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俺が魔王として女神が悪魔な世界にやって来た  作者: 朝木 花音
11女神の手伝い―実働編
254/263

76―ハイテンションな彼


 少しおそくなりました。

 お久し振りです。

 本日、オマケあります。


 よろしくお願いします。




 ショーマたちはミツキの洞窟(いえ)へやってきた。


「ミツキ、出掛ける用意は出来ているか?」


 声を掛けながら中へ入るソラに続いてショーマたちも洞窟へと入っていく。


「ソラ殿!もちろん出来ているぞ!」


 ミツキが勢いよく応え、奥から出てきた。いつもより声が弾み楽しそうだ。


「まったく、少しは落ち着いたらどうだい」


 キャノーラが呆れた声を出しながら後を追うように出てきた。


「そうは言ってもな!人間の街に行けばいろいろな旨いものが食えるのだぞ!サクラ殿の料理も旨いが我はキャノにも人間の料理を食べさせてやりたいのだ!」


 今までに無い経験ができるぞと楽しそうなミツキ。それにじとりとした視線を送るキャノーラとの温度差が激しい。


「色々食べるにはそれなりに稼がないとならないんだが。ミツキは何か売れるものがあるのか?」


「あるぞ!これとこれと、あとこれだ!」


 ミツキは巾着状の腰袋を開き、中に仕舞っていたものを取り出す。


「なるほど。良い値で売れそうな魔石を持っていたんだな」


「ふふん。こいつらは高値が付くと前回街に行った時に調べたからな!」


 ミツキのテンションがやたら高く、ソラは苦笑い。ショーマはコソッとサクラに話し掛けた。


「なんだかんだ言って二人は初デートだもんね。ウキウキしちゃうよね」


「うふふそうね」


「はやくいこーよー!!」


 サクラと笑い合うショーマの手を引っ張りながらヒスイが言った。その一声で一行はやっとケイランに向かうことになった。




  ◇◇◇




「ふぇーやっとついたー」


 一行は入場待ちの列に並んだ。ヒスイは疲れたのかしゃがみこむ。


「よく頑張ったな」


「うん!あのね、おとーさん、だっこ?」


「ははっ、おいで」


 ヒスイはソラに向かって両手を差し出した。ソラはぐいっと抱き上げる。


「ケイランの周りは開けているから仕方がないとは言え、ヒスイにはちょっと遠かったかな?」


 ケイランは見通しの良い草原の中にあり、普段(ドラゴン姿のとき)から使っている窪地にしか転移が出来ない。


「この立地は俺らにはめんどいけど、住んでる人間には魔物の襲撃が簡単にわかって便利なのかもね」


「そのせいか、ケイランの砦は取り合いになって何度も戦場になったんだよ。きっとこの立地は守り易く攻め辛いからどの国も欲しかったんだろう」


「ふーん」


 ソラとショーマの会話を聞いた列に並ぶ人々は、いったいどれだけ昔の話をしているんだ?と首を傾げる。


「ここって国境に近いの?」


「ああ。今はここから少し南下した所が三国交わる所だね。前は本当にこの街が国境の様なものだったよ」


「へぇー」


 いや、本当にいつの話?と突っ込みたいのを我慢している人々。この地で最後に戦争が起こったのはざっと80年は昔。それ以降は女神によっての事前処理が間に合っている。


「そうだ。ケイランの塀は他に比べてずっと立派だと思わないか?」


「確かに!シャインレイの首都(ラアイテ)でもここまでじゃなかったよ!」


「だろう?ここは何度も所有国が変わったからね。その度に強化されたり増設されたから他に類を見ない程に強固なんだよ。昔は今の半分の高さしかなかったかな?」


「それでもじゅうぶん立派だったんだろうね」


 見た目20代半ばなソラに対して明らかにお前が生まれる前だろ!と彼らが突っ込まないのは赤の他人だからだろう。しかしながら何人かは我慢をしている様で、チラチラとこちらを窺っている。


「そうだね。正攻法で攻城槌を使って攻めても越えるのは大変そうだったよ」


「へぇー」


 さも見てきたかの様に言うソラに脚色するなと批難の視線を送る者もいる。実際に目にしている事をショーマたちは理解しているのだが、ソラの見た目年齢からは普通は考えが及ばない。


「ウィスも知ってる今の街になったのは本当に最近の事なんだ」


「そうなの?結構古くからあんな感じだと思ってた」


 いざこざが無くなったのはここ50年程。さらにブルネスに併合されてからの10年は交通の要所としての地位を確立している。ショーマの感想は強ち間違えではないのかもしれない。うんうんと小さく頷く者がちらほら見られた。


