66―転移魔法陣の改良
お久しぶりです。
本日オマケあります。
よろしくお願いします。
ショーマはサートミーラとミリメトピアに設置する転移魔法の魔法陣を考えるために、自分たちのテントへ戻ってきた。空気塊魔法を使って、机と椅子を作り出す。
入り口に向かって社長室みたいにすると、アイディアが浮かびやすいんだったかな?
さて、始めるか。とりあえずユカリの家に置いてある魔法陣をベースにするでしょ。
机上に広げた大きめの紙に今ある転移魔法の魔法陣を入り口出口の二つ分描いた。
行き先は固定で決まりだから良いとして、あ、でも一方通行じゃなくて相互になるのか。じゃあ考える魔法陣は一つでいいんだね。
あとは、人数制限を掛けるでしょ。重量制限の方が良いのかな。エレベータみたいにブザーでも付けとく?問題は魔力量の節約と、鍵をどうするか。
紙の空いたスペースに改善点を書き出していく。
あー!簡単には複製できない様に複雑にしないと!あれ?もしかして複製されない為に魔道具ってやたら装飾されてる?そっかー、そう言うことだったのかー。
ショーマは真理に辿り着いた様だ。納得とでも思っているのか、うんうんと頷いている。
じゃあ俺も無駄に凝ろうかなぁ。あ、こっちの言葉じゃなくて、日本語とか、英語とか組み合わせたらあんな無駄を入れずに現地人にはよく解らない魔法陣が作れるんじゃない?
ショーマは閃いた!とばかりに口元を綻ばせる。
しかも一つの魔法陣に二つ以上の効果を持たせたら、もう何やってるのかわからないよねー!うん!色々と問題解決!
「おしっ!描くぞー!」
ショーマは気合いを入れて、魔法陣の構成を考え始めた。
「フッフッフッ。どうだ!」
書き始めてから三時間程が経っただろうか。あーでもない、こーでもないと唸っていたショーマは不敵な笑みを浮かべた。鉛筆を机に置くと、魔法陣を描いた紙を両手で掲げる。
「内側から、鍵に反応する魔法陣、魔力を貯める魔法陣、使用魔力量を抑える魔法陣、偵察の魔法陣、魔力量確認の魔法陣、転移の魔法陣があって、外縁に保護の魔法陣!我ながら素晴らしい出来栄え!点在配置したライトの魔法陣が良い仕事をするはず!しかも“地点”と“ちてん”と“point”がまさか同じ意味だとは思うまい!」
どうやらヒルダから発注のあった偵察の魔道具用にも利用出来るらしい。完璧な仕事をしたと満足げに鼻を鳴らすと、紙を机に戻した。そして、うっとりと魔法陣を指でなぞる。
「はぁ・・・シドさんに見せて褒められたい。ここの配置とか、ここの連結とか、無駄なく美しいでしょ?って自慢したい。ほんと、我ながら自分の才能が恐ろしいわー」
まさしく自画自賛とはこの事だろう。一頻り満足すると、よし次っと気合いを入れて立ち上がった。そしてテントの端に寄せていた荷物の元へ行く。
鍵は、父さんの抜けた牙を削ってあるこれをベースに描いて、銀と砕いた世界樹の琥珀?を混ぜたものでコーティングしたら魔力が抜け辛くなって良いんだって。銀は三色くらいに抑えておくんだよね。
てか、百年に一度めっちゃ痒くなって歯が抜けるとか大変だよなー。痒くて仕方がないからじゃあ人化して抑えようってやっても結局痒いって言うし。しかも一気に全部抜けるから、生え揃うまで痛くて固形物は食べられないとか。どんな拷問だよって話。
まぁ、だから自分の歳は百年単位で数えてるんだよね。ってことは、7500年くらい生きてるカイおじいちゃんは75回経験したってことか・・・。
あとは、ディラントに渡す様のモニターでしょ。今あるスマホ擬きと同じで銀・鉄・ガラスでいっか。本当は強化ガラスがあればいいんだけど、まぁしょーがないね。
鞄をがさごそと漁り、出てきた材料を並べつつ、必要量を複製しては空気の器に放り込んでいく。
あと、なんかの実?の殻の粉末と白金の粉末を油で混ぜたもので人間は魔法陣を描くって父さんからこの赤いの渡されたけど。磨り潰してドロドロにすればなんだって構わないよね。どうせ俺の魔力で描くんだし。
