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俺が魔王として女神が悪魔な世界にやって来た  作者: 朝木 花音
11女神の手伝い―実働編
256/263

78ー大人な遊び


 お久し振りです。

 大変遅くなりました。

 侮りがたし年末。


 コホン。

 少し長めの文量です。

 観るのは全年齢、買うのはハタチになってから。

 後半部分に第三者視点、あとがきにオマケがあります。


 それでは本日もよろしくお願いします。





 ショーマたちは懐が温まった状態で街の競馬場にやってきた。そこは冬の屋外にも関わらず盛況でごった返している。


「すごいな。こんなに人間が集まっているのは初めて見たぞ」


「俺もここまでのは初めてだよー!危ないからジェイドは絶対下に降ろせないね」


「そうだな。なるほど。今日は春を祝う年に一度の大きな大会らしいよ。向こうの馬券売り場の売り子がそう言って皆を煽っているね」


「おぉ!お祭りなんだ!なんてベストなタイミング!!」


「にーちゃんそれたのしーの?」


「そりゃもちろん!」


「わーい!」


「はは。スカイの耳は相変わらずだな。さて。あそこに繋がれている馬が出走馬なんだよな?」


「そうだよ!ここに繋がれてるのが目玉のレースの出走馬なんだ!さてさてー、どの子が俺らの夕飯を豪華にしてくれるかなぁ~♪」


 ショーマたちは広場にレース毎に繋がれている馬の状態を見始めた。ミツキは最初、豪華な食い物と笑顔で見ていたが、徐々に真剣な顔つきなる。


「なぁ。我が狩ろうと思わない奴を選べば良さそうだと気付いたのだが、合っているか?」


「そっかなるほど!本能的に弱ってるのから狙うもんね!」


「確かにそうか。ならミツキに任せる。僕から見たら全部同じで困っていたんだ。良さそうなものを三頭選んでくれ」


「一頭ではなく三頭か?」


「ああ。一等だけを当てるよりも一等から三等までを当てた方が配当金が高いんだ。あと、そろそろ離れないと僕らの魔力にあてられて出走どころじゃなくなりそうだ」


 ミツキとヒスイはショーマの、ソラは自前の隠蔽魔法で匂いを隠している。馬たちは捕食者が近くにいるわりには落ち着いている様子。しかしどこまでいっても彼らは魔物。その放出魔力は人間の比では無い。何となくだが馬たちの気が立ってきている様な雰囲気になりつつある。


「うむ。我が思うに、あれとそこのとあとはそれが良さそうだ」


「じゃあそれで馬券を買いに行こうか」


 人波に揉まれながらも無事に馬券を買ったショーマたち。


「この割り札が当たりますよーに!」


「あたりましょーに!」


 ソラの持つ馬券に祈るショーマ。ヒスイも真似して手を合わせて拝む。


「な、なんだこの可愛い生き物は」


「僕の息子たちだよ?」


「それはわかっているっ!」


 ミツキはヒスイ(天使)によって急速に父性が開発されつつある。いずれ自分の子が生まれると認識し始めたからだろうか。以前とは違う自身の心の動きに戸惑っている様だ。


「あはっ!ジェイドは誰が見ても可愛いからしょうがないよ。ねぇ父さん」


「当然だな」


 それを見てニヤリと笑うショーマとそれにさらりと乗るソラ。ミツキはちょっと悔しそうだ。我にもすぐに愛らしい子が生まれるんだとブツブツ呟いている。一年近く先の話だけどねーとショーマは無情に突っ込んだ。




 あまりにも多い人出にショーマたちは周辺散策を諦め観覧席へと移動した。いつも通りであれば周囲の広場で子どもたちが駆けていたり大道芸人なども居るのだが、今日はそんな憩いのスペースすらも人で埋まっている。


「ほんと人だらけ。でもここ空いて良かったね」


「本当にな」


「あ!ミツキー!こっちこっち!」


 少し離れた場所でショーマたちを探していたミツキは手を上げ振り返した。


「いやぁ、本当に凄い。掻き分けるのに力の入れ処を間違えない様にするのが大変だ。ほれ、ウィスとジェイドにはホットりんごな」


 ありがとうと受け取るショーマとヒスイ。ソラには自分と同じホットワインを渡した。少し高級嗜好なのか、それぞれのコップからスパイスが香る。ミツキはショーマの隣に腰を下ろした。


