13―ラアイテ探訪2
アランと別れマイケルの待つ北門東口へ向かう道中、ヘンリーは皆が今まで疑問に思っていた事を尋ねる。
「そういや、ウィスはなんで髪を伸ばしてるんだ?」
「野営中は髪切るのってめんどくさいんだよね。それに、この髪型かっこ良くない?侍っぽくてさ!」
ジョージは意味が解らず聞き返す。
「サムライって何ですか?」
やべっ。流石に侍は知らないか。
「えっと、剣士の事だよ!」
「ウィスはそのサムライって言う剣士を尊敬してるんですね!」
「尊敬って言うか、憧れって言うか?」
「なるほど。憧れの人を真似したくなる気持ち、分かりますよ」
「さすが!ジョージは話が分かるね!」
「剣士って騎士だよね?ウィス兄ちゃんは騎士を目指してるの?」
「俺は別に騎士を目指してる訳じゃないけどね。でも、騎士ってかっこいいよね」
「うん!」
前を行くショーマとジョージ、カールは意気投合している。
ヘンリーとキャサリンはそんな三人に聞こえない様に話す。
ボソボソ
「なぁ、キャシー。その髪型が更に女疑惑に拍車を掛けてるって言ったら、ウィスは怒るよな」
ボソボソ
「ヘンリー、それは言っちゃダメなやつだよ」
「二人ともどうしたの?」
ショーマは後ろを振り返り声を掛けた。
「な、なんでもないよー」
キャサリンは胸の前で両手を振る。
「あ、あそこに見えるのが東口だぞ」
ヘンリーはあからさまに話を逸らす。
「へぇ、あれが。よし!ジョージ、カール、あそこまで競争だ!!」
「あっ、待ってくださいっ!」
「ウィス兄ちゃん待ってー!」
ショーマはそんな二人に気付かず、ジョージとカールを連れて北門東口へ駆けていった。
「「ふぅ」」
ヘンリーとキャサリンは胸を撫で下ろした。
◇◇◇
北門東口に着くと、すでにマイケルが待っていた。
「すまん、遅くなった」
「いや、俺もさっき来たばかりだ。これが息子のランス」
「ランスです。はじめまして」
「ヘンリーだ。よろしく」
「キャサリンよ。キャシーお姉ちゃんって呼んでね」
「ジョージです。よろしくおねがいします」
「ウィステリアだよ。ウィスって呼んで。あと、男だから」
「あははは、先に予防線張ってるし!」
「だって!」
「僕はカールだよ。7歳。ランスは?」
「俺も7歳だよ!!」
「ほんとに!?やった!」
各々自己紹介を済ませた。カールとランスは同い年と分かり、すぐさま仲良くなっている。
一行は北門東口から少し歩いた先の浜へやってきた。
「マイケルさん、早速海に入りたいんだけどいいかな?」
「あぁ。ウィスは何か泳ぐ為の服は持ってきてるか?」
「上は脱いで、下はこのままで良いかなって思ってる」
「なら、これを使うと良い」
マイケルは長い布を渡してきた。
「漁師の下着の様なものだ。この国で海に入る男は大体これを着ける。ちゃんと洗ってあるから安心しろ」
あ、褌か。
「ありがとう。借りるね」
「付け方は教えた方がいいか?」
「大丈夫だよ。知ってる」
「そうか。着替えはあそこの小屋を使え」
「はーい」
昔先輩に「褌は男の嗜み」って教えてもらったのがこんな所で役に立つとはね。
「よーし!泳ぐぞー!!」
ショーマは着替えを済ませて浜へ躍り出た。
「やっぱり男だよな。実は女でした。なんて事は起こらないよな」
「ウィス君。ちゃんと男の子なんだね。それにしても肌白いね。お姉さん、羨ましいよ」
ヘンリーが残念なものを見る目をしている。
キャサリンは自分の肌の色と見比べて、遠い目をしている。
ショーマはそんな二人を華麗にスルーした。
「へぇ、ウィスは意外と筋肉が付いてるんですね」
「多少は鍛えてるからね!」
ジョージはショーマの肉体に驚いている。普段の乗鹿(?)と剣の練習の賜だ。
「うん。ちゃんと締められたな。ジョージも要るか?」
マイケルはショーマの姿を確認して、ジョージに聞く。
「僕は履いてるんで大丈夫です」
「じゃあ、早く海入ろう!」
「すぐ準備します」
「マイケル、ジョージ達をよろしく。ランスは見とくから」
「任せた」
ショーマとジョージは海へ走って行った。マイケルも後に続いて行く。
カールとランスは砂浜で砂遊びをしている。
「ヘンリーはみんなと行かないの?カール君とランス君のことは私が見てるよ?」
「いいのか?じゃあよろしく」
「行ってらっしゃい」
年長男子組は海で散々はしゃいで楽しんだ。
いつもは保護者のマイケルも久しぶりに楽しんだらしい。
年少男子コンビは砂遊び、磯遊び、水遊びと楽しんだ。
キャサリンは年少男子コンビを微笑ましく見守っていた。
「ランス、また遊ぼうね!!」
「うん!カール、またね!!」
「和むわー。小さい子ってホント癒されるー。それが二人もでしょー?はぅー、たまらん」
「キャシー、発言がおばさんだよ?まだ花も恥じらうお年頃でしょ!?」
「ウィス、キャシーはこんなやつだ。お前も被害者だろ?諦めろ」
マイケルとランスと別れ、ショーマ達はキャサリンの実家へ向かった。
後編のつもりが中編になってしまった。
それにしても、キャサリンは危ない子ですね。
こんなキャラになる予定では無かったのですが・・・
次回はラアイテの探検後編です。
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