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俺が魔王として女神が悪魔な世界にやって来た  作者: 朝木 花音
11女神の手伝い―実働編
251/263

73―後片付け


 お久し振りです。

 本日もよろしくお願いします。





 ショーマとソラは宮殿の中庭で魔道具の処理をしている。


 ショーマは騎士をその場から動かし、纏わり付いた魔道具を解除していく。ソラはばら蒔かれた起動中の魔道具にわざと触って自身の高魔力でパキパキと小気味良い音をたてながら破壊していく。

 魔力の少ないマルクは黒い芋虫が増えるだけで確実に邪魔になると、少し離れた場所で外面キリッと内心ほげーっと二人の作業を監視して(眺めて)いた。


「よし、これで最後っと。みんな外しました」


 ショーマはマルクに報告する。マルクはありがとうございますと敬礼を返した。


「こちらも終わりました」


 ソラも最後の一つを破壊した様だ。残骸を詰めた麻袋をドサッと端に置く。


「ありがとうございます。そこの君、騎士たちを医務室へ。人手が足りなければ近衛騎士を呼びなさい。ではお二方はこちらへ」


 マルクは近くで待機していた従僕に後を任せ、ショーマとソラを連れて中庭を去る。


「どこへ行くんですか?」


「宰相閣下の執務室です。作業が終わり次第お連れするようにと命を受けているので」


 ショーマとソラは大人しくマルクに従って宰相の執務室に向かった。




 コンコンと扉をノックして、マルクは誰何(すいか)に応える。


「守護騎士長一等補佐のマルクです。お二方を連れて参りました」


 内からの入れの声を聞き、マルクが自ら扉を開く。そしてショーマたちを先導して入室した。

 室内にはバーナード、宰相、守護騎士長の三人が揃って待ち構えていた。さっき外で対面は果たしたものの、声を交わすこともなかった宰相と守護騎士長は明らかにショーマとソラを警戒している。


 マルクはショーマたちを案内すると退室していく。それを待ってバーナードが二人に話し掛けた。


「スカイ、ウィス、ご苦労だった。座ってくれ」


「うんまぁ俺がやったことだし後片付けはやらなきゃね。だから気にしないで」


 バーナードは左手で席を示して着席を促す。ソラは一つこくりと頷き、ショーマはひらひらと手を振る。

 臨時とは言え相手は神帝。その軽い仕草に宰相と守護騎士長は怪訝な表情を浮かべるもすぐに元へ戻した。


 宰相の執務室には簡易的に会議ができるよう、7名が座れる角を落としたコの字の机が置かれている。その短辺部分にバーナードが一人椅子に座り、彼を正面に見て左側奥から宰相、守護騎士長の順に座っている。ショーマとソラはその反対側に腰を落ち着けた。


「紹介しよう。宰相のゼイン・ルース・ハルトミーラと守護騎士長のドミニクだ」


 バーナードの紹介に宰相(ゼイン)守護騎士長(ドミニク)はそれぞれよろしくと挨拶をする。それにならってソラが自分とショーマを紹介した。


「ドミニクさんは家名がないって事は一般人?なんとなく騎士長って貴族なイメージだったけど」


 ショーマは疑問を素直に口に出した。


「ウィス、ここへ来る前に言っただろう。貴族は今守護騎士に居ない」


「えっ!?あれって一人もいないって意味だったの!?びっくりー!」


 バーナードのため息混じりの返答にショーマは大袈裟に驚いて見せた。その子供らしい態度に少しだけ場の空気が和む。


「なぁ、その仮面を取ってはくれないか?どうも居心地が悪くてな」


 ドミニクが言いにくそうに言った。ゼインも賛成の様だ。バーナードは静観の体をとっている。


「どうしよ?」


「この部屋の中だけであれば良いんじゃないか?」


 ソラの提案にショーマはそうだねと同意して、二人は狐面に手を掛け外す。


 ドミニクは仮面の下から現れた美貌に喉を詰まらせる。ゼインは目を見開き固まった。二人とも息をしているのか怪しい。


「よく外す気になったな」


「まぁ、彼らは一応バートの仲間らしいからな。今後を考えてとりあえずの面通しだ」


「そうか、助かる。さて、そろそろ本題に入るか。宰相。宰相?」


 二人の行動を意外に思ったバーナードにソラが簡潔に答える。バーナードは軽く感謝を示し、本題に入る様にゼインを促した。すぐに返事をしないゼインにバーナードは再度呼び掛ける。


