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4―入学手続き




 ショーマとソラはラアイテの門前までやってきた。二人は門で簡単な審査(ここへ来た目的とか、犯罪者では無いとかそんなこと)を受け、街へと入る。


 ざっと街の様子を見た後、商店街近くの宿屋へやって来た。ソラは宿の主人に部屋の空き状況を確認している。


「ウィス、ちょっとこっちに来て」


「なぁに?父さん」


 ショーマはカウンターへ駆け寄る。


「2人部屋が満室で、1人部屋2つになるんだって。他の宿に行ってみる?」


「じゃあ、1人部屋1つでいいよ。父さんと一緒に寝るから。

 おじさん、枕と掛け布団だけ追加でください」


「わかったよ、お嬢ちゃん。後で部屋に持っていくね」


「俺はお嬢ちゃんじゃない!」


 ショーマは反論する。


「そうかい?それは済まなかったな坊主」


「はははは。では1人部屋を1つ、3泊でお願いします」


 ショーマは不貞腐れたままだが、ソラは気にせず宿泊の申し込みをする。


「1泊一人大銅貨1枚だ。でも坊主は枕と掛け布団だけだから3泊1枚で良いよ」


「ありがとうございます」


 ソラは女神から貰った革袋から大銅貨4枚を取り出す。


「はいよ。これが部屋のカギだ。場所は3階の手前から3番目の部屋。泊ってる間は荷物を置きっぱなしでも良いけど、一応、貴重品は持ち歩いてな」


「はい。食事は付きますか?」


「ウチは食事が無いんだよ。1階に食堂があるからそこで食べてくれ」


「わかりました」


「おじさん、後で枕と布団よろしく!」


「はいよ。あ、そうだ坊主。明後日は大通りでお祭りをやるから行ってみな」


「へぇ、そうなんだ。時間があったら行ってみるね。教えてくれてありがとう」




 二人は部屋へと上がる。


「はぁー。つっかれたー」


「ウィス、ベッドに入る前に先に水浴びしてきて。そのまま寝たら汚いよ」


「ホント、父さんって綺麗好きだよね。じゃあ、ちょっと行ってくる」


「うん。行ってらっしゃい」


 ショーマは水浴びをして、部屋へ戻る。続けてソラが水浴びをしに出ていった。

 ソラが戻る前に、ショーマは眠ってしまった。




  ◇◇◇




 翌日。二人は1階の食堂で朝食を取った後、街の東門の外にある魔法学校へ入学の手続きをしに行く。


「これが魔法学校かぁ、立派だねぇ」


「そうだね。基本的に貴族達が通う学校だから。あ、ウィス。基礎コースの門はこっちみたいだよ」


「ホントだ。しっかり入り口を別けてるんだね」


「じゃあ、入るよ」


 二人は門の守衛へ声を掛ける。

 その場で少し待つと、事務員がやって来た。彼の案内で校内へ入る。


 応接室へ入ると、ソラは事務員へ留学証明書を渡した。


「プラン王国からの留学ですね。それでは、入学の申請書に名前等の記入をお願いします。文字は書けますか?」


 事務員は申請書と羽ペンをショーマへ渡す。


「大丈夫です!ウィステリア、男、13歳っと。この区分はどうすれば良いですか?」


 区分は「商」「農」「職」「一般」となっている。


「ウィステリア君のご両親は何をされていますか?」


「えっと、猟師です」


 ショーマは設定を思い出しながら答える。


「それでは一般の区分になりますね」


「はい。──よし。書けました!」


 ショーマは記入した申請書を事務員へ渡した。事務員は記載内容の確認をする。


「──はい。確認しました。入学金は銀貨10枚になります」


「銀貨10枚ですね」


 ソラは革袋から銀貨10枚を取り出す。


「はい、確かに。では、明後日からの基礎コースに入学になります。昼の1時に教室に来てください。場所はこの地図で分かりますか?」


 事務員は書類をソラへ渡し、1枚の地図をショーマへ渡す。


「ここがさっきの門でー。はい。大丈夫です」


「それと、学生寮を希望ですね。入寮も明後日になります。朝の10時頃に門の守衛に声を掛けてください。案内の者が迎えに行きますので。

 部屋は無料ですが、食事は有料になりますので利用の際は気を付けてくださいね」


「はい、わかりました。息子をよろしくお願いします」


「よろしくお願いします」




  ◇◇◇




 二人は入学の手続きを終わらせた後、その足で学校に行く途中にあった市場へ向かう。


「父さん、買い物の前に腹ごしらえをしない?お腹減ったー」


「じゃー、あそこの屋台で買おうか」




 二人はサンドイッチの屋台へやってきた。パンが水気を含まない様に、注文後に中身を挟むタイプの店だ。


「わぉ!なんだか美味しそうな匂い!!これは鶏肉かな?」


「そうだね。こっちは魚フライみたいだよ」


「ハムも美味しそう!!迷うなー」


 ショーマは目をキラキラさせてどれを食べようかと考えている。


「ゆっくり悩んでいいよ。今日はあと買い物するだけだから」


「うーん、どうしようかなー、うーん。よし決めた!

 おじさん!鶏肉のサンドイッチを一つください!」


「それと、ハムのサンドイッチも一つください」


「はいよ。二つで銅貨6枚だ」


 ソラは革袋から銅貨6枚を取り出す。


「まいどあり!かわいいお嬢ちゃんにはお肉をサービスするよ」


「俺男だよー」


 ショーマは不貞腐れながら訂正する。


「それはすまんな。ほれ、更にサービスだ」


 店主はお肉を2倍程挟んでくれた。


「ありがとう!」




 二人は通りの脇に置いてあるベンチで食べることにした。


「これおいしいね!」


「そうだな。ウィスはお肉2倍だしね」


「うーん。俺ってそんなに女の子に見える?昨日の宿屋でも間違えられたし」


「どうだろうか。人間の感覚は良くわからないんだ。でも、最近母さんに似てきた気がするよ?」


「そうなの?ふーん」


 いや、まさかね。サクラさんとは、ホントの親子じゃないんだから。




 ◇◇◇◇◇


 魔王は私の感覚では、かわいい女の子に見える。


 これで男の子なのだから、周りは間違えても仕方が無いだろう。


 それにしても、鏡で自分の顔を見ていないのだろうか。


 ◇◇◇◇◇





 フラグを立てすぎたと反省したばかりなのに、またも立ててしまった。(^_^;)


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