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俺が魔王として女神が悪魔な世界にやって来た  作者: 朝木 花音
9魔王は巻き込まれ体質編
138/263

28―大森林の蹂躙


 ちょっと遅くなりました。


※…11/1 誤字報告修正





 結界魔法が機能し、湖では盛大な宴が催されている。とは言え、レイカーは肉を食べないのでメインは魚料理だが。


 あっちでは擬装班の大人の魔道具を子供達は羨ましそうに触っている。そっちではサクラがちょっと指導した女性陣が糸の原料について相談している。

 そして、そこかしこで笑い声が絶えなかった。


 そんな様子をショーマ達は一段上がった場所で眺めている。

 拒否するショーマをレイカー達が無理矢理上がらせた。そりゃもう、女性の泣き落としまで使う勢いで。ただ、お腹はまだ減っていないので飲み物だけ貰っていた。


「ショーマ君、私の髪をアンズの時みたいに複製してもらえないかな?」


「どうしたの、急に」


「ちょっと魔法で変装してるってバレたくない時の為にね」


「ふーん?いいよ、ほい」


 ショーマはシドの頭に右手を翳し、左手の上に複製品を作り出す。


「ありがとう。なんか、不思議なものだね」


 シドは渡された自身の髪を持ち上げたり裏返したりと観察に忙しい。地肌部分はゴムの様に伸び縮みするみたいだ。


「被ってみたらどうだ?」


 ソラが提案する。ショーマもノリノリだ。

 じゃあ、とシドは被ってみた。


「そりゃ、そーなるよね」

「そうだな・・・」


 結論から言うと、全く変わらない。


「ははは。でも、ありがとう」


 シドはカツラを被ったまま変装魔法でべっ甲色に変えた。


「さてと、ショーマ君。そろそろラアイテに行こうか」


「急になんで?」


「あぁ、カエデにお土産を買って帰らないといけないからね」


「そうなの。りょーかい」


「あ、転移魔法は無しで。たまには歩いて行こうか」


 ショーマは首を傾げつつも了承した。


 ショーマ達三人はソロン達に別れを告げると湖を出てラアイテの街を目指して歩き出した。




  ◇◇◇




 ショーマはソラとシドに連れられ、ジャルタ川に架かる橋を目指して歩いている。


「ねぇ、どうして歩いて行くの?着く頃にはもう西門は閉まってるよ?学校のある東門じゃないんだから」


 ショーマは暗くなった空を見上げながら聞いた。

 すでに夜と言っても差し支えない程の暗さだ。ショーマの手に持った杖の先のライトのみでどうにか視界を確保している状況。これもシドの指示による。


「たぶん閉まっているだろうね。でも、私達以外にもお客様が沢山いるから入れると思うよ」


 ショーマはシドの言葉の意味が分からない。困惑顔をソラに向けてみた。


「ふふっ。もうしばらくすると来るよ」


 ソラも具体的な事は言わない。


 ソラはここで良いかと今つった切ってきた拓けた場所の端にある森との境目、岩と藪で子供一人くらいなら隠れられそうな場所の前で止まった。


「とりあえず、ショーマはこの中で見学してて」


「え?」


「いや、ショーマ君には一仕事頼みたいな」


「そう?シドに任すよ」


 シドがショーマに向き合い、指示を出す。


「ショーマ君、ここからで良いから私が合図を出したら今歩いてきた向こうの森の中にライトを出して貰えるかな?松明の明かりに似た色で、等間隔に円弧を描くように複数あると嬉しいな。同時に今持ってるライトを消してくれる?」


「うん。わかった」


 明かりの確保?かなぁ。あ、松明っぽい方がいいんなら火の玉でも出しちゃおっかなぁ。実験は成功したから、きっと出来るはず!そうと決まれば、準備をしないとね。


 ショーマのみ状況がさっぱりわかっていないまま、その瞬間が刻一刻と迫る。


 ソラとシドは気配を消し、隠れたショーマを背に左右に距離をとった。


 ガサ、ガサガサ


 近くの背の低い草が不自然に揺れる。


 くいっとシドがショーマとの繋がりを引いた。


 それを合図にショーマが火を灯す。


 突然明るくなった一帯には、ショーマ達に迫る様に大量の人間が居た。


 よっしゃ!成功!!ってえ?何コレ。嘘だよね?嘘って言ってよー!


