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俺が魔王として女神が悪魔な世界にやって来た  作者: 朝木 花音
10女神の手伝い―準備編
150/263

8―ミスリノート3

遂に日を跨いでしまった…。


※7/7…本文大量追記しました。後書きはそのままです。




 カイは器用に片手でヒスイを抱えている。ヒスイはカイの髭を興味津々といった顔でいじくっている。アンズはカイとユキの間に挟まれ借りてきた猫状態で大人しい。そんな状況をショーマ達は向かい側から眺めていた。


「みんな今夜は泊まって行くでしょう?夕飯の用意も粗方終わっているし、寝巻きも用意してあるわ。眠くなったら2階の好きな部屋を使って良いから」


「これこれ、皆にも都合があるだろうて。都合が悪ければ遠慮はいらんからのぉ」


 泊まる事前提のユキと都合が悪ければ断って良いと言うカイ。


「ユキお義母さんのご飯食べたいっ!ねぇシドさん、泊まって行くでしょうっ?」


「急ぐ旅でも無いし、私は構わないよ」


「お義母様、ご迷惑ではありませんか?」


「そんな事は無いわよ。それに、誘っているのは私なんだから。遠慮はいらないわ」


「でしたら、お言葉に甘えさせて頂きます。ソラ、良いわよね?」


「僕は構わないよ。ショーマにかかれば帰るのは一瞬だしね」


 どうやらお泊まりが決定した様だ。


 丁度インターフォンが鳴り、リンドとツバキも合流した。カイとユキの自宅はとても賑やかだ。




 キッチンでは女性陣がキャイキャイと料理をしている。


「お義母様、これ便利ですね」


「これは“コンロ”って言う太古の魔道具でね、ここに魔力を流して点火消火が出来て火力調節も可能なのよ。さすがにここで(かまど)を使うのは無理だもの」


「ユキお義母さんっ!こっちの箱はっ?」


「それは“保温庫”と言う魔道具で、中は一定の温度に保てるの。そこの板に魔力を流して好きな温度に調節出来るわ。今は飲み物が入っているから冷たくしてあるのよ」


「サクラ、ショーマが同じ様な魔道具を作っていなかった?」


「そうね、冷蔵庫って言ってたかしら」


「へぇ。あの歳で魔道具を作るなんて、ショーマ君は頭が良いんだね。ねぇサクラちゃん。そこのお鍋を取ってちょうだい」


「はい、これですか?」


「そう!やっぱり背が高いって良いわねぇ。私小さいからいつもその踏み台が必要なのよ。羨ましいわぁ。やっぱりミドリ様が背が高いからかしら」


「そうかもしれないね。サクラはわたしのお母さん似だから」


「ねぇママ、あたしも身長伸びるかなぁ?」


「うーん。どうだろうねっ?」


「そう言えば、今度ミドリ様達もここに越してくるって言ってたのよ。みんな最後はここに集まるのねぇ。ここは至れり尽くせりだから終の棲家としては最高よ」


 一方のリビングはと言うと。


 ソラ「・・・暇だな」

 シド「そうだな・・・」


 兄弟が暇そうにぼーっとしていた。


 ショーマ、ヒスイ、カイ、リンドは街におつかいに行っている。


「グレイおじいちゃんとジエンじいちゃんはドラゴンの(おさ)なんでしょ?(おさ)って何をしてるの?」


「わしがしているのは神様会議に出たり、そこで決まった事を皆に伝えたりくらいだろうか」


「基本的には暇を持て余しておったのぉ」


「常時ミスリノート(この国)に居なくてはならないから、不人気な役職ではあるな」


「ドラゴンの(おさ)なんてものは所詮名誉職だしのぉ。ふぉっふぉっふぉ」


「そ、そうなんだ」


 あ、なんか聞かない方が憧れが消えなくて良かったかも・・・。


「ねーねー、じーちゃん!あれ!かわいーね♪」


 リンドに抱かれているヒスイが指す先には可愛らしい小動物を扱う屋台があった。


 あれ?ペットショップ?