「いや?ざっと50年くらいかな」


 ソラの発言に周りはずっこけた。


「え、それ全然最近じゃないよね?」


「そうか?」


「あ、や、うん。ドラゴン(父さん)にとって50年は瞬きをする間だったね」


「いや、さすがに50年もあれば一瞬ではないかな?」


「うんと、えっと」


「スカイ、ウィス、その話はまた後でにしましょうか。もうすぐ私たちの順番が来るわ」


 ショーマが返答に困っていると、サクラがしょうがないなと助け船を出した。




 一行は恙無く入場を果たしたものの、ソラはサクラに人気のない場所へと連行される。


「なぁウィス。スカイはどうしてチェリーに連れて行かれたのだ?」


「俺が困っちゃったから説教されてるのかも?」


 説教と小さく呟くミツキにショーマは苦笑いを向けた。


「そうだ、二人もなんだか不穏な会話をしてたね?」


「不穏とな?」


「人間がいっぱいいる場所で人間を食糧に数えてたじゃん」


「いや、食っても不味いと言ったのだが」


「それ食べる気ある人の発言ってわかってる?」


 うん?と首を傾げるミツキ。ショーマは大きくため息を吐いた。


「あ、にーちゃんなにあれ!」


 ヒスイが何かに気付き駆け出そうとする。ショーマは繋いだ手を離さないように踏ん張った。


「こらジェイド!母さんがここで待っててって言ってたでしょ」


「はぁい」


 ヒスイが足元の石を蹴って遊び始めると、サクラとソラが戻ってきた。


「お待たせ」

「待たせてすまない」


 サクラはやりきった笑顔で。ソラはぽりぽりと米神を掻きながら合流する。


「それじゃあ行きましょうか。キャノは私と、ミツキはソラたちと回ってちょうだいね」


「あぁわかってるよ」

「キャノの事は任せるぞ」


 キャノーラは逆らうべからずと、ミツキは全幅の信頼を寄せて頷く。


「何処集合にする?」


「そうね。用事が済んだらウィスに連絡するわ」


「うんわかった。じゃあまたね」


 ショーマは連れだって離れていく美女たちにむかって手を振り送り出した。


「さて、まずは資金調達だな。ジェイド、おいで」


 ソラが人混みに入るからとヒスイを抱き上げた。


「ミツキはこっち」


「ん?我は一人でも大丈夫だが?」


「念のため念のためー。ほら、俺こう見えて小さいし」


「ははは。そうか。なら我が手を握っていてやろう」


 ショーマはミツキの手を握った。自分が人混みに流されない為もあると思うがきっとミツキの迷子防止だろう。自分の威厳よりも探す手間を取ったかたちだ。


「では、いざゆかん!」

「ゆかーん!」


 ショーマの号令で四人は人混みへ突入していった。




 ☆オマケ☆


 列に並ぶ後ろの三人。


「はぁー。ここまで遠かったね」

「足は大丈夫か?」

「何度も大丈夫だって言ってるだろう?ミツキは心配しすぎだよ」

「とは言えなぁ。まだその足でこんな長距離は無理だろうが」

「うふふ。これも練習よ。本当、ウィスが居て良かったわね」

「あぁ確かにね。にしても、ここは人間が多いね」

「今日はこれでも短い方よ」

「本当かい?これだけでも腹は充分膨れるよ」

「いや、こやつらは食っても不味い」

「・・・二人ともこんなところで何を言っているの?」

「何をと聞かれても旨いか不味いかの話だね」

「それが駄目だと何故気が付かないのかしら?」

「そ、そうだな。キャノ、その話は家だけにしよう」

「あ、あぁ。そうだね」


 ☆☆☆


 サクラの目が笑っていない笑顔に震えたミツキとキャノーラ。

 前の二人は大昔の話をして周りを悶々とさせ、後ろの二人は人喰いの恐怖を撒き散らすと言うはた迷惑な一行でした。



 応援して頂けると嬉しいです(^^)

 訪問だけでも大感謝(^^)/



 ブックマークの追加ありがとうございます!

 めっちゃ嬉しいです~(*≧∀≦)

 これを糧に頑張ります!


※次回更新は11/15の予定です。よろしくお願いします!

 話がまとまらないのでちょっと遅れますっ

 (;>_<;)すいません

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