31―メルカでデート
ちょっと遅くなりました。
※6/4…美人のくだり、アンズを忘れてました。
ショーマはラアイテから洞窟へ戻ると急にやることが無くなった。
ソラとシドはもう限界と昼食もそこそこにそれぞれの部屋で寝てしまった。暇潰しに狩りに行こうにも肉類はリンドが狩ってくるので充実している。買い物は先日纏めてサクラとカエデが行ってきて必要ない。ヒスイとアンズはリンドに連れられ遊びに行ってしまい不在。夕飯の仕度を手伝おうにも狭いからとサクラとカエデにキッチンから追い出された。
「あー、久々のヒマー!」
ショーマはソファに寝転がり、この時間を満喫している。
「ショーマは今暇なの?」
そんなショーマに隣で読書をしていたツバキが話し掛けてきた。
「うん!ヒマ!」
「暇なのに何故か楽しそうね?」
「問題が解決した解放感かな?あと、最近忙しかったからその反動?」
ショーマはゴロゴロと転がり全身で暇を体現している。
「それじゃあ、おばあちゃんと二人でデートしない?」
「え?良いよ!何する?」
ショーマはガバッと起き上がり、目をキラキラとさせてツバキを見た。
「ふふ。おばあちゃんね、この前メルカで飲んだソーダ水が気に入ったの。また飲みに行きたいなって思うんだけど、連れていってくれないかしら」
「俺に任せて!じゃあ、母さんに言ってくるね!」
ショーマは早速サクラにツバキと出掛ける事を伝え、了承を得ると上着を着てメルカへと転移した。
◇◇◇
二人はメルカ近くの雑木林へと転移してきた。
「やっぱりラアイテと比べてメルカは寒いなー」
「そうね。ラアイテはここより暖かい所だから、風邪を引かないように気を付けなさいね」
ツバキはそう言いながら、ショーマのマフラーを結び直す。
「ありがと!じゃあ行こっ♪」
ショーマはさっとツバキの手を取り、上機嫌でメルカの街へ歩き出した。
二人はメルカに着くなり“マルコの飯処”にやってきた。
「いらっしゃい!」
テーブルの掃除をしていたヒルダが、扉のベルを聞き大きな声を掛ける。
「こんにちは!」
「あ、ウィス君とおばあ様。いらっしゃい。今ここ片付けたからどうぞ。注文が決まったら呼んでね」
「はーい!ばあちゃん、何か甘いの食べる?」
ショーマとツバキは壁に掛けられたメニューに目を通す。
「そうねえ。ホットケーキにしようかしら」
「美味しそうだね!じゃあ俺はー、あ、スイートポテトにしよっ!
ヒルダさーん!注文お願いしまーす!」
ヒルダが注文をとり、先にリンゴのソーダ水を持ってくる。
「うん。やっぱり美味しいね」
ツバキは満足そうにコクコクと喉を潤す。
「はい、パンケーキとスイートポテトです。
そうだ、ウィス君。ソーダ水をフランツさんの所で売り出したんだよ。なんかね、気の抜けにくい新しい瓶を入手したんだって」
「ほんとに?じゃあ後で行ってみるね。情報ありがと」
「うん。どういたしまして」
ヒルダはにこりと笑うと他のテーブルから呼ばれ、はーいと元気に対応に行った。
「ばあちゃん、ソーダ水をお土産に買えそうだね」
「そうだね。これは本当に美味しいから嬉しいよ」
ツバキはにこにことリンゴのソーダ水を口に運ぶ。ショーマはパクリとスイートポテトを食べる。
「うーん、美味い!!」
さすが畜産の街メルカだよなー。このスイートポテト、バターがめっちゃ効いてる。卵、牛乳、小麦、お菓子作りに欠かせない材料が揃ってるのがポイント高いよね。あとは輸入に頼ってる甘味料を自前で調達出来ればケーキ類がもっと安くなるんだろうな。あ、でもここは交易の中継地だからそれなりに安く仕入れてるのかな。
「ばあちゃん、こっちも食べる?」
ショーマはこれも美味しいよとスイートポテトの皿をツバキに渡した。じゃあ交換ねとツバキはホットケーキの皿をショーマに渡す。
二人は傍目から見ると仲の良い祖母と孫娘にしか見えなかった。
ショーマとツバキの二人は甘味を堪能すると、フランツの酒店へ向かった。
「こんにちはー」
ショーマは酒店の入り口から中に声を掛ける。
「はーい。ちょっと待っててなー」
店の奥からフランツの野太い声が聞こえた。
「お待たせしやした。って、ウィス坊か。おいおい、今日はまた随分と別嬪さんを連れてるじゃねぇか」
「俺のばあちゃんだよ!ばあちゃん、この人が酒屋のフランツおじさん」
「初めまして、ウィスの祖母のカメリアです」
「これはこれはご丁寧にどうも。店主のフランツです。以後お見知り置きを」
はは。いくらばあちゃんが美人だからってデレデレし過ぎだよ。エリーおばさんに怒られるよ?
