85ーなんでそうなった
お久し振りです。
なかなか話が進まず予定日をオーバーしてしまいました。
この話はR15です。たぶん。
無理となったら今回はそっ閉じして次話をお待ちください。
それでは本日もよろしくお願いします。
ショーマたちはシルベスタを捕えた檻に居る。
「先ずは、今聞きかけた話から聞かせてもらおうか」
「チッ、ハァいいだろう」
バーナードの言葉にシルベスタは舌打ちをするも受け入れた。
ーーーお手並み拝見だね!
ーーーフフッ、そうだな。
物見遊山なスタンスのショーマとソラ。その前でジャブとばかりのバーナードの質問が始まった。
「従僕がやったと言う事だが、兄上が殺した者か?」
「そうだ。俺が初めて手を掛けた彼奴だ」
「その者が兄上を嬲った理由は?」
「知らん。適当な理由を付けて日頃の鬱憤を俺で発散していたのだろう。鞭を出してきたのは八つの頃だが、体罰は乳母がお前の面倒を見るために離れた頃から続いた。あぁ、お前が優秀すぎたのも原因の一つか。俺より早く歩いたとか?ハハハ。お前に比べて出来が悪いとよく打たれたな。だから俺はお前の存在が憎い」
「・・・。父上はともかく母上に訴えなかったのか?」
「あの女は俺が二人と全く違う容姿で生まれた為に関心が無かったようだ」
「他の側仕えたちはどうした?」
「側仕えたちは幼い俺が何を訴えても誰も取り合ってくれなかった。親に見捨てられた子供の相手なぞ面倒だったのだろうな。その内俺も自暴自棄になって訴えなくなった」
シルベスタの答えにバーナードはギリッと奥歯を噛んだ。
ーーーなんか、俺の想像以上に虐待されてた。
ーーー親の自覚の無い者が親だと、こうも歪むのか。
ショーマとソラは流石に同情している様子。その前ではもういいのかと挑発するシルベスタ。バーナードは大きく深呼吸する。
「──兄上は十三年もの長い間従僕の横暴に耐えた様だが、何故突然殺したんだ」
「あぁ、あの時やっと奴の呪縛から逃れられて殺せたんだ」
「呪縛・・・折檻だけでなく他にも何かされていたのか?」
「洗脳、凌辱、断種」
淡々と答えるシルベスタに対し、唖然とするショーマたち。
「どうした。何か言ったらどうだ」
「──ちょ、ちょっと待って、君って王族だよね?しかも当時は王太子とかだよね??洗脳はともかく、いやともかくじゃないんだけど、凌辱に断種って、まじ?」
思わずとショーマが口を出す。
「おいおい、今俺は嘘が付けないのだろう?これが真実でなくてどうする。
さて当時か。折檻が始まったのは俺の乳母が居なくなった、いや、そいつが生まれた頃だな。洗脳は気付いたらそうなっていた。凌辱はミリーと婚約した頃、断種は声変わりした頃か。前二つはともかく、後の二つはどちらの時も俺は確かに王太子だった。だが、奴はある意味狂っていた。そんな奴に俺の権力なぞ無意味だった。いや俺自身、自分が王族としての権力を持っている事を理解出来ていなかった。
ハハハ。回答として沈黙を選ばなければ自由に答えられるのだな。答える順番もある程度融通が効くようだ。尋問は一問一答が基本だが、お前は知らないのか?いや、子供では知らなくとも仕方がないか。まぁ、それがわかったところで全て真実を答える事には変わり無いがな」
シルベスタは全ての質問疑問に答えていく。その間にも首輪の制約の中で何が出来るのかと試行錯誤しているあたり前情報通りの暗愚では無い様だ。そしてついでとばかりに言われた言葉に、ショーマはうっと押し黙った。暗に部外者は口を挟むなと言われたに等しい。ソラは凹むショーマの肩に手を乗せ慰めた。
「──兄上は王になる教育を受けたにもかかわらず、自分の権力を理解していなかったのか?」
「勉強はした。だが、物心つくかつかないかの頃から罵倒され手を上げられ貶められ。そんな子供が自分の権力に気付けると思うか?俺はユーゴに諭されるまで理解できなかった」
