18―魔法講義4/ショーマ悩む
ショーマ達は今日はアローの魔法を教わる様だ。
今日も教室での座学から始まる。
「さぁ、今日は昨日も言った通り、アローの魔法を使うよ。アローの魔法は何だったかな。じゃあ、アラン君、答えて」
「アローは矢を作る魔法でー、攻撃のできる精霊しか使えませーん」
「その通り。例えば光や影では使えない魔法だよ。精霊の選択を間違えないように気を付けよう」
うん?RPGでは王道の“聖なる光の矢”とかは使えないってこと?それで魔王倒せるの?──って、何を考えてるんだ。この世界の魔王は俺だって。
あー確かに、火とか岩ならまだしも光の矢なんかで倒される気が全くしない・・・。
「じゃあそろそろ校庭に移動するよ」
ショーマ達は校庭へ移動した。
「さて、まずは昨日の復習から始めようか。自分と相性の良い精霊のボールを向こうの丸太に飛ばしてね」
ショーマ達は各々目の前の丸太に魔法をぶつける。
そう言えば、どうしてこのサイズのボールで練習するんだろう?ぎゅっと圧縮した方が威力が出そうだけど・・・。ま、何か考えがあるんだろうな。
「マイケル君とヘンリー君も大丈夫そうだね。では、これからアローの魔法に入るよ。アローは攻撃のできる四大属性で使おう。アローの魔法も含め、これから教える魔法は10の月からの校外演習で使う事になるから、何度も反復練習をしてもらうよ」
やっぱり校外演習用の魔法だよね。まあ、戦争は悪魔な女神様のお陰でほぼ無いはずだもんな。
「それじゃ、ボールの代わりにアローを唱えて矢を作って、目の前の丸太に飛ばしていこうか」
ショーマ達はアローの魔法を練習し始めた。
ショーマは火から順番にアローを使って、風で違和感を覚える。
これ、杖を使わない方が簡単じゃない?俺が狩猟で使ってるただの風の矢だよね?なんでわざわざ精霊を通して意の魔力なんて使うんだ?うーん?うーん・・・。
ショーマは一日中悩みながらアローの魔法の練習を続けた。
◇◇◇
寮への帰り道、ジョージはショーマに話しかける。
「ウィス、どうしたんですか?すごく深刻そうな顔をしてますけど」
「え?そんな顔してる?」
ショーマはむにむにと自分の頬を触った。
「はい。ずっと眉間に皺が寄ってます。何かありました?今朝は普通でしたよね?」
「まぁ、何て言うか、考え事?そんな大した事じゃないよ」
「それなら良いんですけど」
「それより、今日のご飯は何だろうね!」
ショーマは無理矢理話を逸らした。ジョージも空気を読んでそれ以上は聞かなかった。
◇◇◇
ショーマは部屋に帰るとベッドに寝転がりながら女神リンクを使う。
「ねぇ、女神様」
―――お疲れさまーって、どうしたの?そんな顔して。
「そんなに酷いかな?」
―――ちょっと心配になるレベルだよ?何かあった?
「ちょっと思考が堂々巡り中で熱出そう」
―――え?大丈夫なの?
「うん。あのさ、人間の魔法って回りくどくない?」
―――回りくどい?どういう事?
「元々俺の魔法って、発想力と想像力勝負の魔法な訳よ。でもさ、人間の魔法は法則があるというか、他人の力を借りてるというか、融通がきかないっていうか、手間ばっかりかかるっていうか、なんか良くわかんないけどそんな感じなんだよね」
―――そうなの?
「そうなの。それで魔法ってものがよく分からなくなった」
―――うーん。私、あんまり魔法に詳しくないんだよね。私が作った訳じゃないから。
「魔力は女神様の範囲だけど、魔法はこの世界の生き物独自のものって事かな?」
―――そうなるね。魔法の事ならシド君に聞いてみたら?彼、魔法の研究者だし。
「そっか。先生なら説明してくれるか」
―――たぶんね。ショーマ君が家で読んでた魔法の本もシド君が書いた物だし。
「へぇ、そうだったんだ」
―――そうだ!明日の朝会えるようにお願いしておこうか?
「え?そんなことできるの?」
―――一応、ショーマ君がそっちにいる間は連絡とれるようにしてあるよ。
「じゃあお願い。明日の朝、第3鍛練場に来てって」
―――りょうかい。じゃあまたね。
「うん。よろしく」
考えれば考える程分からなくなる・・・だめだ、寝よ。
全然デスヨネ感が・・・
次回はこの世界の魔法について長々と説明する予定です。
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