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俺が魔王として女神が悪魔な世界にやって来た  作者: 朝木 花音
11女神の手伝い―実働編
184/263

6―サートミーラ王国1


※11/30…矛盾点を修正しました。

 (詳細は後書き参照)





 ショーマとソラは小雨の降る森を抜け、ミリメトピアの門までやってきた。門前には入場待ちの列が出来ている。

 二人は大人しく列の最後尾に並んだ。


 ―――うー。止まると寒いね。みんな寒くないのかな?


 ―――きっと慣れているんだろう。


 ショーマは手に息を吹き掛け、一生懸命擦っている。手袋でもすれば良かったと愚痴った。


 ―――父さんは寒くないの?


 ―――ショーマ程ではないかな?


 ―――ドラゴンってさ、ほんと暑さ寒さに鈍感だよね。


 ―――・・・耐性があると言ってくれないかな。


 ―――はぁい。


 ショーマはフードの中でペロッと舌を出す。


 ―――そんなに寒いなら魔法でどうにかすれば良いんじゃないか?


 ―――あ、そっか。そう言う魔法の使い方もアリか。へへへ。たまに魔法の存在を忘れるんだよねー。


 ショーマはソラの言う通り、魔法で暖を採ることにした。




 列は進み、ショーマたちの番になった。

 進めという兵士からの合図に、二人は他の数組の入場待ちの者と共に門の中へ入る。二重の門扉の間には検問所があった。


 二人はフードを取り検査官の前に立つ。


「ふむ、親子か。目的は何だ」


「観光です」


「何処から来た」


「サートミーラの南にある村から来ました」


 検査官からの質問にソラが淡々と答える。その間、他の検査官によって荷物検査が行われている。ショーマは検査の様子をじっと眺めていた。


 ふーん。本当に鞄の中をひっくり返して調べるんだ。入国審査みたいにすげー徹底してる。ほんと、変な物を持ち込まなくて良かったよ。サイフの中まで見るんだね。あ、服はちゃんと畳んで戻してくれるんだ。意外と紳士的なんだね。


「荷物問題なし」


「そうか。入都を許可する。入都料は銀貨2枚だ」


 ソラは返却された荷物から支払う。


「ミリメトピアへようこそ。この割符を帰りにここで返す様に。ああ、滞在期限の5日を過ぎる場合もここで延長申請をしてくれ」


 ソラは検査官から札を渡され、二人は内門を潜った。


「おお、灰色な世界」


 ショーマの言う通り、街は小雨の降る空と同じような灰色に染まっている。


「雨だから建物の壁が湿って灰色になっているんだよ。晴れていれば真っ白な壁が印象的な街なんだけどね」


 木造の建物の壁は柱などを残し漆喰で塗り固められており、普段は白く輝いている。たまたま雨の為にこの様な光景になっているらしい。


 二人は他愛もない話をしながら、雑踏に紛れた。


 ―――なんでサムさんは検問で捕まったんだろうね?


 ―――目的をしっかり述べられなかったんじゃないか?それか、何かまずい物を持ち込んでしまったか。今一緒に検査を受けていた中にも捕まりそうになっている人間が居たよ。


 ―――へぇー。あ、出稼ぎとかだと長期間の滞在になるから審査が厳しいのかもね。


 ―――そうだね。さて、とりあえず宿を決めようか。


 ―――うん。その後にお城を見に行こう!