「ユーゴとはユーゴスト・セイトミーラ近衛騎士長の事か?」
「ああそうだ」
「彼は今の話をどこまで知っている?」
「全て」
「ならば洗脳を解いたのは誰だ?」
「もちろんユーゴだ」
シルベスタはなぜか満足そうに笑った。
「──何故兄上は嬉しそうなんだ」
「俺はあの忌々しい奴から解放してくれたユーゴのことを心から愛しているからな」
「は!?兄上はミリー義姉上の事が邪魔になったのか!?」
「別に邪魔には思っていないが?」
「なら何故!何故あのような仕打ちを!」
「ミリーのあの目は俺の寵妃だとか宣っていた女狐がやった事だ」
「兄上にミリー以外の寵妃が居るものか!」
「おや?よく知っているものだ」
「あの頃の兄上が唯一欲しがったのがミリー義姉上との婚約──」
バーナードはシルベスタの雰囲気に言葉を止める。
「ミリーを身体的に痛め付けたのは奴だが、心を壊してしまったのは俺だ。俺は愛する者たちの子供を欲しがった。ミリーとユーゴに薬を盛り夜伽をさせ子を孕ませようと画策した。
ハハッ、俺ではどう頑張っても子を抱く幸せをミリーに与えられないからな。事を説明はしたがミリーは拒否して寝室を逃げ出し──」
「兄上」
「ミリーは逃げ出したあと、あの女狐に捕らえられた。そして傷付けられたあと、奴の配下に汚された。俺は間に合わずミリーは壊れた。俺があの時、薬を盛らなければ。俺が愛する者の子を欲しがらなければっ」
「兄上、もういい。それ以上言うな」
「いや、これだけ言わせろ。俺は狂ったように関係した者どもを一族諸とも皆殺しにした。そしてミリーは俺の事を一切覚えていない」
バーナードが止めるもシルベスタは話を続け、自嘲と共に口を噤むと場は沈黙が支配した。
「その事は宰相は知らないのか?」
ソラが沈黙を破った。
「知らない」
「他の側妃たちの怪我はお前の仕業か?」
尚もソラは続ける。
「俺が命じた」
「理由は?」
「牽制。ハッ、何故そのように威圧的なんだ。死ぬような傷は与えていないはずだ」
「いや、死にかけてたらしいよ?ね?バートさん」
「ああ。かなり酷い傷なのにヒール以外、ろくな手当てを受けていない者もいた」
衝撃を受けたのかシルベスタは押し黙った。ショーマたちは様子を窺う。
「──次だ。何故フローラを拐かした」
「お前の子を孕んでいたからだ」
「だから何故!」
「俺の子は生まれない。ならばお前の子を俺の子として生ませれば良い」
「態々兄上の子とする必要は無かっただろう!」
「お前の子では間違えて殺してしまったかもしれないからな。実に業腹だがその気の無いお前をその気にさせる必要もあった事だし。どうだ。神帝交代は上手くいっただろう?」
「兄上は自ら身を退いたとでも言うのか!?」
「ああ。俺は神帝なぞに興味無い。寧ろあんな国、さっさと滅びてしまえば良い」
シルベスタの心の底から憎んでいるとでも言うように吐き捨てた言葉に、ショーマたちは息を飲んだ。
「俺が戦争を起こそうとしている事に気付いた悪魔に狂わされるならそれで良し。上手く事を運んだとて隣国バルトに反撃され戦犯として処刑されるならそれでも良し。まぁどちらの場合もユーゴと二人消える算段をつけていた。しかし、俺はどうやら違う道を辿るらしいな」
シルベスタはふとショーマに視線を向けた。
それ以降、シルベスタは淡々と、首輪の制約に沿ってただ機械的に答えるだけとなった。
ショーマ「予想以上だった」
朝木 「これでも少しはマイルドになった」
ショーマ「王さまがちゃんとお妃さまを好きだったあたり?」
朝木 「よくおわかりで」
ショーマ「でも後味悪くない?」
朝木 「でもさ、これぐらいは仕方なくない?」
ショーマ「うん、まぁ…」
悪者にもそれなりの背景があると言うことで。
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