「──はっ、申し訳ありません。仮面の下があまりにも想定外で」


「確かに一度見たらなかなか忘れない容姿ではあるな」


「えー?そーお?」


 ゼインの言葉にドミニクは頷き、バーナードは肯定をする。対するショーマとソラは顔を見合せ首を傾げた。

 その時、部屋の外からマルクが入室許可の問合せが聞こえた。ドミニクが入れと声を掛ける。


 マルクは丸い銀の盆を持って部屋へ入ってきた。失礼しますと下げた目線を上げ、狐面を外した二人を見て細い目を開く。しかしすぐに微笑み、机の中央を通りバーナードの前に来た。奥からコトリコトリと会議に欠かせないお茶を配っていく。補佐は給仕も業務のうちらしい。


「マルクもここで話を聞いていけ」


「いえ、自分は「これは命令だ」はっ!では入り口で控えさせていただきます」


 配り終えたマルクにドミニクが命じて、彼も部屋に残ることになった。


「それでは、事の経緯から教えていただけるでしょうか」


 ゼインの言葉で会議が始まった。




「では、我が国の実状を知ったどこぞの高貴なお方がお二方、いえ、お三方を派遣したと言うことですか」


 ―――プクク、高貴って!確かに高貴だよ!女神様だもん!


「高貴?・・・まぁそうだな」


 相手の心証が大事と今さら言うショーマは、自分の代わりにソラに応答を頼んだ。ショーマの耳打ちを考慮してソラが淡々と答えていく。バーナードからの首謀者はお前だろという視線をショーマはさらりと流した。ドミニクとマルクは門外漢とわきまえ黙して待機している。


「国内を調査中に、手違いから我が国の捕虜としてお仲間が捕まったと」


 ―――手違い、まぁ、うーん、サムさんの自爆?


「──そういう事にしておいてくれ」


「旧都の件はその方を助け出す為に起こしてしまった騒動ですか」


 ―――被害が思った以上に大きくて、申し訳なかったかなーとは思ってる。


「その件については申し訳なかった」


「いえ、こちらにも非がありますので。その際、旧都宮殿から殿下の側妃方を連れ出されたのですね」


 ―――連れ出したってか、拉致だよね。見た目で判断したけど本当は信頼し合う妃と王様の被害者の手厚い保護だったわけだし。


「ああ。ただ、それに関しては完全にこちらの勘違いだったようだが」


「いえ、お陰様で手厚い看護を受けることができたとレジーナ妃殿下より伺っています。最終判断は二人に任され、国の内情を鑑みてシルベスタ帝を廃する決断をされたのですね」


 ―――うん、まぁ、女神様になんも許可貰ってない俺の独断だけど。


「そうだな、そう思ってもらっていい」


 一通り説明するとゼインは眉間を揉み、バーナードは天井を見詰めている。ドミニクは話の始めから目を閉じ腕を組み身動ぎ一つしていない。マルクは議場を眺めつつ頭の中で色々と当たりをつけているようだ。


 ―――あれ言おうよ!女神様は殊更この国の監視を強めてるよって!


 ―――ふむ。確かに伝えておいた方が良いか。


「我々の上の者だが、やたら悪魔の出現率の高いサートミーラ王国の事を憂いている」


 ソラの言葉にバーナードがすぐ反応した。


「それは、我が国を常日頃監視していると言うことか?」


 バーナードの言葉にゼインが息を呑む。ドミニクは目を開き、ソラをじっと見た。


「どうだろうな。あの方は人の域では推し量れない存在だから」


 ソラは暗に人知を超越した者だとヒントを出す。しかし、サートミーラ側は監視者が誰か正解を導く事は出来ないだろう。




 その後、預かっている女性たちの引き渡し時期の話やシルベスタの今後についての質問にも答えショーマとソラはミリメトピアから捕虜のいる森へと転移した。





ショーマ「なんかさ、要点だけ纏めるとこれだけ?って感じだね」

朝木  「うん。書いてて私も思った」

ショーマ「しっかし、サートミーラの滞在時間長いなー」

朝木  「外から見たらね!中ではそんなに経ってないよ!」

ショーマ「中だって予定の倍どころじゃない長さの滞在だけどね?」

朝木  「うぐっ」

ショーマ「まぁ、頑張りたまえ」ククッ

朝木  「えーん!ショーマがイジワルだぁー!!」泣


 はい、えー、そんな感じですね。

 あとひと山で終わるはずなんだけどなー。

 終わるかなー?



 ☆コネタ☆


 宰相の執務室にある机は長細い角を落としたコの字型。

 短辺に一人、長辺に三人ずつの席がある。

 角を落とした四辺にも窮屈だがそれぞれ一人の席をとれる。

 最大で十一人の会議が可能な大きな机です!

 どうでもいいネタでした。



 応援して頂けると嬉しいです(^^)

 訪問だけでも大感謝(^^)/


 ブクマ減ってしまいましたが、読者の方はいっぱいいらっしゃるのでがんばります!

 朝木はPV重視!!



※次回更新は、10/1予定です。よろしくお願いします。


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