24―ドラゴンとレイカー2
今日も遅くなりました。
※5/16…後書きにて説明を追記しました。
ショーマ達はレイカーの住む湖の畔、前日建てたテント群から少し離れた場所に転移してきた。
ショーマを先頭にぞろぞろとテント群の中心部に向かう。中央の広場には子供から大人までのレイカー達が勢揃いしていた。
『皆様、本日は御越しくださり誠にありがとうございます』
ソロンが言葉を発すると、老いも若きも一糸乱れず膝をつき頭を垂れ組んだ掌をその額に着けた。
百人近い人々が一斉に動くその光景はまるでどこぞの軍隊の様だ。
それを見たショーマは口元を引き攣らせる。
「なんでこんな?ユカリ、これどうなってるんだよ!?」
『これだけならまだマシだ。ショーマ達が朝飯抜きで来てたら宴になってたんだからな。礼だけにしろって止めたオレをちゃんと誉めろよ』
ショーマはユカリを責めるが、彼はまったく気にしない。寧ろ誉めろと言う有り様だ。
「礼だけって、これ、礼だけ!?」
『あー。お前がいつも突然やって来るから、ちゃんと挨拶出来ないってレイカーの鬱憤が溜まってるんだ。素直に受けとけ』
今回は珍しく先触れを出した為にこのような事になっているらしい。人数が多いからと先に伝えたショーマは失敗したと思った。
ショーマとユカリが言い合いしている間、比較的に人慣れしているソラとシドはこの状況を楽しんでいる。
「これは圧巻。の一言に尽きるね」
「ああ。すごいな」
「この国の王様だって、こんな大勢に一斉に傅かれる事は無いよ。合図した所で人間の反応はどうしてもバラバラだから」
「なるほど。確かにシドの言う通りここまで揃った動きはなかなか出来ないね」
「合図が音や視界的なものじゃなくて魔力だからかな?」
「うーん、そうかも。初動は反射で動いているのかもしれない」
「なるほど。さすが魔力に敏感な魔人と言ったところか」
シドとソラは冷静に明後日の話をしている。
他のドラゴンはどうしたものかと静観していた。
「父さん!シドさん!そんな分析してないでこれどうにかしてよー!これじゃ話が進まなーい!!」
ショーマは最早お手上げ状態。完全に他人事と放置中のソラとシドに助けを求めた。
レイカー達のドラゴンへの憧憬や崇拝と言った感情に負けるあたり、まだまだショーマには魔王の威厳が足りないらしい。
「とりあえず、立ち上がってはくれんか?このままだとわしらの自己紹介も出来ないからな」
リンドがあたふたとするショーマに助け船を出した。ソロンもそれは失礼致しましたと立ち上がる。
『申し遅れました。ワタシはレイカーの長、ソロンと申します』
「わしはショーマのじいさんのリンドだ。あと今はドラゴンの長をしている」
・・・は?じいちゃんがドラゴンの長??
ソロンとリンドは握手を交わした。
『まさか長自らいらっしゃるとは。ご来訪、誠に感謝致します。あの、失礼ですが、カイ様はお元気でしょうか。ワタシどもの記録にあるドラゴンの長は原初のドラゴンであるカイ様だったと思うのですが』
・・・原初のドラゴンって何だ?
