9-前世の話
今回は短め&ちょっと重いです。
前世話は要らないよって方は読まなくてもちゃんと続きます。
二人は食事を終え、部屋へ戻ってきた。
寝支度を済ませると、ショーマは布団へ潜り込む。
「父さんとこうやって一緒に寝るのも今日が最後だね」
「家に帰ったら三人で一緒に寝れば良いじゃないか」
ソラも布団に入る。
「それもそうだねー」
「なぁ、ウィス。さっき言ってたワンルームって何だ?」
ソラはショーマの髪を手で梳きながら話し掛ける。ショーマは気持ちよさそうに微睡んでいる。
「えっとね。元の世界の住宅の間取りのことで、部屋+玄関廊下キッチン+水回りって感じの構成が基本だよ」
「へぇ。なんだか狭そうだね」
「確かに狭かったよ。この部屋と同じくらいだもん。独り暮らしじゃないと住めないね」
「そうなんだ。なぁ、ちょっと聞いてもいいか?」
「なーに?」
「ウィスは元の世界ではどんな人生だったんだ?」
「おっと。なかなかヘヴィーな質問だね」
「話したくなかったら言わなくて良いぞ?」
「いや、むしろ父さんには聞いて欲しい。かな」
「いいのか?」
「うん」
ショーマは意を決して話し始めた。
「俺はね元の世界でも孤児だったんだよ。3歳の時に事故で両親を亡くしてね。引き取ってくれる親戚も居なかったから施設で育ったんだ」
「そうか。前世のご両親とは死別だったんだね」
「うん。小さすぎて顔も覚えてないけど。
で、高校までは補助金で卒業して、あ、高校は元の世界の学校の事だよ。でもね、お金が無いから更に上の学校なんてとてもじゃないけど行けなくて。すぐに飲食店で働き始めた。最初は辛かったけど、だんだん楽しくなってね。自分でお店をやりたいなーって目標ができたんだ」
「だから料理ができるんだ」
「そうだよ。でも、いろいろ騙されちゃって。もうどうでもいいやーって流れに身を任せてたら、最終的に悪い組織の下っ端構成員に納まった。そこで嫌々あらゆる悪い事をしたよ」
「え?ウィスが悪い事?できるの?」
「うん心を殺して道具の様にやってた。最後に敵対組織の人間を殺せって上から命じられて。さすがに人殺しはなーってその辺ぶらぶらしてたら、隕石に当たって死んじゃった。そんな人生だったんだ」
「そっか。あまり楽しいことの無い人生だったんだね」
「うん。だから、今日は本当に楽しかった。元の世界では親って言う存在も無かったし、お祭りにも行けなかったから、はしゃぎ過ぎちゃったよ」
「それは良かった。美味しい物もたくさん食べたしね」
「うん。魔王になったらこの世界の美味しい物がたくさん食べられるかな?」
ソラはショーマの頭を撫でながら答える。
「そうだな。魔王の趣味が食べ歩きでも良いんじゃないか?この世界ならウィスは好きな事ができるんだからね」
「そうだね。女神様も好きに魔王を演っていいって言ってたし、楽しんじゃおう。ふわぁ」
ショーマは大きな欠伸をした。
「それが良いよ。今度はつまらない人生より楽しい人生を生きて」
「うん。。。そうする。。。。。」
ソラはショーマの頭を撫でながら考える。
この子は前世の記憶が有るとは言え、まだまだ子供なんだ。僕たちが親としてしっかり護ってあげなくちゃ。
眠ってしまったショーマを抱きしめながら、ソラも眠りについた。
◇◇◇◇◇
うぅ、魔王よ
前世ではかなり苦労をしたのだな
私はお主の活躍を期待するぞ
頑張れ!
◇◇◇◇◇
ショーマの前世はこんな感じです。
ちょっと重すぎましたかね?
次回からは魔法学校編が始まります!
魔法はなんとかなりました!笑
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