10―旧都へ行くその前に
大変遅くなりました。
よろしくお願いします。
本日オマケあります。
誤字報告ありがとうございます。
※12/16…誤字修正
女神の手伝い―実働編9
※1/28…サブタイトル変更
ショーマとソラは何事もなくミリメトピアから出ると、旧都サートミーラに向かって歩き出した。
―――父さん、ちょっと考えたんだけどさ。
―――なんだい?
―――昨日の人達をすぐに帰しちゃうとさ、ノーランさんが大変じゃないかな?サートミーラからの撤収までそんな時間がかからない予定だし、暫くあのままでもいいんじゃない?
―――それも一理あるか。でもご飯とかトイレとか、お風呂はまぁ良いとしても用意しないといけないんだよ?魔物も棲んでいる場所だし。魔道具の開発は一日二日で出来るものでもないんだろう?
―――それは、まぁそうなんだけど。トイレくらい穴掘っておけばどうにかなるんじゃない?全員男だったし。魔物は結界魔法で事足りるよ。ご飯は・・・そうだ!ディラントの食堂で作って貰って俺が運ぶとか!
―――とりあえず、昨日の事も含めてヒルダさんに相談してから決めるか。
―――うん!じゃあ一回洞窟に帰ろ!お腹減ったし!
二人はある程度街道を進み、周囲に人間の気配が無い事を確認すると走り出す。暫く走りそれなりに距離を稼ぐと、ふらっと森に入り洞窟へと転移した。
◇◇◇
ショーマとソラは洞窟へ帰ってきた。
「ただいまー!」
ショーマが玄関から声を掛けるも反応が無い。
「二人とも出掛けてるみたいだよ」
気配を掴めなかったソラがショーマに伝える。
「そっか。まぁ、昨日何時になるか分からないって手紙送ったもんね」
二人はそのままダイニングへ向かう。
テーブルの上にスープは鍋のメモと蝿張のかかった食事が用意されていた。中は暖気で温められている。
「さっすが母さん!本当、ありがたいねぇ」
「そうだな」
ショーマはスープに火を入れ直し、ソラは冷蔵庫から飲み物をコップに注ぎ、それぞれの席に座る。いただきますと二人は食べ始めた。
「冷蔵庫にもうミルクが無かったよ。ハムとかもかなり減ってるからそろそろ一回買い出しに行った方が良さそうだ」
「ヒスイを一人で背中に乗せて飛ぶ訳にもいかないから、母さんも買い出しに行けないよね。
明日か明後日行ってくる?俺は距離を稼いでおくから」
「一人で大丈夫か?」
「うん。森から出なけりゃ半日くらいへーきっしょ。あ、あの魔道具を持ってってよ。テレビ電話」
「そうだな。何かあったらそれで連絡を取ればいいか。最悪、ショーマは洞窟に転移してくれば良いんだから」
「そ!」
「それじゃあ、明日にでも行ってくるかな」
二人は食事を終えると食器を片付け、旅支度をする。家に置いてあった武器等を装備し、地図なども鞄へ詰めた。
ショーマは旅支度を終えると、ヒルダへ光鳥を飛ばす。
昨夜の事件と今の事情を話し、食事の提供の協力を取り付ける。また夕方行くと伝えて話しを終えた。
「じゃあ、一度捕まえた者の様子を見に行こうか」
「うん。さすがに目覚めてるよねー」
二人は緑の熊に出会った森に転移した。
◇◇◇
ショーマとソラは森へ転移してきた。場所は不届き者を捕らえて居る檻の屋根の上。
完全に出入りを阻害する感じが良いよね。うーん。出来れば雨も通さない様にしたいけど、それはじっくり考えないと無理か。よし、こんな感じかな!
ショーマは檻の屋根へ細工を施す。岩で作られたそこに魔法を使い溝を掘る。徐々に魔法陣が浮かび上がってきた。
ソラはその間に檻の中の様子を窺う。
―――一応全員起きているか。拘束が解けている者も居るな。うん?ショーマ、それは?
―――これはレイカーの所に設置した魔法陣をアレンジした、魔力の出入りを出来なくする結界だよ。
―――魔力の出入りを出来なくする?
―――そう。人間も動物も魔物も出入りが出来ない様にね。一応、空からの襲来も警戒してドーム状だよ。
―――なるほど。僕らはショーマの転移魔法で出入りをするから問題ないのかな?
―――そうだよーっと、これで完成!後は魔力を流して・・・出来た!
―――じゃあ、そろそろ下に降りようか。
―――あ、待って!これ着けて!
ショーマは両手に白い、狐の顔を型取ったお面を出した。
―――お面?