「コホン。ヒルダさんから聞いたんだけど、ソーダ水を売り出したの?」
「おぅ!王都のガラス職人からやっとこさ新しい瓶が届いてな。つい最近売り始めたんだ」
「へぇー!見せて見せてー♪」
フランツはちょっと待ってろと言って、会計台の裏にある地下の倉庫の扉を開けた。そして梯子を使って下りていく。
「ねぇウィス、ここはワインが有名なの?」
ツバキが壁に貼られたワインの銘柄表を見ながらショーマに聞いた。
「隣町がワインの名産地なんだよ。メルカは交易の中継地だから何でもここに集まるの」
「なるほどね」
店内を眺めつつ暫く待つと、フランツが瓶を持って上がってくる。
「お待たせ。ほら、これがソーダ水だ。土産用のがこっちの薄い色の瓶で、一般用がこっちの濃い色の瓶だ」
「何が違うの?」
「回収するかしねぇかだな。一般用の瓶はウチで引き取って再利用すんだ。返してくれたらその分金を返す仕組みでな。その瓶は特注だから高ぇんだよ」
「なるほどー。ばあちゃん、どっち買う?」
「そうねえ。お土産用の方が持って帰れるから良いかしら。あ、でも今夜みんなで飲む用にも少し欲しいね」
「そーだね。リコちゃんにも飲ませてびっくりさせないと!フランツおじさん、お土産用を2本と一般用を3本ください!」
フランツははいよと言ってまた地下へと下りていった。
「ただいまー。おや、ウィスじゃないか。うん?そちらの方は?」
「こんにちはエリーおばさん。この人は俺のばあちゃんだよ」
「祖母のカメリアです。いつもチェリーがお世話になっております」
「いえいえ、こちらこそ贔屓にしてもらってありがたいですよ」
エリーとツバキはあっという間に仲良くなり、話しに花を咲かせている。すると、店の入り口から青年がひょっこりと現れた。
「母さん、これはどこに置く?ってウィスか?大きくなったな」
「エルにぃ、久し振り!1年半振りくらい?」
「もうそんなになるか。俺が帰るのとウィスが来るのがなかなか合わないからなぁ。あ、そう言えば。母さんから聞いたんだけど弟が生まれたんだって?」
「そうなんだよ!めっちゃ可愛いの♪」
「へぇ。まぁ、あのスカイさんとチェリーさんの子だもんな。で、母さんと話してる人は?」
「俺のばあちゃん!ねぇ、ばあちゃん。この人、エリーおばさんの息子さん」
「フランツとエリーの息子のエルベルトです」
「あら、これはご丁寧に。ウィスの祖母のカメリアです」
エルベルトはツバキとの挨拶もそこそこに、ショーマを店の隅に引っ張って行く。
「──なぁ、ウィスんちって美人だらけだよな?」(チェリーさん、カメリアさん、スカイさんもだし、もちろんウィスも)
「うーん。そうかな?そうだね。うん。みんな美人!」(母さん、ばあちゃん、カエデさん、あと何百年か経てばアンズねえちゃんもだね)
「はー、羨ましいね。俺の母さんもこの街ではそこそこ見れる方だと思ってたんだけどな」
エルベルトはショーマに羨望の眼差しを向けた。
「カメリアさん、お好きなワインはありますか?」
フランツが地下から顔を覗かせ声を掛ける。
「ちょっとアンタ!そんな鼻の下伸ばしてなにデレデレしてるのさ!」
「え、エリー!?帰ってたのか!!」
「帰ってたのか。じゃないよまったく。本当に美人に目がないんだから。おまけならワインじゃなくてリンゴジュースを付けとくれ。カメリアさんはヒルダちゃんのとこのリンゴのソーダ水がお気に入りなんだってよ」
「そんなおまけなんて、お代は払わせてください」
ツバキが申し訳なさそうにエリーに言う。
「いいんだって!リンゴジュースの儲けなんて微々たるものなんだからさ!それよりこれからもウチをお願いしますよ!」
にっこり笑ったエリーの鶴の一声で、ショーマ達はリンゴジュースをただで手に入れた。
◇◇◇
その日の夕食後、ヒスイとアンズ、カエデ、シドはソーダ水を初体験する。
「わぁー!」
「ひぇ!?」
「すごっ♪」
「おぉっ!」
そんな四人の反応を見て、ショーマはとても楽しそう。
「にしし。ばあちゃん、大成功だね!」
「ふふ。そうだねえ」
ツバキは良かったねとにっこり笑った。
朝木 「ショーマって然り気無くエスコートするんだね」
ショーマ「え?普通でしょ?」
朝木 「あまり男の子っておばあちゃんと手を繋がないでしょ?」
ショーマ「そう言うもの?いくつだろうと女性は女性じゃん」
朝木 「!?」
ショーマは素でやってます。
意外と紳士的なんだねー。
(о´∀`о)
次回、閑話。です。
突破祭りの御礼です!
あ、今から書くので10時更新は既に諦めモードです…
(・・;)
応援して頂けると嬉しいです(^^)
訪問だけでも大感謝(^^)/
5/31は突破祭りでした♪(о´∀`о)
PV80,000件突破しました!
80,000人目は5/31(金)15:00台にいらっしゃったアナタです!
BM100件突破しました!
総ユニーク10,000人突破しました!
皆様の御訪問、応援に感謝でいっぱいです!
これからもよろしくお願いいたします!
♪ヽ(´▽`)/