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俺が魔王として女神が悪魔な世界にやって来た  作者: 朝木 花音
11女神の手伝い―実働編
245/263

67―緊張感の無い二人


 書き上がったので投稿します。

 場面がコロコロ変わります。

 オマケ集の様になってしまいました。

 最後にちょっとだけ別視点があります。


 よろしくお願いします。


※2021/06/26…一部内容を修正。次話後書きにて解説予定。





 ショーマはソラと共に無人島へ戻ってきた。


「今朝言っていた魔法陣の準備はどこまで出来たんだい?」


 ソラはテント内をさっと見回しショーマに確認する。


「メインの転移魔法陣はできてる!でもまだ鍵の作成と塗料?の作成が終わってないんだよね。ディラントに渡すモニターもまだだけど。まぁ、どれもすぐに必要なものでもないし、作るのは明日以降でもいいんだけどね」


「そうか。でも今なら時間もあるし出来るところまでやってしまおう。塗料の方は僕がやろうか?」


「ほんと?助かるー!」


 はいこれとショーマはソラに何かの赤い殻と複製(コピー)で増やした白金の粉末を渡し、それぞれ分担して作業に取りかかった。




「ショーマ、今夜のことなんだが」


 床で胡座をかくソラがショーマが空気から作ったすり鉢で赤い殻をごりごり磨り潰しながら話し掛けた。

 なーに?と机に向かうショーマはソラの牙に刻む鍵の魔法陣をソラの爪で作った彫刻刀で彫りながら返事をする。


「僕はドラゴンの姿で乗り込もうと思う。バートにもそうして欲しいと頼まれたから」


「そー?じゃあ別行動だね」


「ああ。僕に警備の目が集中するからショーマは動きやすくなるだろう。ただ、一人で大丈夫かい?」


 ソラは手を止めショーマを見た。ショーマも手を止めると少し考える。


「うーん。要人誘拐(こういうの)は初めての事だし、ちょっと不安だけど。でも父さんが警備を引き付けてくれるなら大丈夫じゃないかな?俺には威圧(奥の手)もあるし」


「そうか。何かあったらすぐに呼ぶんだよ」


「うん!頼りにしてる!」




 二人はせっせと働き、捕虜との夕食前にだいたいの作業を終わらせた。




  ◇◇◇




 捕虜たちに夕食を届け、一緒に食べる。その中の会話で、ショーマはさらっと今夜お客を迎える事を伝えた。


「そうそう、今夜この前言った人を連れてくるから。泣いても喚いても無視していいよ。てか、視界に入れない方が自分たちの身のためだと思う。もし檻の中を見て後悔してもしーらないっ!」


「サートミーラとの関わりを断つのだから首を突っ込まないことだ」


 そう言う二人に、やっぱり本気だったんだなとのファウストの大きなため息が印象的だった。




  ◇◇◇




 ショーマとソラは無人島のテントへ戻り、それぞれ装備を整える。


 ショーマはいつもの剣を腰に差した。鞄に入れっぱなしの杖も同様に装備する。服は捕虜のいる森に行った時のまま藍色で、髪もいつも通りの藤色。今さらノーランとの関係を疑われても困るので、顔を隠すための狐面も装着した。


「これ、どうやって運ぼうか」


 ソラも装備を整えつつ、ショーマお手製の狐面を手に持ち考えている。ちなみにソラの纏う服はショーマ作成からサクラ謹製に変わった。


「あーそっか、消えちゃうのかー」


 そうなんだよとソラは困った様な顔で笑った。ショーマはどうしようと腕を組んで悩む。


「うーん、手で持ってくしかないんじゃない?地面で人化するなら近くに置いておいて、空中で人化する時は空にぽーんって投げて後でキャッチすれば?」


「やっぱりそうなるか。無くさないように気をつけないとな」


「じゃあ光らす?」


「はは、それは無駄に目立ってしまうからやめておこうか。さて、そろそろ時間だな」


 ちらりと時計を見たソラの言葉にオッケーとショーマは転移を発動した。




  ◇◇◇




 ショーマとソラはショーマが荒らした森の中にいた。

 太陽はとっくに沈み、現地時刻は夜の7時すぎ。バーナードが内勤の者は残業している者以外ほぼ帰宅しているはずだと言っていたので、この時間の決行になった。


 ショーマはドラゴン姿になったソラに空気から作った鞍や手綱(飛行用具)を取り付けている。一方、ソラはドラゴンの手にはあまりにも小さな狐面をしっかりと掴むのに四苦八苦していた。


