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俺が魔王として女神が悪魔な世界にやって来た  作者: 朝木 花音
11女神の手伝い―実働編
242/263

64―成長


 お久し振りです。

 本日もよろしくお願いします。


 あとがきにオマケあります。





 旧都(サートミーラ)で諸々の予定を決めた翌日、ショーマの部屋では二人分の寝息。


「──ショーマ朝だよ、くわぁ、そろそろ起きろ。ディラントへ行く前に素材を見るんだろう?」


 欠伸混じりに目を覚ましたソラが隣に寝ているショーマの肩口をポンポンと優しく叩く。


「うーん、うん、──ふわぁ~」


 ショーマが大きな欠伸をしながら寝返った。薄く目を開き、隣で肘を付き横になるソラと目を合わせる。


「とぉさんおはよぉ~」


「おはよう。ほら、起きる」


 ソラに起床を促されたショーマは俯せに寝返り、んーと唸りながら枕にぐりぐりと頭を擦っている。脳の覚醒を促しているらしい。

 ソラは先に起き上がって片膝を立てるとそこへ肘を付き、寝ぐせでボサボサの頭を搔きながら大きな欠伸を溢しつつモゾモゾと動くショーマを見守っている。

 満足したのかショーマはピタリと動きを止め、んしっと一声腕を立てると身体を起こした。


「起きたみたいだな。じゃあ顔を洗いに行こうか」


 二人は連れだって洗面所へ向かった。


 広間(リビング)から廊下に出た所でサクラに出くわす。


「サクラおはよう」「おはよー」


「あら、おはよう。今日はいつもより早いのね?」


「ショーマが探したい物があるらしくて、な」


「うん、ちょっと父さんの部屋に用があるんだ。あれ?ヒスイは?」


「これからキャノの様子を見に行こうと思ってウルシたちに預けてきたのよ。そうだ、あぁやっぱり何でもないわ」


 サクラがうふふと微笑む。それを見たショーマとソラは首を傾げた。そのピタリと一致した動きに、サクラはクスリと笑いを溢す。


「私から言ってしまったら驚きが半減してしまうから、今は内緒よ」


 ふーんと何となく釈然としないショーマ。


「サクラがそう言うなら楽しみに待つよ。それにしても、ヒスイはもう一人で待てるのか。我が子ながら成長が早いなぁ」


「そうね。カエデからアンズちゃんの話を聞いた感じよりも早く成長していると思うわ。ショーマ(お兄ちゃん)がいるからかしら?」


「それはあり得るな。あとは、周りに大人が多かったから背伸びをしているのかもしれないよ。ショーマも前世があるから大人びているし」


「うふふ、それもあり得るわね」


 ソラとサクラがあれやこれやと話していると、ショーマがあっと声を上げた。二人は急にどうしたとショーマを見る。


「今日さ、おやすみにしよ?俺一人でパパッとディラントに行ってチョチョイと用を済ませてサッサと帰るから、父さんは家に居ていいよ。もう森に行っても何があるわけでもないし、無人島に食料品とかを運ぶのはイクハさんに頼めば手伝ってくれるって言ってたし」


「良いのか?」


「うん!たまにはヒスイとも遊んであげて。俺ばっかりが父さんを独り占めしてたらヒスイが可哀想だもん。それに、今日は転移魔法陣の改良をするためにテントに籠る予定だから大丈夫!」


 ショーマは胸を張って答えた。ソラは少し考える。


「どちらにするしても、とりあえず顔を洗ってきたら?」


 サクラに言われ、二人は廊下の突き当たりにある水場(洗面所)へ入っていった。




「じゃあいってくるね!」


「ああ。気を付けるんだぞ。イクハさんにもよろしくな」


 ショーマは一人ディラントへ向かうことになった。時間を忘れて没頭してしまうショーマは、ご飯までには洞窟(いえ)に戻ってくる様にとサクラから約束させられている。


『じゃあ、私も行ってくるわね。夕方までには戻るわ』


「サクラも気を付けて。僕はヒスイと一緒にウルシの所にいるから」


 三人はそれぞれ移動を開始した。




  ◇◇◇




 ショーマは先ず無人島にやってきた。いつもより大きな鞄をテントの端に置き外へ出る。


「うーん!今日もいい天気だ!」


 ぐいっと伸びてからイクハたちのテントへ向かう。


「おはよー!イクハさん居る?」


 ショーマの呼び掛けにイクハが居ますよと外へ出てきた。


「何でしょうか?」


「今日は父さんが家に居るからさ。荷物を運ぶのとかちょっと手伝って欲しくて」


「任せてください。今からですか?」


「んーん。すぐじゃないよ!また後で呼びに来るから、あ、一緒に朝ごはん食べに行く?」


「それは魅力的なお誘いですね。でもちょうど子供たちに朝飯を食べさせるところだったので、今回は遠慮させてください」


「そっか。じゃあまた後でね」


 ショーマはディラントへ転移した。




 ショーマは捕虜のいる森にやってきた。捕虜たちは一人でやってきたショーマに怪訝な顔を覗かせる。

 ただ、ショーマも捕虜たちも互いに慣れたもの。あっと言う間に配膳を終え、各々自分の席に固定されつつある席に着く。


「今日は一人なんだな」


 ショーマがいただきます!と白身魚のムニエルを口に放り込んだタイミングでファウストが言う。ショーマは左手の平をちょっと待ってとばかりファウストに向け、急いで飲み込んだ。


「今日はおやすみだから俺一人だよ。なに?また俺の事襲う算段でもあるの?」


「いや、それはもう無い」

「ははっ、俺らじゃ返り討ちが関の山だからな」


 ファウストの代わりに前科ありの襲撃者が溜め息を吐きながら簡潔に答えた。セシルから合格を貰った内の一人も軽口を叩く。ファウストともう一人の合格者もうんうんと大きく頷いた。よくわかってんじゃんとショーマは笑いつつパンをちぎって口に入れる。残りの捕虜たちは五人のやり取りを困惑気味に見ていた。


「そう言えばもう名前は決めたの?」


「まぁ、大体は」


 ファウストが捕虜数人を見ながら答えた。


「ふーん。まぁ、あと何日か猶予はあると思うからじっくり考えてよ」


 ショーマは世界樹茶を飲みながらそう言った。




 ショーマは無人島に戻ると、イクハを連れてディラントへ転移する。


「うわぁ、すごく大きな木だなぁ」


 イクハは上を見上げて感嘆する。

 いきなり城の横に転移してきた二人に、近くにいた勤め人はギョッとした。そこへあーすいませーんと悪びれていない謝罪の言葉を投げるショーマ。勤め人は気にしないでくれと足早にその場を去っていく。


「イクハさん、こっち来て」


 ショーマがそう言いながら歩き出せば、イクハは慌てて着いてきた。





 ☆オマケ☆


 ソラはウルシの棲む三ツ又の木へやってきた。


「おとーさん!」


 ソラを見つけたヒスイは駆け出し、ソラは抱き留める為に腰を落とした。


「ヒスイ、良い子にしてたか?」

「うん!あれ?にーちゃんは?」

「ショーマはライたちのところに居るよ。今日はヒスイと二人で遊んでってさ。あ、ウルシ、ヒスイを預けて悪かったね。──っ!ははっ!確かにこれは驚くな!」


 ☆☆☆


 ソラは何に気付いたんでしょう?


 ショーマの日始動!

 ……初っ端から躓くところでした。



 応援して頂けると嬉しいです(^^)

 訪問だけでも大感謝(^^)/


 次回更新は5/15を目標にがんばります。


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