「ジェイドには済まないが、じいさん達は近寄れないのだよ。恐怖で死んでしまうかもしれないからのぉ」


 カイは申し訳なさそうに眉を下げ、近寄れないとヒスイに教えた。


「あれ?動物って魔物化するよね?」


「基本的にはな。あそこで売っている種は魔物になる前に寿命が尽きるから愛玩様に売っているんだ」


 ショーマの素朴な疑問にリンドが答えた。


「へぇー」


「ウィスの様にドラゴンの気配を完璧に絶てれば飼うことも出来るかのぉ」


「えー。にーちゃん、いいなー」


「じゃあ今度兄ちゃんと隠蔽魔法の練習しようか」


「うん!」


 四人は無事おつかいを済ませてカイの家に戻って行った。




 その日の夕飯は豪勢で、皆腹一杯になった。




  ◇◇◇




 翌朝、ショーマ達は昨日着地した塀で囲まれた広場にいる。


「ソラ、シド、またみんなで来てくれるわよね?母さんだって寂しいんだからね?特にシド!」


「わかってるよ。これからはアンズも連れてこまめに来るから」


「はは。僕はまたすぐにショーマと来ると思う。そのときは宜しく」


 ソラ達は別れの挨拶をしている。シドはユキにもっと帰って来なさいと文句を言われている。


「ショーマ、天使様に頂いた地図はしっかり持ったか?」


「大丈夫!鞄に入れたから!」


 リンドに聞かれ、ショーマは鞄をぽんぽんと叩く。

 (くだん)の地図は昨夜、天使のカミラがカイの家まで持ってきた。カミラが来たのはショーマ達お子様が寝た後で、ユキに強引に招かれ宴会に参加したらしい。そこでべろべろに酔い同僚の天使に回収された。


