70―誘拐犯ショーマ
お久しぶりです。
よろしくお願いします。
本日オマケあります。
2021/12/16…中盤シルベスタの無力化方法を変更
ショーマは神帝シルベスタと対峙している。
「それで、貴様はここに何をしに来た」
「え?わかってるでしょ?」
沈黙を守っていたシルベスタが嫌そうに問う。対してショーマは狐面の下でふふっと笑いながら答える。
その時、ショーマはソラからくんと繋りを引かれた。まだ終わらないのかと心配したのだろう。ショーマは苦笑いを浮かべ、まだと返事を込めながら三回繋りを引っ張り返す。それに応える様に部屋の外から小さくソラの咆哮が聞こえてきた。
「余は戦争を考えておらぬが?」
「あー今までだったらそうかもね。でもさ、悪い奴を懲らしめる理由は別にそれだけじゃないと思うんだよ」
シルベスタの物言いにショーマは答えつつ大きく両手を広げた。さながらスポットライトを浴びた舞台俳優のような大袈裟な身振り。シルベスタは射るような視線を向けた。
「悪い奴か。余とあいつを比べたのか?先日旧都に現れたのも貴様だろう」
「うーん、まぁ比べたっちゃ比べたね。関係者に聞き取りもしたし。その上で君はこの国にとって害悪と判断したよ」
ショーマは右手の人差し指を顎に当て、コテリと首を傾げる。しかし異様な狐面のせいでその可愛らしさは一欠片も見えない。言ってることは言わずもがな。
「・・・貴様はいつもの様に余のことを洗脳するのか?」
「いんや、迷惑を被った人たちの元へ連れてくよ!」
「はっ、こいつは本当に今までの悪魔とは別個体のようだ」
ショーマとシルベスタのやり取りを固唾を飲んで見守る騎士。さすがにショーマの連れていく発言には動揺した様だ。
「あぁ、王様を連れ去った後のことは大丈夫だよ。ちゃんとバートさんを連れて来てあげるから」
ショーマは騎士の動揺を宥める様に告げる。それを聞いたシルベスタはちっと舌打ちをした。
「まぁ説明は以上ってことで、時間が押してるので質問タイムは終わりです!王様は連れて行くとして、騎士のみんなはどうしよう。あ、中庭でいっか!じゃーねー!」
言いたい放題言ったショーマは騎士たちからの抗議を受ける前に彼らを中庭へ転移させた。部屋にはショーマと今見たことが信じられないと絶句するシルベスタの二人が残る。それもそうだろう。それなりに広い部屋に居た騎士と魔道具が一瞬にして跡形もなく消えたのだから。
「それじゃー君もいこっかー」
ショーマは椅子に縛り付けられたままのシルベスタと一緒に南の森に作った檻の中へ転移した。
ショーマはシルベスタに魔力を放ち気絶させ、そのまま檻に放置して一度結界の外へ出た。そして、ソラへ意思伝達魔法を掛ける。わざわざ結界の外へ出た理由は結界が魔力の出入りを制限しているからだ。
―――父さん。こっちは終わったよー。
―――そうか。じゃあ今から森へ行くよ。
―――うん、待ってるね。
ショーマはソラとの話を終えると羽根を伸ばす。そして捕虜たちの檻を囲む結界の頂点に向かって飛び上がった。見晴らしの良いその場所にレジャーシートの様なものを空気から作って敷き、足を投げ出して座るとミリメトピアの方を見る。
少しして街から月明かりに白く輝くドラゴンがこちらへ向かって来るのが見えてきた。
◇◇◇
「こんばんはー」
ショーマは人化したソラとともに旧都の宮殿に転移してきた。
いきなり場内ではなくきちんと門前に転移してきたが、そこにいた門番は驚き腰を抜かす。近くに居た騎士は先日は非番だったのか教科書通りに武器を構えた。慌てて駆け寄る他の騎士に王太子殿下の客人だと止められる。
そんな一幕があったものの、ショーマたちは無事にバーナードの執務室に入った。
「こんばんは」
「ああ。今夜もやらかしたらしいな」
「何もしてないよ?」
にこりと微笑むショーマにバーナードはハァとため息を吐きつつ着席を促す。
