16―魔法講義2/様々な噂
6の月の7、8、9日と、三日連続でボールの魔法の授業が行われた。
「ジョージ、ちょっと出来すぎじゃない?六精霊全部いけたっしょ」
「そうですね。自分でもびっくりです。でも、ウィスもあと一歩ですよね?」
「そうだけど・・・」
俺はなー、みんなと違ってなー。竜人で転生者だからなー。
「はい、今日の授業はここまで。明日は休みです。明後日からはボールの魔法の応用を勉強します。では解散」
クラス6の9日目が終わった。
◇ ◇ ◇
ボールの魔法の成果(4日目)
火 水 風 土 光 影
ショーマ ◎ ◎ △ ○ ◎ ○
ジョージ ○ ◎ ◎ ◎ ◎ ○
キャサリン ◎ ◎ X ○ ○ X
ヘンリー ○ ◎ ◎ X ○ X
アラン ○ X ◎ ○ ◎ △
マイケル X ◎ ◎ △ ◎ X
◎-完璧 ○-大体OK
△-出来そうな気配あり
X-何も起きない
◇◇◇
この四日間、クラス6の面々は懸念されていた「貴族の生徒達との鉢合わせ」もなく普段通りに過ごしている。
貴族コースにはアランの店の取引相手の息子も通っているらしい。父親から、もし貴族に会ったら失礼の無いようにと耳にタコが出来るくらい言われたと愚痴っていた。
アランは「そもそも出会う機会が無いよーに行動してるのにねー」と笑っていたが、それは皆が思っただろう。
一方、貴族コースでは色々と噂や事実が飛び交う。
・とある貴族同士の場合
「クラス6は開講出来たんだね」
「そうだな。クラス5は人数が足りなかったんだろ?」
「そう言えば、あと一人足りなかったんだっけ?」
「そうそう。あいつら5人集まらないと開講が次月に繰越しだから大変だよな」
「確かになー」
・とある貴族同士の場合
「皆様、聞きまして?」
「どうなさいましたの?」
「クラス6の噂ですわ」
「噂?何かあったかしら」
「その噂では、どこぞの貴族の御落胤がクラス6に通われていると言うのです」
「何かの間違いではなくて?」
「所詮噂ですものね」
「私は、クラス6は見目の良い方が多いと聞きましたわ」
「あら、そうなんですの?それはそれは楽しみですわね。おほほほほ」
・とある貴族同士の場合
「なぁ、聞いたか?チャールズ商店の息子がクラス6に居るって」
「あぁ、父上から聞いた」
「やっぱりそうなのか。息子と縁繋ぎをしておいた方が良いかな」
「ほどほどにしろよ。あまり近付きすぎると在らぬ容疑を掛けられるかも」
「だよな。王家御用達のチャールズ商店だもんな」
「そうそう。シャインレイの経済はチャールズ商店次第の様なものなんだから」
・とある貴族の令嬢と従者の場合
「クラス6の入学生はどの様な感じなのかしら」
「はい、クラス6へは生徒6名の入学を確認いたしました。内訳は商1名、職1名、一般4名でございます」
「そう。一般の生徒について調べて頂戴。特にまだ成人していない者を重点的に」
「畏まりました」
貴族にとって魔法の使える平民は雇用の対象なので、日々様々な情報をやり取りしている。基本的に買い手市場であるため、学校側もある程度は黙認している様子。
特に優秀な生徒は早々に目を付けられ、既に仕事を持っている者は大変な目に合うらしい。
そんなやり取りが行われているとは露知らず、まだ実害の無いショーマ達はのんびりと過ごしている。
◇◇◇
6の月の10日、今日は授業が休み。
ショーマはこの休みに寮の自室でいろいろ作業する予定だ。
ショーマは椅子に腰掛け、教科書を手に取る。
よし、まずは教科書を書き写すか!でもな、ただ写すんじゃ膨大な時間がかかるよな・・・コレ、在学中に写し終るのかな?うーん。あ、単純に複製すればいいんじゃない!?俺って天才!!
さて、本の複製をするにはどうしたもんかな。
ショーマはものの1時間で複製魔法を完成させた。
どうしよ。思いの外すぐできちゃった。教科書の内容は・・・うん、大丈夫そう。
そうだ。どこまで複製できるか実験しよ。
ショーマは服や靴などの日用品やペンなどの文房具、干し肉やパンなどの食品に複製魔法を掛けてみた。
結果、日用品と文房具は使用しても問題ない程度の出来だが食品は何故かゴムの様な素材で出来てしまった。これは食べられる代物では無い。
うーん。日用品と文房具は本が複製できるくらいだから成功するよね。でも食品はだめかー。これじゃ食品サンプルだよ。ま、いっか。
ショーマは食品サンプルと日用品を後ろのベッドに放り投げ、教科書等を横の棚に仕舞った。そして、次に着手する事を考える。
次は何をしようか。うーん。食料を保存するのに冷蔵庫的な何かが欲しいな。生鮮食品がすぐ腐るのはいただけない。
まずは箱を作って。やっぱり金属製かな?金属はどうすれば作れるかな・・・
ショーマは時間を忘れて冷蔵庫の試作に勤しんだ。
コンコン
「ウィス、出かけますよ」
「あ、もうそんな時間!?今出るよ」
ショーマはベッドに放り投げた物や冷蔵庫の試作品をベッド脇の棚へ放り込み、ジョージと市場へ向かった。
ショーマとジョージは市場を回る。
「この街の市場ってさ、肉はほとんど加工品しか扱ってないんだね。生肉が売っててもかなり高額だし」
「そうですね。この辺りは猟師が少ないらしいですから。たぶん貴族やキャシーさんの家の様なお客さんの相手で精一杯だと思いますよ」
「そうなんだ。でもなー。たまには「これぞ肉」って物が食べたいんだよね。
よし、俺今夜森に行ってくるよ。キャシーの家に行っても良いけど、高そうだし」
「え?まさか」
「うん。何か狩ってくる!」
「いいんですかね?勝手に狩りとか行って」
「バレなきゃ大丈夫っしょ?」
「うーん。くれぐれも気を付けてくださいね?」
「りょうかーい♪」
ショーマは夜になると、学校裏の森に狩りに出掛けた。難なくウサギを一羽狩って、意気揚々と寮へ戻った。
ナタリーから特にお叱りを受ける事も無かったので、森へ狩りに行く事がショーマの休みの日課になった。
ショーマ「朝木!」
朝木 「ショーマも見た!?」
ショーマ「うん!またブックマーク増えたね♪」
朝木 「そうなの!嬉しいね(〃▽〃)」
応援ありがとうございます!!(≧▽≦)
ショーマは兎も角、ジョージも出来る子でした。
他のみんなの六精霊との相性は表の通りです。
そして、とうとう出ました貴族達!
今後のクラス6はどうなるのか!?笑
次回はボール魔法の応用編です。
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