「コップはどうするの?」


「飲み終わったら籠ごと返却所に返せば良いらしい」


「ふーん」


「だいぶ日が傾いてきたが、あといくつ後なんだ?」


「あと5か6レース後だったかな。そうだ!次のレースは障害一周だからめっちゃスピード勝負なんだ!アッと言う間に終わるよ!」


 ミツキの質問にショーマが答えている内に次のレースが始まる。十頭並んだゲートが開き、一斉に走り出した。


「おとーさん!あれ!あのこすごーい!」


 ソラは膝の上ではしゃぐヒスイを落とさない様に気を付けながら本当だねと応えてやる。

 会場中が見守る中、スタートダッシュに成功した一頭が障害物をものともせずに乗り越え、他を置き去りにしてそのままゴールゲートを駆け抜けた。観覧席からは純粋な歓声と怨嗟を含んだ様な唸り声、そして大声量の勝鬨(かちどき)が複雑なハーモニーを作り出している。


「はっあー、本当にあっと言う間の出来事だな」


「うんうん、完全に先行逃げきりだね」


「な?言った通り手に汗握るだろう?」


「違いない。思わず呼吸を止めていたぞ。それに、この席もまた見やすくて良いな」


 ミツキは満足そうに頷いている。


「たまたまね!ほんとラッキー!良いことしてきた後だからついてるのかな?このノリで馬券も当たらないかな~♪」


「それはまぁ、我が選んだあいつら次第だな」


「え?自信無い?」


「いや、ただ何があるかわからないだろう?」


「まぁね」




 そしてついに本日の目玉レースの時間になった。既に日は沈み辺りは薄闇に包まれている。


「これではどの馬か見分けが付かないな」


「それがねー、見ててよ!」


 ショーマが言うや出走馬が入ってきた。


「ほう、光るのか。着けているもので見分けるのだな」


「せいかーい!俺らが買った馬は、あの黄色い光で丸になってるのと、あの青い光が横に三本走ってるのと、あとはあのピンクの格子模様のだね」


「なるほど。そう言えばそんな模様の装備をしていたな」


 二人が話ている間にも準備は進んでいく。


「ふたりとも、そろそろみたいだ」


「あー、ドキドキするー!」


「ああ。これは想像以上だ」


「がんばれー!」


 ショーマたちが見守る中、ゲートが開いた。

 比較的中央付近に陣取っていた馬が一頭抜け出す。それを追うように二頭続き、その後ろにショーマたちが買った馬たちも続いた。


「良い位置取ったじゃん!追い付けぇー!!」


 白熱する観客席。ショーマも大声を上げて観戦している。


「おや、先頭は失格したか」


 先頭を走っていた馬が障害を越えずに避けてしまった。ソラの言った通りに失格が告げられる。前評判の良い馬だったのか落胆の声が多く聞こえた。


「ほれ、抜くぞ抜くぞ!」


 二週目に入り先頭馬が遅れ始め、後続が次々と追い抜いた。ミツキは身体を乗り出し食い入るように見ている。

 現在ショーマたちが買った馬は二~四番手だ。


「にーちゃん!にーちゃん!」

「なにー!?」

「あれなーに?」


 ヒスイが何かに気付いた。コース形成に魔法を使っている様で、さっきまで何も無かった場所がズズンとせり上がっている。


「あれは最後の障害だよ!あの急勾配をかけ登って、一気に下るんだ!」


 ショーマが周りの歓声に負けないように叫んで教える。


 先頭が坂にたどり着いた。先頭が坂の入り口で失速し、ショーマたちの選んだ三頭はそこへ突っ込んでいく。先頭は追走に負けじと踏ん張り駆け登る。


「いっけぇー!!差せー!!」


 ショーマの応援が届いたのか、先頭の馬が坂を下りきったところへと三頭が迫り来る。そして最後の直線。大歓声が沸き起こった。


「ぃよっしゃー!!きたー!!!は!?ダメダメ!逃げろーっ!!」


 選んだ三頭が先頭を次々に抜き去り勝ちは確定と思いきや、その三頭の後ろからぐんぐん加速した馬が一頭近付いてくる。


 ゴールまで残すところはあと100m程。


 一位、二位はショーマたちの選んだ馬が先に駆け抜けた。白熱するレース。三位は一騎打ち。騎手が鞭を振るう。


「お願いお願いお願いお願い・・・」


 ショーマは両手を組み懇願している。三番手の馬がゴールを駆け抜けた。その差は首一つ。


「っしゃー!!」

「やったー!!」


 拳を突き上げるショーマ。後ろを振り返りソラに抱きつくヒスイ。見事にショーマたちの選んだ馬が一位から三位を占めた。


「いやぁ。楽しいな」