「でさ、バートさんたちはもう行ける?」
「今レジーナが来るから少し待て」
さっさと本題に入るショーマたちの前に先日の老執事が紅茶を置いた。バーナードは置かれたカップを手に取る。
「じゃあさ、例のアレ貸して」
ショーマは右手を出して何かを催促する。バーナードはこのタイミングかと苦笑いでカップに口を付ける前に執事に机上から持ってくるように指示を出した。
「貸せと言うが返すつもりはあるのか?まぁ別に返さなくてもいいが」
えへっと笑いながらショーマはバーナードから1本の短いベルトを受けとった。
「制約は三つまで。本人を前に言葉に出しながら魔力を込めて、最後に首に嵌めたら終わりだ。相手は意識があろうが無かろうが生きていればどちらでも良い」
「ふーん。みっつかー。何にしようかなー」
バーナードに手配を依頼していたのは奴隷の首輪の魔道具だった。ショーマは渡されたそれを手で弄びながら考える。
「あ、壊れるから魔力は込めすぎるなよ」
「言われなくてもわかってるよ。おねぇちゃんたちの首輪外したの俺だし加減はわかってるつもり。そう言えばあれを壊すのにそこそこ魔力を使ったな」
ぼんやりと思い出すショーマにバーナードは引き攣った笑みを浮かべた。
―――ショーマ、レジーナさんが来たよ。
ソラの言葉にショーマは魔道具から顔を上げた。そして魔道具をテーブルに置き、お茶をぐいっと飲む。出されたものは残せない日本人の性が出た様だ。
「あ、こらっ!」
「あっちぃっ!!」
バーナードの制止が間に合わなかった。ショーマはいひゃいいひゃいと涙目になりながら舌を口から出している。
ソラは目を丸くしてショーマを見た。彼自身そこまで熱い茶だと思っていなかったのだろう。大丈夫か?と声を掛け、一応自分もお茶を呷りやはりそこまで熱くないなと首を傾げた。
「まったく、出されたばかりの茶を一気に飲む奴があるか」
バーナードは溜め息混じりに腰に提げていた杖を取り外し、ショーマの口にヒールを掛けてやる。相手は悪魔の様に強いとは言え、子供だからとつい助けてしまったらしい。自分のしたことを振り返り苦笑う。
そんなドタバタとした中にレジーナが到着していた。老執事が素早く扉を開いて招き入れている。
「お待たせいたし・・・あの、何をやってらっしゃるの?」
「気にするな」
レジーナの困惑した声に対し、バーナードは溜め息を吐く。
「うおっほん!じゃあ行こうか!」
ショーマはわざとらしく咳払いをして話を逸らし離席を促す。そして持っていた狐面を顔に着けた。ソラも倣って面を被る。
「なんだそれは」
「あー、おれは仮面の子供で、父さんは仮面の男でよろしくー」
ヒラヒラと手を振り宣言するショーマに、バーナードは既に今日何度目かわからないが一番盛大な溜め息を吐いた。
☆オマケ☆
ソラ待ちのショーマ
―――あ、父さん!こっちこっち!
―――ショーマ、そんなところで何をやってるんだい?
―――父さんが来るまで暇だからお月見?
―――ふふっ、待たせてごめんな。
―――のんびりできたから良いよ!てかそろそろ人型になったら?みんなビックリしちゃうから。
―――そうだな。
ソラは手に持った仮面を宙に投げ、人化するとそれを難なく掴む。そしてなかなかの速度でショーマの前に到着した。
「父さんお疲れー」
「はは、ショーマもな」
よいしょと立ち上がったショーマの頭をソラはクシャっと撫でた。
☆☆☆
ソラ待ちのショーマ
吹いたのは朝木だけ?
日本一の電波塔の商業施設ね~w
応援して頂けると嬉しいです(^^)
訪問だけでも大感謝(^^)/
ブックマーク、評価ありがとうございます!
総合点が一気に増えててびっくり!
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※次回更新は8/15を予定しています。よろしくお願いします。