『小さすぎて無理だ。こうなったら咥えるか。でも噛み砕いてしまいそうなんだよな』


「どうしたの?」


『やっぱりこのお面が持てないんだよ』


 背中から覗き込んだショーマにソラは困った顔をした。あーとショーマは苦笑い。とりあえず紐を付けて指に引っ掛けられるようにした。


「なんか森がざわついてるね」


『たぶん僕がこの姿でいるからだろう』


「そりゃそーだっと。じゃあ父さん、ミリメトピアまでお願いしまーす!」


 ショーマは鞍に座りベルトで身体を固定すると手綱を掴む。ソラはこれ以上森をざわつかせない様にゆっくり静かに浮かび上がった。




  ◇◇◇




 二人は曇天とも晴天とも言えないどっち付かずな空をミリメトピアに向けてゆったりと飛んでいる。


 あまり人目を避けてもドラゴンで乗り込む目的を果たせない為、高度はあまり高くない。目論み通り、先日の騒ぎから引き続き街道を警戒していた兵士の多くがその姿を目撃していた。


 ―――この空なら雲を散らさなくても大丈夫そうだ。


 ―――そうだね。雨も降ってないし、月明かりもちょうどいい感じ。あっそうだ。父さんはいつも女神様を乗せて行った後は城の上で待機してるんでしょ?女神様ってどうやって下に降りてるの?飛び降り?


 ―――よくわからないけど、ふわりふわりと降りていくな。


 ―――へぇー。紅葉の葉っぱが落ちる感じ?


 ―――それよりももっとゆったりとした感じかな。そう言えば、前に魔族の人から聞いたんだが。不思議な事に目的の人間以外には女神様は認識されないらしい。


 ―――そりゃあ女神様だもん。俺らの理解できない謎な力が働いてるんでしょ。なんでか自分たちとは次元が違うってちょいちょい忘れるけど。


 ―――ははは。親しみやすい人柄だからね。


 ―――そーだねー。


 ―――うん?納得していないのか?


 ―――いや、親しみやすいけど、おっちょこちょいの度が過ぎててちょっとねー。今回のこれも元はと言えば・・・みたいな?


 ―――あぁ、うん、そうだな、あはは。お、城の明かりが見えてきたよ。


 徐々に今夜の舞台に近付いていく。ソラはこれ幸いと話を切り上げた。




 ── とある兵士の男 ──


 はぁ、夜の街道警備はいつまで続くのか。


「おい、あれ」

「うん?何だ?」

「あれだよあれ!!」

「うわっ!!」

「え・・・」

「嘘だろ」


 最近組まされることになった新兵が指差す方へ俺も目を向けた。


「「「ドラゴンだ!」」」

「だよな!?」


 本当に出た・・・。


「班長!どうしたらっ!」

「お前は通信の魔道具で隊長に連絡。お前らは周りの班に伝えろ。お前は照明、いやこの明るさなら狼煙だ。各員掛かれ」

「「「はっ!!」」」


 あれだけの大物だ。当然他の班も気付いているだろう。

 はぁ。平穏が一気に崩れ去ったな。





 ソラはショーマが空気から作った物を身に付けたまま状態変化をするとそれらが消えてしまいます。なので当初の予定にはなかったのですがサートミーラ風の服をサクラに頼んで作ってもらいました。ちなみに、前に臭くなってしまった服はサクラの高度な家事スキルによってソラでも感じない程の無臭になっています。


 今夜、ソラはショーマと別行動なので狐面の扱いに悩みました。身に付けたまま人になると服と同様に消えてしまうからです。ドラゴンが小さいお面を持とうと四苦八苦している様は、端から見たらくすりと笑ってしまう光景でしょうね。


ショーマ「なんか、父さんが可愛い」

朝木  「うん、わかる」



 応援して頂けると嬉しいです(^^)

 訪問だけでも大感謝(^^)/



 ブクマ、評価ありがとうございます!

 むふふ(*^人^)


※次回更新は7/15を目標に頑張ります。よろしくお願いします。


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