 ショーマは目の前の光景に唖然とする。


「クソッ、バレちまったか!」

「囲まれたッ!プランC、戦闘準備!!」

「手薄は前面!!かかれェェェ!!!」


 突如として開戦の火蓋が切って落とされた。


 ショーマは藪の中からそっと見学することにした。ソラとシドの心配は全くしていない。


 ソラは向かってきた剣先を鞘の表面を滑らせ逸らす。身体が傾いた所でみぞおちにガッと蹴りを放った。相手はあまりの勢いに2、3回バウンドしながら吹っ飛ぶ。そしてそのまま動かなくなった。そんな感じで作業を様に淡々と鞘に納まったままの剣で襲い掛かってきた人間を無力化していく。


 父さんは動きに無駄が無いな。あの攻撃を半歩も動かず避けるとかどこの達人なのかね。でもあれが俺の目指す所か。

 危なっ!ってそれ捌けるのぉー!?・・・俺、あそこまで辿り着けるかな。


 ショーマはソラの技量に驚愕の表情を浮かべつつ観察する。ふとシドの様子も気になり視線を向けた。


 シドは杖を構え、何かを呟いた。向かってくる人間があっという間に姿を消した。と思ったら、ドサドサと落ちてきた。どうやら空中に浮かせたらしい。空を飛ぶことのないこの世界の人間は、少し浮かされただけで気を失う様だ。

 シドはこの成果に満足そうに頷く。ペロッと唇を舐めた後にニヤリと笑った口元には八重歯が牙の如く主張していた。


 ショーマは運悪く(?)それを目撃してしまったらしい。


 ──うん。今のは見なかった事にしよう。


 ショーマは今見たものを忘れる事にしたようだ。




 ソラとシドはものの数分で大量に居た人間の無力化に成功する。ただ、至るところに男の気絶した身体が倒れているこの場所の大惨事感は否めない。


「ちょっとやり過ぎたかな。殺してはいないと思うんだけど」


 シドは口元を引き攣らせながら目の前の山を見る。


「寝不足で戦闘はしない方がいいね。抑えが緩い」


 ソラも辺りの惨状を見回してやってしまったと言う顔をしている。


「とりあえず、集めて縛って回復しとけばいい?」


 ショーマはそんな二人を呆れた顔で見つつ、確認をとる。


 ショーマは二人には言っていないが、大量の人間に囲まれたあと松明代わりに出した火の玉の手前に空気の檻を作り出していた。間違ってもレイカーの湖に向かわない様に。ここから逃げ出せない様に。

 ある意味これが一番えげつない上に容赦ない。


 ソラとシドは罰が悪そうな顔で、とりあえず集めようかと動き出した。




 ソラとシドの二人が男を集め、ショーマが空気の綱で片っ端から拘束していく。ついでに傷の深い者にはヒールを掛けた。


 そうして、拓けたこの場所には襲ってきた人間の塊がいくつか出来上がる。


「じゃあ、ラアイテの西門まで行こうか。ショーマ君、あの者達も一緒に転移魔法で移動して貰える?」


「うん、わかった。ついでにこの後の事も何となく察しが着いたよ」


「ははは。じゃあよろしく」


 ショーマ達はラアイテの西門へと転移した。





ショーマ「父さんすげー。シドさんもすげー」

朝木  「凄いよねー」

ショーマ「俺は?」

朝木  「うん?」

ショーマ「お・れ・は?」

朝木  「…フッ」

ショーマ「!?」


 ショーマはこの前魔法無制限な事が発覚したのにねー。

 もー欲しがりさんなんだから。笑



 次回、それで、君はどうする?です。

 あー!バラすの?バラすの!?

 (*/□\*)ドキドキ



 応援して頂けると嬉しいです(^^)

 訪問だけでも大感謝(^^)/



 ブックマークの追加ありがとうございます!

 とうとう見えてきた!!

 ( 〃▽〃)


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