4―初授業
1時の鐘が鳴ると、ヘンリーとキャサリンは自分の席へ着いた。
暫くすると紫茶の髪で眼鏡を掛けた、背の高い男性がやってきた。たぶん担任の教師だろう。
「こんにちは。今日から半年、君達の担任になるブラウンです。ブラウン先生と呼んでください」
あれ?何だこの違和感。
「さて、授業を始める前に各々自己紹介をしようか。名前と歳と簡単な挨拶をしてね。じゃあ窓際の一列目の君から。そのまま左に」
「ヘンリー、18歳です。よろしく」
「キャサリン、17歳です!キャシーって呼んでね!よろしくね♪」
「マイケル。25歳。よろしく」
彼はスポーツ刈りの茶髪で、筋骨隆々。戦士とかではなく、職人みたい。
「そのまま後ろへ。そのあとは右に」
「アラン、20歳です!みなさんよろしくー!」
彼は緩いウェーブのかかった長めの茶髪を後に流している。見た目はチャラい。
「ジョージです。15歳です。よろしくお願いします」
彼は焦げ茶の髪を短めに整えている。年相応の好青年。
「ウイステリア、13歳。ウィスって呼んでください。あと、最初に言っておきますが、俺は男です。よろしく」
ヘンリーとキャサリン以外の3人は、ショーマの男宣言に驚いた顔をしている。
「さぁ、自己紹介も済んだことだし、授業を始めよう。今日は初日なので、生活基礎をざっと流すね。魔法については明日から始めるからそのつもりで。
あ、そうだ。重要事項の説明があった。
このクラスは6の月に始まったので、クラス6です。基礎コースは他にクラス2とクラス3、クラス4があります。
授業時間は入学書類に書いてある通りに午前9時から12時、午後1時から4時まで。1日でも抜けると大変だから出来るだけ休まないように。10日の内訳は4日授業で1日休みの繰り返し。31日は学校自体が休みです。なので、君達の卒業は11の月の29日になります。10の月からは西の森で校外演習も始まるからそのつもりで。
あと、みんなの机にある本は各自で管理すること。卒業時に回収します。失くすとお金が掛かるから気を付けてね。
さて、生活基礎の20ページを開いて」
ブラウン先生による初日の授業が始まった。
ブラウン先生の授業は分かり易いな。知識が何の抵抗も受けずに、どんどん頭に入っていく感じ。
「魔物について。
魔物は必ず普通の動物から進化している。森の深淵などで魔力を蓄え、一定の量になると進化するようだと解明されている。また、種類と魔物の色によって攻撃方法が異なる。この表の内容はよく覚えておくように。今後の校外演習で使うことになるからね。そして、黒の魔物には絶対に近づかないこと。最悪の場合、死にます」
え、まじで!?俺、ウルシを筆頭に結構な数を仲間にしてますけど?
「人型の魔物についても同じ。人間に近い種が、魔力を蓄え進化することにより魔物になる。姿形が全く違うものも居るが、肌の色だけが人間と違うものも居る。結構な威力の魔法をどんどん使ってくるから、遭遇したらとにかく逃げるように。モミール大陸での生息分布は西~北西」
人型の魔物からは基本逃げろと。逆に逃げられた俺の立場は・・・。
「魔族について。
人間とほぼ同じ見た目だが、髪や目の色が黒の者が多い。強力な魔法が使え、人の言葉を話す。人型の魔物という人もいる。実際には進化をしてないから魔物とは違うのだけどね。彼らが住んでいるのは、トロープ大陸の東にあるローズリー諸島。」
え?魔族達は住んでるとこバレてんじゃん。
「人が一方的な利益のために戦争を起こそうとすると必ず、1人の魔族がその原因となる人物の元にやってくる。そして、その魔族に会うと精神に異常をきたし、大概の場合廃人と化す。人は魔族の介入を怖れて、簡単には戦争を起こそうとしなくなったんだ。人々はこの魔族のことを悪魔や魔王と呼んでいるよ」
俺以外に魔王いるじゃん。そいつに任せておけば良くない?
4時の鐘の音が鳴った。
「じゃあ、今日の授業はここまで。この本の残りの部分は各自確認しておくように。明日からは魔法の授業に入るから、杖は忘れずに持って来てね。じゃあ、また明日」
教室を出て行くブラウンをショーマは追いかける。
「先生。ちょっと相談したい事があります」
「なんですか?」
「朝、第3鍛錬場は空いてますか?剣の練習をしたいのですが」
「朝なら空いてるよ。あそこは貴族の寮から離れているからね。第1と第2と夕方の第3には行ってはいけないよ」
「どうしてですか?」
「貴族の生徒達がいるから。面倒な事に巻き込まれる」
「そうですか。気を付けます」
コソッ
「それと、ドラゴンの匂いは消しておいた方が良い」
「え!?」
ショーマはすぐさま隠蔽魔法を展開する。
「うん。それじゃ、明日もよろしくね」
「――はい。よろしくお願いします」
なんでバレた!?
ブラウン先生とクラスメイトの登場です!
登場人物が一気に増えすぎて、誰が誰か分からなくなりそう・・・。
応援して頂けると嬉しいです(^^)
訪問だけでも大感謝(^^)/