「あぁ、カイ様は事故で片腕を失ってな。引退して今はミスリノートで隠居暮らしだ。でもあの方はまだまだ元気だぞ。ちなみにそこの二人はカイ様の息子だ」
リンドはソラとシドを指して爆弾発言をかました。ショーマはどんどん出てくる新情報にくらくらしている。
リンドに続きツバキ、サクラ、カエデ、アンズ、ヒスイ、ユカリと順に自己紹介をしていくが、ショーマの心中は大荒れだ。
「・・・ねぇ、父さん。俺の知らない事だらけなんだけど、全部教えてくれるよね?」
「ああ、もちろん。でも先ずは今日やることをやろう」
ショーマはソロンと打ち合わせ、昨日魔法を覚えた人にサクラと服を渡していく。該当者に行き渡ると、今度は機織・裁縫関係を覚えたい者を募りサクラを筆頭にした女性陣が指導に当たる。
アンズとヒスイはレイカーの子供達と遊んでいる。お目付け役はリンドとユカリだ。意外とウマが会うらしい。
シドはソロンと魔法陣の検証と調整に入った。
ショーマはソラを捕まえ、先程の疑問をぶつけるべく自分たちに割り当てたテントに入っていった。
何もないがらんとしたテント内にショーマが空気塊魔法と変装魔法を駆使して適当にソファを作り、二人はそこに座る。
「父さん、さっきのじいちゃんが言ってた事、全部教えて!」
「そうだね。まずはドラゴンの発生から話をしようか。
ドラゴンは女神様が造った魔物だと話したよね──・・・」
ソラの解説を纏めるとこうだ。
約7500年前のある日、女神が突然魔族の住む村にやってくる。ちなみに当時の魔族はまだ国を成していない。
今度は何だと魔族達が女神を囲む。女神の傍らには大きな卵が7つ置かれていた。
女神の説明によるとそれはドラゴンの卵。孵す為に魔力が必要なので協力して欲しいらしい。
魔族は女神直々のお願いを断れる筈もなく、日々卵に魔力を込めた。
そうして孵ったドラゴンは原初のドラゴンと呼ばれた。
原初のドラゴンは全部で七人。
赤い鱗のアカリ
緑の鱗のミドリ
黄色い鱗のキナ この三人が女
青い鱗のセイ
桃色の鱗のトオ
黒い鱗のコク
灰色の鱗のカイ この四人が男
ソラとシドの父親がカイで、リンドの前の長(初代)だった。
「・・・──僕とシドの母さん。つまり、ショーマのおばあさんはユキって名前の白いドラゴンだよ。原初のドラゴンのキナ様とコク様の子だね。ツバキさんより少し歳上かな」
「へぇー。凄い歳の差だ。3000歳くらい?」
「ドラゴンは番と添い遂げる習性があるからね。どれだけ歳の差があっても関係ないんだよ」
「なるほど。そう言えば、事故で腕を無くしたって?」
「ああ、人の身で馬車に轢かれてね。ドラゴンが何をやってるんだって話だよ。まぁ、それだけ老いたんだろう。
そう言う訳でカイはもう飛べないから、色々落ち着いたらミスリノートに遊びに行こう。ショーマは一度行けば次からは自由に行けるし、ヒスイのお披露目もしないとね」
ソラはショーマの頭を撫でる。
ショーマは疑問が解消してスッキリとした顔になった。
じいちゃんがどっちもドラゴンの長な件。てかそのカラーリング、どこの戦隊ヒーローだよ!!
ソラの解説の途中、ショーマが心の中で盛大に突っ込んだのは誰も知らない。
ショーマ「カラーリングが」
朝木 「………」
ショーマ「──ドラゴン戦隊ドラゴンジャー?」
朝木 「やめい!」
ソラによるドラゴンについての解説でした。
原初のドラゴンは七人。
女神様、なにゆえ奇数にした?
可哀想に一人溢れてるじゃない!
めっちゃ若い奥さん貰ってるけどさ!
それが同期の娘っていう。ね!
( ̄▽ ̄;)
―――
☆原初のドラゴン
七人なのは、男女の性別を程よく生み出す為。
3:4で生まれたのは女神の引きの強さ。
女神が直接作り出した魔物なので扱いは神獣。
ソラやリンドが様付けで呼んでいるのはその辺の事情から。
セイ×アカリ → リンドの親
トオ×ミドリ → ツバキの親
コク×キナ → ユキ(ソラ・シドの母)の親
カイ → ソラ・シドの父
原初のドラゴン・・・第一世代
リンド、ツバキ、ユキ・・・第二世代
ソラ、シド、サクラ、カエデ・・・第三世代
ヒスイ、アンズ・・・第四世代
―――
次回、ソロンが喋ったら。です。
とうとう喋るよ!
いや、今までも喋ってたけども?
(;・∀・)
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