―――一応面割れ防止!父さんは髪色も空色に戻したら良いんじゃない?俺も藤色に変えよっと!あ、服の色も変えちゃおうかな♪
ショーマは楽しそうに変装を始めた。髪をいつもの藤色に変え、顔に装着した狐面には黒の隈取りが入っている。
ソラも言われるがままに髪を地毛に戻し青い隈取りの入った狐面を装着した。
そして服は色を藍色に変えたので、最早どこの誰かわからない。
変装を終えた二人は、屋根から飛び降りる。檻の中に居た者は急に現れた二人に驚いた。そして、振り返ったその見た目に固まる。
「皆様初めまして。今日はここでの生活について伝えに来たんだ」
ショーマはゆっくりとお辞儀をし、飄々と伝える。ソラはじっと檻の中を見つめている。
「ここでの生活だと?」
檻の中から訝しむ声が聞こえた。
「そ!ここで数日暮らしてもらう事になったからさ!」
ショーマは大仰に両手を振り上げた。
「じゃあ先ずは禁止事項ね!その檻は燃えやすいから、火気厳禁!」
「燃えやすい?こんなに強い金属がか?」
その者は既に脱出を試みたのだろう。手が赤く腫れている。
「ナーイス突っ込みありがとう!
さて!ここに持ちますはその檻と同じ材料!それをここに置いて、で、良く見ててね。ファイ・アロー!」
ショーマは格子と同じ物を50cm程空気から作り出し、檻の前に刺す。少し離れて杖を構え、火の矢を金属を模した空気塊に向けて放った。矢がそれに触れた瞬間、ぼわっと火柱が上がる。
辺りは静寂に包まれた。
「ね。火気厳禁でしょ?その檻に火を近づけると、一瞬で燃え尽きて屋根の岩が落ちてくるから気を付けてね」
ショーマは物騒な事をさらりと伝える。
「それから、ここはある種の閉鎖空間なんだ。この檻を中心にだいたいあそこの木まで円形に結界を張ってあるから。逃げ出そうとしても無駄だよ。まぁ、挑戦するのは止めないけどね。それで絶望してもしーらないっ!」
ショーマはクスクスと笑う。言っている事はなかなかえげつない。
「そうだ。トイレはあそこの衝立の中ね。後で檻に出入口を作ってあげるから。あぁ、勿論手足の拘束も解くよ。それと、食事は今夜から提供するね。結構おいしい物を用意できるから楽しみに待っててね」
ショーマは自信満々に言い切った。檻の中から戸惑いの空気が発される。
ショーマは気にせず檻の一部の格子を消し、拘束も消した。
「じゃあ俺らはここを離れるけど、また夕飯を持って来るから。バイバイ!」
ショーマはそう言って手を振ると、ソラと共に転移してその場を去った。
◇◇◇
ショーマとソラはミリメトピアとサートミーラの間に広がる森に転移してきた。
「みんな目を白黒とさせてたね」
ショーマは変装を解きながら含み笑いをしている。
「これからどうするか、今頃相談しているんじゃないかな?」
ソラもお面を外しながらクスリと笑った。
「さてと!進めるとこまで行きますか!」
二人はサートミーラを目指し、森の中を東へ移動し始めた。
☆オマケ☆
捕らえた者がいる森に行く前のショーマ。
うーん。できればあまり顔を晒したくないよな。
何か無いかな・・・やっぱり物理的に隠すお面かな。
ひょっとこ?おかめ?何たらレンジャー?
昔祭りのテキ屋で用意したのしか思い浮かばない。
あ、仮面?
あー駄目だ。月に代わっての仮面しか出てこない。
ごっこ遊びでやらされたなー。
黒いごみ袋を被らされて、園長の老眼鏡に画用紙で作った仮面を張って・・・
じゃなくて、何にしよう。
オペラ座、歌舞伎、動物・・・
やっぱりここは狐面かね?
うん。いい感じ。歌舞伎っぽい隈取もしちゃおう。
でも、なんでこういうのって狐なんだろ。
まぁいっか。
☆☆☆
ショーマは捕らえた人間を解放しないことにしました。
悪いねぇ~。
次回、ちょっとだけ一人旅。です。
旧都は意外と遠いな・・・。あれ?
応援して頂けると嬉しいです(^^)
訪問だけでも大感謝(^^)/
ブックマークの追加、ありがとうございます!
そして!
12/17に評価点が500を越えました!!
わーい!(*’ω’ノノ゛☆パチパチ
評価、ブックマークありがとうございます!
これからも頑張ります!!(〃ω〃)
※次回更新は12/27(金)です。よろしくお願いします。
今年最後の更新になると思います。
年末っていろいろ忙しいよね・・・。