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8―自分だけの杖




 ショーマとソラは一頻り祭りを楽しんだ後、杖を受け取るために〈杖のポンプシン〉へやってきた。


「ごめんください」


「こんにちは。あれ?また誰もいないね。こんにちはー!」


「今行きますよー!」


 奥から店主が応えた。すぐにドタドタと歩いてくる音がする。


「お待たせしましたー。おー、昨日の坊ちゃんか。杖は完成してるよ」


 店主は一度奥へ行き、革製のケースを持ってきた。


「はい。後は調整するだけだ」


 店主はケースから杖を取り出す。その杖は白銀の輝きをしたきれいな杖だった。

 ショーマとソラはその出来映えに驚いている。


「すごい!きれいだね!」


「そうだな。店主、本当に昨日の素材でこれが出来たんですか?」


「昨日の素材をすべて使っているよ。杖は世界樹の枝を主材にして、周りをドラゴンの鱗を砕いて白金と混ぜた物を塗っている。持ち手は剥いだ世界樹の樹皮を巻いて蜜蝋で保護している。素材はすごいが、見た目はあそこの銀製の杖とあまり変わらないな」


 店主は壁の杖を指して答える。


「素晴らしい出来ですが、本当に銅貨50枚で良いのですか?」


「あぁ。滅多にお目にかかれない良い素材を好きに加工させてもらったからな。銅貨50枚で良いよ。さぁ、坊ちゃん、持ってごらん」


 ショーマは店主に勧められるまま杖を手に取った。すると、ショーマの魔力がスウッと杖へ吸い込まれる。


「おぉ!すごいな!こんなに輝きを増すとは思わなかったよ!!

 さて、持ち手の所だが。うん。調整しなくて大丈夫そうだな。少し振り回してみて」


「振り回すって、こう?」


 ショーマはオーケストラの指揮者の様に杖を振る。


「そうそう。どうだ?手から抜けそうな感じは無い?」


「うん。大丈夫。手にぴったりしてるよ」


「よし、それなら大丈夫だな」


 そのままショーマは店主から手入れの方法などを指導してもらっている。ソラはいつ支払いをしようかタイミングを計っている。


「あの、そろそろ支払いをしても良いでしょうか」


 一通り指導が終わった頃、ソラは店主へ声を掛け、革袋から大銅貨1枚を取り出す。


「あぁ、そうだった。はい。確かに。何か不都合があったら、店まで持ってきてくれ」


「ありがとうございます」


「あ!おじさん!俺がこんな良い杖持ってたら盗まれたりしない!?」


 店主は手を顎に当て、考える。


「うーん。絶対に無いとは言えないな。そうだな。木の杖と相性が悪くて、魔物の骨で作ったって言えば良いよ。骨製は脆いから基本的に金属で保護してあるし、そんなに高くないから」


「わかった。そう言えば、木の杖と相性が悪いのは滅多に無いって言ってたよね?」


「滅多に無い事は確かなんだが。例えば、鍛冶師の奴らは基本的に木と相性が悪いんだ。常日頃火を使っているから。

 あ、もしかして。坊ちゃんも火に関係した事を普段からしているんじゃないかい?」


「うん。いつも狩りの野営で火起こしを担当してる」


 ショーマは設定を思い出しながら答える。


「うっかりした。だからあんなに木と相性が悪いんだな。昨日はただの町人だと思っていたから木製を勧めたけど。まぁ、そのおかげでこんな良い杖が出来たから良いか!

 坊ちゃん、こんな良い杖は滅多に無いから大事にしてくれよ!」


「うん!わかってるよ!ありがとう!」


 ショーマと店主はがっちりと握手を交わした。




  ◇◇◇




 夕食時、ショーマとソラは宿の1階にある食堂に来た。


 ソラは頼んだウサギのシチューを食べながらショーマに話し掛ける。


「そう言えば、ウィスは西部遠征から帰って来てから食に貪欲になったよな」


「そうかなー?」


 ショーマもシチューを食べながら考える。


「前はそんなに美味しい物食べたい!って言わなかったよね」


「うーん。ミツキのせいかもな。あいつに毎日料理させられてたから」


「え?ウィスは料理が出来るのか?」


 ソラは驚き、食事の手が止まる。


「まあね。肉の処理の仕方もこの前ミツキに教えて貰ったよ」


「へぇ、じゃあ自炊する?いくら生活費を貰ったとは言え、無駄遣いは出来ないし」


「そうだよねー。明日学生寮を見てから考えるよ。食事の値段も分からないし。調理道具が揃ってるかも分からないしね」


「確かに。自炊出来ると書いてあったとは言え、どんな設備があるか分からないな」


「きっとワンルーム的な感じだろうな」


「ワンルーム?なんだいそれは」


「あ、これは後で話すよ」


「なるほど、わかったよ。さぁ、冷めない内に食べてしまおう」


「うん」


 二人は食事を再開した。





朝木  「フフフ。良いこと思いつきました。呪文なんて、全部英語にしちゃえばいいんです。それだけでそれっぽくなるんです。フフフ。」

ショーマ「それは悪手だと思う!」

女神様 「そーだよ!止めた方が良いよ!」

朝木  「じゃあ、二人が考えなさいよ!」

女神様 「まさかの丸投げ!?」

ショーマ「まじか!!」


 すいません。ちゃんと考えてますよ?たぶん大丈夫です。たぶん・・・

 次回はショーマの前世に触れる予定です。


 応援して頂けると嬉しいです(^^)

 来訪だけでも大感謝(^^)/


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