「だろう?それに勝った後のエールは格別旨い」


「そうなのか!?」


「ハァー、アドレナリン出まくり!暑くなっちゃった」


「にーちゃんぼくものりたいの!」


「うーん馬の知り合いはいないなぁ。あ、今度ウルシにお願いしてみよっか?」


「やった!」


 ショーマたちは馬券を換金し、サクラたちと合流するべく街へと戻っていった。




 ── とある囚われの男 ──



 目が覚めると、昨日の簡易的な牢とは違う立派な場所に寝ていた。

 しっかりとしたベッド、視線に入る天井には陽光を採り入れる為の窓、上体を起こして見回せばやたらと凝っている照明に意匠性はほぼ無いが機能的な家具たち。いや、あの椅子だけは見覚えがあるな。机の上には見た目でわかる程に柔らかそうな白いパンと湯気は出ていないが良い匂いのするスープや惣菜。何処か高級な宿を彷彿とさせるが、視界には鉄格子の嵌まった壁が見える。いくつか通気孔の様なものはあるが、窓は天井のあれだけなのか。陽光の角度から真昼では無さそうだ。


 ふと首に違和感を感じ手をやった。このつるりとした厚い革の手触りには覚えがある。奴隷の首輪だ。


「ふむ」


 鉄格子の壁へ向かって魔法を放ってみる。当たり前だが何も発動しない。ならばと食器を手に取り壁へと投げようとした。途中で力が抜けナイフは手から滑り落ちる。なるほど。魔法の行使と武器の使用が制限されているらしい。あと一つは何だろうか。

 悪魔の思考を読むことは難しいが、他にやることがないのだ。ゆっくりと考えさせてもらおうじゃないか。




  ☆オマケ☆


 その頃クレラの服飾店では・・・

(ショーマはサクラに遊んでくると連絡済み)


「ねぇねぇチェリーちゃん。この布なんかどう?この前新しく入ってきたの」

「へぇ、手触りがとても良いわね」

「でしょう!色の種類も豊富で何を作ろうか悩んでるのよね。手触り的には下着なんだけどキレイな色だから表に出したいじゃない?あ、そう言えば、今日はあのイケメン(旦那さま)一緒じゃないの?キャノちゃんだけ?」

「もちろんスカイも来ているわよ。ウィスたちと競馬場に行くって言っていたわ。終わったらここへ来るみたい」

「ほんと!?じゃあ今日は遅くまでここに居れるじゃない!」

「え?」

「だって今日は今年最初の競馬開催日で年で一番のお祭りだもの!競走も一番遅くまでやってるのよ!グフフ。あと三時間はキャノちゃんの着せ替えができるのね!」

シャッ

「さ、三時間だってぇ!?」

「きゃー!やっぱり似合う!わたしの目に狂いは無いじゃない!」


  ☆☆☆


 クレラはデザイナーでもありながら、凄腕のパターンナーでもあります。採寸は一切せずに目測から体型に近い服を着させ、そこから型紙を起こす凡人にはちょっと考えられない方法であっという間に仕事を終えます。

 そんな凄腕なのに客を圧倒する気性のせいで上流階級のお仕事は滅多に無く金銭的にギリギリでちょっとあれな店主です。



朝木  「うぃー、疲れたー」

ショーマ「競馬小説なってるけど?」

朝木  「だってウマ好きなんだもん!幼児の頃から!」

ショーマ「は?」

朝木  「クリスマスプレゼントにサラブレッドが欲しいと言って両親を困惑させた三歳児とは私のことだ!」

ショーマ「え?まさかお嬢だったの?」

朝木  「いんやー、親はリーマンと専業主婦」

ショーマ「え、じゃあ何故に馬?」

朝木  「競馬中継かぶり付きだったんだよね~。当時私の中であの子(歳バレるから黙秘)とハロー○ティは同列だったんだよ~」

ショーマ「ある意味すごいな」

朝木  「えへへ」


 忙し過ぎてもういいやと脱線したままgoしました。

 いつもと熱量が違う?

 そ、そんな事は無いよー。



 応援して頂けると嬉しいです(^^)

 訪問だけでも大感謝(^^)/


 ブックマークの追加ありがとうございます!

 ★評価もありがとうございます!

 300Pt超えました!Σ(゜Д゜)

 総PV360,000突破しました!

 360,000人目のお客様は11/17 16:00台にいらっしゃったアナタです!

 ユニーク45,000、11/21に突破しました!

 いつもありがとうございます(*^^*)



※次回更新予定日は、12/29(水)です。年内最後の更新です。

 よろしくお願いします。


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