 二人は通り沿いにあった宿に部屋をとり、街へ繰り出した。




 ショーマとソラは街の中心部へ向かっている。宿の従業員に城が綺麗に見える場所だと教えられたからだ。

 そこは小高い丘になっているらしい。そして、目的の城は街の一番奥に位置しているそうだ。


「おおー!」


 ショーマは丘に登りきるなり感嘆の声をあげる。


 白い城壁で囲まれた敷地は広大で、中には人工的に造られた湖がある。その湖の縁には白い回廊が設けられ、中央にはまるで浮かんでいるかの様に白い宮殿が静かに建っていた。


 あー、これなんだっけ?テレビで見たことあるやつ。うーん。あ、あれだ。タージ・マハルだ。あっちはお墓だったけどこっちはお城か。


 ショーマが前世の記憶を掘り起こしていると、隣のソラから解説が入る。


「天気が良いと湖が青く見えて、白い建物がもっと映えるんだけどね。いや、この時間なら夕焼けの色に染まって赤く輝くか」


「そうなんだ。それを聞いちゃうと晴れの日にまた来たいね。でもまぁ、これはこれで綺麗かな?」


「そうだね。さて、そろそろ夕飯を食べに行こうか」


 二人は丘を後に、繁華街へと向かった。




 ショーマとソラはレストランに入った。

 根菜の塩スープとパン、甘辛い鳥肉のソテーを注文した。


「この肉柔らかくて美味しいね。ソースにワインとなんかの果物が入ってるみたい。いや、果物で肉を漬け込んだのかな」


「ふふ、ウィスは本当に美味しそうに食べるな」


 ソラはエールの入ったジョッキを傾けながら、料理に舌鼓を打つショーマを見ている。


 ―――ショーマ。


 ―――うん?なに?


 ―――ノーランさんがディラントの人だってどうやって確認する?


 ―――どうしよっか。


 ショーマはフォークを置き腕を組んだ。ソラも顎に手をやり何か無いかと考える。


 ―――魔人の様に人間との違いが顕著なら分かりやすいのにな。


 ―――そうだね。魔族と人間の違いってなんだっけ?


 ―――魔族は動物の特徴を継いでいて、魔力が多い。くらいか?


 ―――それどっちも見ただけじゃわからないよ。


 二人はまた考える。なかなか名案が浮かばない様だ。


 ―――あ、魔力が多いのか。父さんって魔物の言葉話せるよね?


 ―――ああ話せるよ。そうか、セシルさんみたいに魔物の言葉が聞こえる可能性があるね。


 ―――普通の人間には聞こえないらしいから、ちょうど良いよね!


 ―――それで確認するか。


 二人は食事を終えると、住宅街へと向かった。




 ショーマたちは一軒の家の前に立つ。ドアノッカーをコンコンと鳴らし、家主を待った。


「はい、どなたですか?」


『ディラントの遣いで来ました。あなたがノーランさんでよろしいですか?』


 ソラは口を一切動かさず、用件を言った。家主は息を飲み、周囲に視線を巡らせる。そして、二人を家に招き入れた。

 家主は二人を居間に通す。二人掛のソファを勧め、自分は向かいの椅子に座った。


「突然の訪問で申し訳ありません」


「いえ、今は外部となかなか連絡がとれないので。あ、私はノーランと申します。ディラント実動部隊所属、現在はここサートミーラ王国の財務部に潜入中です」


「僕はドラゴンのソラです。これは息子のショーマ」


「初めまして、女神様の助手のショーマです」


 ショーマはここぞとばかりに女神の助手とアピールする。効果はばつぐんの様だ。


「ドラゴンに女神様の助手・・・そ、それでディラントの遣いとの事ですが、何か進展があったのでしょうか」


「ええ。僕らが捕らえられたサムさんを助けに行きます。それと、もう少ししたら撤退の指示が出そうなので身の回りの準備をお願いします」


「撤退ですか?カンテーリー国との関係は悪化の一途ですがよろしいのでしょうか」


「女神様が戦争介入を止めたから、いつ戦争になってもおかしくないんだ。だからね、サートミーラとカンテーリーにいる魔族は全て引き上げられる様に今レオンさんが調整中だよ。他の仲間にもそう伝えてくれる?」


「本当ですか!?やっと理不尽な死の恐怖から解放される!!」


 ショーマがにこやかに言えば、ノーランが喜色満面で返した。


 ―――魔道具の開発を頑張らないとね。


 ―――うん。ここまでとは思わなかったから、出来るだけ早く作れるように頑張るよ。


 ショーマのこめかみからつうっと汗が流れた。





ショーマ「矛盾してたかー」

朝木  「うん。自力で気付いて直した」焦

ショーマ「そっかそっか」


 アンズがアオイと普通に話していた(10章.1話参照)のに、ソラは魔物の言葉が聞こえない。

 その矛盾点を解消しました。


 …久し振りにやってしまった。

 たぶんモスキート音みたいな原理ですよ。

 若者にしか聞こえないやつ(/´△`\)


 しっかり確認しなくては!



 次回、旧都潜入。です。

 闘技場ってコロッセオだよね?



 応援して頂けると嬉しいです(^^)

 訪問だけでも大感謝(^^)/


 前回評価を頂いていたみたいです!

 気付かなかった(;>_<;)

 ありがとうございました!



 ※次回更新は12/6(金)です。よろしくお願いします。

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