 ─閑話休題─


 カミラが用意した地図はまるで辞書の様に重いが、この世界の全体図と各国の地図の最新版が綴じられている。注意事項として、絶対に人間には見せない様にとの事だ。


「あぁ!ショーマ、カイ様とユキに魔法を掛けなくて良いの?」


 ツバキが隷属魔法の事を思い出した。


「そうだった!カイおじいちゃん、ユキおばあちゃん、魔法を掛けさせて欲しいんだ!」


 ショーマは魔法の内容を説明する。


「それは隷属魔法と言う名で良いのかのぉ」


「俺も最近違う気がしてる。で、掛けて良い?」


「大した戦力になれないじいさんで良ければ掛けておくれ」


「もちろん私にも掛けてね。孫といつでも繋がっているなんて素敵!」


 ショーマはカイとユキの二人に隷属魔法を掛けた。


「さ、帰ろうか。ショーマ、先ずはマイラン岬までよろしく」


「うん!じいちゃん達、またねー!」


 ショーマの転移魔法でシドの家族と共にマイラン岬へ転移した。




 一行はマイラン岬に着く。


「じゃあ、私達も家に帰るね。ソラ、女神様の手伝いの途中で寄れるだろう?」


「ああ。最後の方になるとは思うけど行くよ。ショーマが転移出来る様になっておいた方が良いだろうからね」


「待ってるから」


 兄弟はパンっと軽く手を合わせる。


「ショーマ君、ヒスイ君、また遊ぼうね!」


「アンズおねーちゃんまたね?」


「アンズねぇちゃんも元気でね」


 子供達は握手を交わす。


「今度は私達が遊びに行くわね」


「うんっ!待ってるよっ!」


 姉妹は互いに抱き締め合う。


「じゃあまたね!」


 それぞれ別れの挨拶を交わすとシド達はドラゴンになった。ショーマ達は彼らが南東へ飛び立つのを見送ってから洞窟()へ転移した。




 ショーマ達は洞窟()へ戻ってきた。


「なんか、寂しくなっちゃったねー」


 ショーマが閑散とした広間(リビング)を見てしんみりと呟く。

 ソファセットは一つに戻り、大きな存在感を放っていた丸太のテーブルも分解され倉庫へ仕舞われてしまった。


「そうね。さ、ショーマは旅の支度をしないと!」


「そうだね!」


 ショーマはテント(など)の荷物の確認をするべく倉庫へ向かった。




  ◇◇◇




 ショーマは準備の合間に西の山にやってきた。中腹にある洞窟に入り、声を掛ける。


「ミツキー、いるー?」


『──主か。どうしたのだ?』


 奥からのそのそとミツキが現れた。


「明日から女神様からの依頼で父さんと世界各地に行くことになってさ。2、3ヶ月ここから離れるから、一応伝えておこうと思って。まぁ。ちょいちょい帰っては来るけどね」


『なるほどな。承知した。ところで、主はいつからソラ殿を父さんと呼ぶようになったのだ?』


「えっ、あ、その・・・か、家族になったからっ///」


『そうか。うん?何をもじもじしておるのだ?』


「いや、改めて他人に指摘されると恥ずかしいなって」


『ふうん?まぁ、良かったではないか』


「うん!それに親戚のドラゴンにも会ったんだ!昨日までじいちゃん達が洞窟()に来てたし、昨日、今日でおじいちゃんのとこに行ったんだよ!」


 ショーマはパァッと笑顔を咲かせて誰と何をしたとアルカン事件(ゆるい武勇伝)も挟みつつ語って聞かせた。ミツキの顔が毛皮越しでも判るほどに青ざめる。


『──ま、まさか、ドラゴン達が大勢来てたのか!?だからなのか!!』


「大勢ってかいつもより五人増えてただけだけど、どうしたの?」


『どうしたもこうしたも無い!今が冬で助かった!』


「なんで?」


『冬眠してる奴らが多いから鳥が騒ぐくらいで留まっていたが、これが起きてたら周囲は大混乱だったぞ!』


「え?」


『ドラゴン達は無自覚だから厄介なのだ!自分達が魔物だけでなく動物にも恐れられている存在だとな!個が集まればそれだけ存在感が大きくなるのだ!』


 夏場だと如何に大変なのかとミツキは滔々と語る。今度はショーマが青ざめた。


「──それは、周りの生態系が狂うね」


『ハァー、今度からは出来るだけ事前に教えてくれ。この山をまとめる者として対応する必要があるのだ』


「わかった。次から早めに連絡するよ。あと、父さんにも伝えておく」


 ショーマはミツキに意思伝達魔法の使い方を教え、洞窟()に帰った。




 ショーマは帰るなりソラにミツキからの伝言を伝える。


「そっか。それは全然気にした事が無かったな。今度からは事前に伝えるよ」


「うん。それが良いと思うよ」


 親戚(ドラゴン)を呼ぶ時には事前にミツキに伝えると言うルールが出来た。





ショーマ「はぁ」

朝木  「どうしたの?」

ショーマ「寂しくなったなぁって」

朝木  「そうだね…」

ショーマ「朝木はちょっと嬉しそうだね?」

朝木  「そ、そんなことないよー」ひゅー(口笛

ショーマ「書く人減ってラッキーとか思ってるでしょ!」

朝木  「ギクーっ!!」


 親戚達はそれぞれの生活に戻って行きました。

 ショーマはまた旅の日々です。

 旅先にはまた別の出会いがあるよ!



 次回、とりあえずディラント?です。

 魔族の国に向かいます!



 応援して頂けると嬉しいです(^^)

 訪問だけでも大感謝(^^)/



 ブックマークの追加ありがとうございます!

 亀更新ですがこれからもよろしくお願いいたします!


 次は頑張っていつもの更新時間を目指すぞー!

 おー o(T△T)o


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