ショーマは次の工程に進もうとした。ふと、昨夜バーナードから今夜の作戦の為に借り受けた置き時計を見る。それはサートミーラの時間で1時近くを指していた。
「やばっ!お昼過ぎてる!!」
言ったと同時に、鞄の中で通信の魔道具がショーマを呼び出す。ショーマは恐る恐る通話のボタンに触れた。画面にはにーちゃんと嬉しそうに手を振るヒスイ、その後ろに苦笑いのソラが映る。
《ショーマ、怒られない内に帰っておいで》
「ひぇー、す、すぐ帰るからっ!」
ショーマは室内を慌てて片付けると、サッと洞窟に転移した。
◇◇◇
ドラゴン家族は食後のお茶を飲みながら、少しまったりとしている。ちなみにショーマはソラのお陰でサクラに怒られることなく、昼食にありつけた。
「ねぇ母さん。キャノは元気だった?ずっと人化しっぱなしだけど、ストレスとか溜まってない?」
ショーマは気になり話題にする。
「ミツキの過保護が過ぎていて少しイライラしていたけれど、今日のあの様子なら一年くらい人でいても平気でしょう。二足歩行にもやっと馴れたみたいよ。
そうだショーマ、明日手伝ってくれないかしら」
「午後の半日でいいならいいよ。何するの?」
「キャノの服を買ってあげようと思って。彼女用の型紙も欲しいから一緒にケイランまで買い物に行きたいの。ショーマに送ってもらった方が速いでしょう?」
「そーだね。じゃあ、朝ご飯食べて、方々の様子を見て、うーん。こっちにこれるのは二時くらい?でも服買うなら試着とかして時間が掛かるよなぁ。もうちょっと早く帰れないかな。父さん、どう思う?」
「そうだな、ミリメトピアに寄るのはケイランから帰ってからでも良いんじゃないか?朝に行っても今夜とあまり状況が変わっていないと思うから」
「確かに。じゃあ朝ご飯だけ食べて帰ってくるよ」
「ありがとう。お昼までに出掛ける準備をしておくわね」
「サクラ、夕飯はガボンで何か買って帰らないか?そうすれば夕方までのんびり買い物が出きるだろう?」
そうねとソラの意見に同意するサクラの横でヒスイが可愛らしく首を傾げている。
「にーちゃん、がぼんてなにー?」
「ヒスイはケイラン初めてだもんね。ガボンはね、屋台村、えっと、ご飯を売ってるお店がいっぱいあるところだよ」
「がぼん!おいしーい?」
「美味しい料理がいっっぱい売ってるよ。沢山種類があるから、何回も行かないと全部は食べきれないんだ。それに、季節によっても売ってる料理が違うんだよ」
「すごーい!」
目を輝かせるヒスイに、それぞれがふふっと微笑んだ。
☆オマケ☆
ショーマ呼び出し前の自宅
「ただいま」
「おかーさんおかえり!」
「ごめんなさい。遅くなったわ」
「お帰り。大丈夫だよ。ウルシに雪解けの果物をごちそうになったから。ねぇヒスイ」
「うん!」
「ふふ、良かったわね。あら?ショーマは?」
「まだだね」
「もう」
「ははっ、これからご飯の用意だろう?もう少し待ってあげよう」
「それもそうね」
ソラはキッチンへ向かうサクラを見送る。
「じゃあお兄ちゃんに連絡してあげようか。そうだヒスイ、やってみるかい?」
「うん!こーしてこーして、あ、にーちゃん!」
《はいぃっ!》
「ショーマ、怒られない内に帰っておいで」
《ひぇー、す、すぐ帰るからっ!》
「ふっ、すぐ帰ってくるって。すごく慌ててたね」
「ぃひひっ!にーちゃんはやくかえってこないかなー」
☆☆☆
大慌てで帰宅するショーマでした。
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320,000人目のお客様は5/30、3:00台にいらっしゃったアナタです!
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そして、ついに4年目突入しました。汗
もうちょい更新ペースを上げたいな・・・
※次回更新は7/15を目標に頑張ります。