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俺が魔王として女神が悪魔な世界にやって来た  作者: 朝木 花音
11女神の手伝い―実働編
191/263

13―ドラゴンの性質


 遅くなりました。


※2020/01/10…前話、凶器を間違えました。

※2020/01/28…サブタイトル変更





 ショーマは森の中を高速で東に向かって飛翔している。


 立ち塞がる木立や枝葉を上下左右に()け、時には急上昇や急旋回を交えて()ける。そんなショーマの後ろを衝撃波とまではいかないまでも、まともに食らったら一溜りもない狂暴な風が追いかける。

 その風に細木や根の張りきっていない若木は耐えられずに倒れ、大木も幹は無事だが枝はほぼ折れている。まるで竜巻が通り過ぎた後の様な有り様だ。


 更に、ギャーギャーという鳥の大合唱にゴォーっという暴風の音、木々が倒れる音と振動が重なる。

 近所迷惑どころでは済まない爆音を轟かせているが、本人は目の前の障害物を避ける事に集中していて、背後で起こっている惨状には全く気が付いていないらしい。

 ショーマは森に棲む様々な動物や魔物を不必要に驚かせながら東へ東へと飛んでいく。




 その音は森から離れた街道まで響いた。




 街道では雨の上がっている今の内に距離を稼ごうと急ぐ商隊とその護衛、それに便乗した旅人などが足早に歩を進めている。来月に迫った旧都で行われる天覧試合の為の見回りか、王国兵士達の姿も所々に見受けられる。


 突然、森の深部からグオォォォという唸り声が聞こえた。


 この唸り声は大型の魔物か、若しくは王国の空を駆けるドラゴンか。武力を持たない商人や旅人は怯え、反対に商隊の護衛や兵士は緊張感と共に色めき立つ。

 唸り声の中にメキメキやバキバキと木が折れ倒れる音が僅かに聞こえ、更にはドスンと地面を揺らす振動が微かに感じられる。それに気付いた者は、未知の脅威がこちらに向かっているのではとの恐怖に顔を引き攣らせた。


 その全てがショーマの不注意が招いた結果だとも知らずに、彼らは己の生存確率を上げる為に行動を開始する・・・。




 ── 閑話休題 ──




 ショーマは現在地を把握する為、森の上空へと躍り出た。地図を片手に南方の街道がある方向に身体を向ける。


 どれくらい進んだかなー。ふむふむ。あの山がこれだからー、もう少し行くと森が途絶えてハルスンブル((中継地の大きな街))に着くね。そこからは暫く徒歩か。まぁ、予定通り一回洞窟()に帰って、昼ご飯を食べたら午後は父さんと頑張るかな!

 しっかし、薄暗かった朝と違って今は加速魔法を使ったトップスピードで進めただだけはあるよね。想定よりかなり早いんじゃない?


 ショーマは予定以上の進み具合にホクホクしている。

 不意に右へ視線を移した。この時初めて自分が通ってきた道のりを目の当たりにする。ショーマは視界に入ってきた惨状に唖然として固まった。


 ぅえ!?これマジ?やっば。


 ショーマは予想外に荒れ果てた森からついっと目を逸らす。


 いくら魔王候補だとしても、自然破壊は駄目だよね。生態系も狂うし・・・。


 ショーマは腕を組み、滞空したまま考える。


 えーっと、父さんがあれだけ速く飛んでもソニックブームが出ないのは、風を操ってるからだよね。いつも父さんの背中で感じるそよそよって吹く優しい風。

 俺もそうすればこんな事にはならないのかな。いや、そんな中途半端よりも寧ろ無風を目指した方が良いのか?


 ショーマは想像力を働かせる。


 これでこうして、こうすれば・・・。でも、これじゃ加速魔法と相殺されるな。しかも閉塞されて息が出来ない?うーん。今はやめとこ。


 結局ショーマは上手い魔法が思い付かず、森の中でトップスピードを出す事を断念した。


 ショーマは森の中に降り、また東へ向かう。今度は加速魔法(ドーピング)無しののんびりとした速度(とは言え、かなりの猛スピード)で進んだ。




  ◇◇◇




 ショーマは森の縁まで進み、洞窟に帰ってきた。ソラ達はもうメルカから帰ってきている。


「ただいまー」


 ショーマが声を掛けると、ヒスイが聞き付け駆けてくる。


「にーちゃん!おかえりー!」


 ショーマはヒスイを上手く受け止め、一緒にダイニングに入る。


「おかえりなさい」

「お帰り」


 サクラはショーマが帰ってきたなら夕飯にしましょう。とヒスイを連れてキッチンへ向かった。

 ソラはダイニングに残り、ショーマはテーブルの自分の席に座った。


「ショーマ、何かあったのか?」


「うん。まぁ、色々と・・・」


 ソラの問いにショーマはゴニョゴニョと言葉を濁す。


「そっか。──どこまで進めた?」


 ソラは言いたくないならと、話を変えた。


「もうすぐハルスンブルの街に着くよ」


「あれ?予定より随分と早くないか?」


「え、あ、う、うんっ」


 ショーマはサッと目を逸らす。ソラはショーマの態度の原因に大体のあたりをつけた。


「フフ。初めてはみんなそうだよ」


 うっ!?ば、ばれた!?


 ソラの穏やかな表情に、ショーマは狼狽えた。


「大方、速く飛ぶのが楽しくなって周囲の事を考えずに飛ばしたんだろう?」


「えっ!?」


「僕も覚えがあるよ」


「父さんも!?」


「ああ。勿論シドもやったし、たぶんリンドさん達やうちの父さん達もやったんじゃないかな。母さんに言わせると、雄はやらかしがちらしいから。飛行速度に関しては特に」


 ソラはちょっぴり苦笑いでドラゴンの雄の性質(さが)を教える。初めて一人で飛んだ時に大体やるね。と。


「まぁ、森を多少破壊したくらいなら大丈夫だよ。自然の再生力は凄いからね」


「なっ!?全部バレてるー!!」


 クスクス笑うソラにショーマは叫んだ。


 食事中、サクラにあらあらうふふ、やっぱり男の子ねと笑われ、ショーマは完全に撃沈した・・・。





朝木  「ありゃー、完全に何したかバレとる」

ショーマ「あぁー!」

朝木  「さすが父親。でも、皆が経験してきた事らしいから」肩ポン

ショーマ「下手に慰めるなー!!」バシィ


 ドラゴンは高速飛行にロマンを感じているみたいです…?


 巻き込まれた方は堪ったもんじゃない!

 by森の生き物一同



 次回、中継地ハルスンブルからの…?です。

 ソラが…(;>_<;)



 応援して頂けると嬉しいです(^^)

 訪問だけでも大感謝(^^)/



 ブックマークの追加ありがとうございました!

 ただ増減が激しく、少々落ち込み気味です。

 でも、頑張る!



 ※次回更新は1/15(水)です。よろしくお願いします。


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