン  「そうですよ。いらない話を削れば、5話は詰められましたよね?」

朝木   「そんなこと言われても!この先の君たちが不安定過ぎてなかなか出せなかったんだよ!!」

ヒューイ 「それを考えるのが朝木の仕事だからね。しっかり頼むよ?」

ジェレミア「そうだぞ。ここまで待った分、出番は多めにな」

イアン  「変な設定にしたら怒りますよ?」

朝木   「あーもー!そんなにぐちぐち言うなら今から本文を編集して『主人公は王子トリオと友達になった』だけにするよ!!」

王子トリオ「それは嫌だ(です)!!」


 自転車操業は大変ですね・・・。毎日更新されている方はスゴいです。



 やっとキーマンが登場しました。

 そして、今まで軽くしか出てこなかったショーマの容姿についても言及してみました。

 ショーマはこんな子です。どうでしょうか。想像通りでしたか?



 次回は、遊びに行く予定を立てます!また回り道!?



 応援して頂けると嬉しいです(^^)

 訪問だけでも大感謝(^^)/


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