20―魔人と魔族と魔道具と2
オマケ、あります。
※10/31…誤字修正しました。魔具陣の設計→魔法陣の設計
ショーマはやることが無くなりソファでゴロゴロしている。ソラから食後に魔族についての講義を受ける事になっているが、男性陣がまだ晩酌をしているからだ。
ショーマは先ほどからチラチラと目の前にある金の方を見ていたが、やっぱり気になるのか器の中を覗いた。
うーん。さすがに2色目はまだ出ないかー。
「さすがにまだだと思うよ?まだあれから1時間も経ってないんだから」
シドは金を覗き込んで気落ちしているショーマを励ました。
「あれ?早いね。もう晩酌は終わったの?」
「リンドさんがお風呂に行ったからね。ソラも片付けが終わったらこっちに来るよ」
シドはそう言いながらショーマの前のローテーブル越しの床に座った。そしてローテーブルに紙を広げ鉛筆を持つ。ショーマは興味津々でそれを見た。
「シドさんは今から何を始めるの?」
「魔法陣の設計をね。ほら、レイカーのみんなは喋れないだろう?それを補助する魔道具を作ってみようかと思って」
「おお!その問題も有ったんだった!解決出来そうなの?」
「まだ方針しか考えていないけど、遠距離の通信魔法を応用すれば出来るかな?」
「なるほどー。シドさん、よろしくお願いします!」
「任せて。でも、行き詰まったら何かないか意見を聞かせてね?」
「はーい!」
ショーマはシドの手元を眺めながらソラを待つ。
「ショーマ、お待たせ」
「あ、父さん!ここ座って!」
ショーマは自分の隣をポンポンと叩き、ソラを誘った。ソラはクスッと笑ってはいはいとそこへ座る。
「じゃあ、何から話そうか」
「魔族の成り立ちとか?シドさんの話だと、人間と魔物は出てきたけど魔族が抜けてたんだよね。魔族って昔からこの世界に居た生き物じゃないの?」
「魔族は今の女神様がこの世界を管理するようになってから出来た種族──とは違うな。集まりや纏まりと言った方がしっくりくるかな」
「種族じゃないんだ?」
ショーマは首を傾げた。
「魔族は、言葉を選ばなければ、その、雑種、なのかもしれないね」
「雑種・・・」
ショーマはソラの言葉に大きな衝撃を受けた。それを漫画で表現すれば背後にがーんと書かれていそうだ。
「ごめん。そこまでショーマが落ち込むと思わなかった。
魔族の起こりはね、強者の集まりなんだよ。だから種族という括りに無いんだ」
ソラはそう言いながら、ショーマの事を慰める。
「・・・強者の集まり?」
「そう。魔物が魔力を大量に溜めると人化出来るのは知ってるよね?」
「うん。前に女神様に聞いたよ」
「魔族は、人化して人間の振りをしていた魔物達の末裔と言った所かな」
「どういうこと?」
「人化出来る魔物はその魔力量や能力から向かうところ敵無しと言うほど強かったらしい。特に魔力が溜まりやすい肉食の魔物が多かったそうだよ。
でも、危険なものに容易く近付く様な危機管理のなっていない野生生物は居ないよね?人化出来る魔物とは他の魔物に寄り付かれない孤独な魔物達だったんだ。
肉食なのに満足に獲物を狩る事もできず、同族にすら逃げられる。そのうち同じ境遇の者同士で集まるようになり、常に人と化して人間社会に溶け込んでいったんだそうだよ。
その纏まりに属する者として彼らは魔族と名乗り始めたんだ」
「それなら魔族は魔物じゃないの?」
「最初はそうだったんだけど、その集団の中でも気の合う者同士で人間を真似て結婚したりしてね。人化している状態なら他の種と子を成す事も出来たんだよ。その子孫達が今の魔族だね」
「うーん。それって、例えば熊と狼の間に子供が生まれるってこと?」
「そうだよ。ただ、人化した魔物同士の子は魔物になれなくて。魔物から生まれた人だから亜人という括りになっている。
この前アルカンで会ったセシルさんは鳥人だっただろう?きっと彼の先祖を辿れば鳥の魔物に当たるんだよ。
最初は片方の親の特徴を継いでいたんだけど、混ざりすぎて今や生まれてみないと何が出るか判らないビックリ箱状態らしいね」
「なるほどねー。だからさっき雑種って言ったのか」
「ごめんね。ショーマがあんなにしょんぼりするとは思わなかったから」
「うん。ちょっとショックだったけど、でも俺はそもそも女神様の手違いによる竜人だったね」
ショーマは立ち直り、ペロッと舌を出した。
「そう言えばさ、俺が竜人だってエドに言ったらすっごくビックリしてたんだけど。なんで?」
「あー、それはドラゴンが他の種と交わる事が無いからだよ」
「そーなんだ?」
「ドラゴンには番に強く惹かれる習性があってね。他の魔物に目移りなんてしないんだよ」
「なるほど。ドラゴンはドラゴンにしか惹かれないから竜人が生まれる事はまず無いんだね。だから俺はこの世界唯一の竜人なんだ。
それにしても番か。父さんは母さんでシドさんはカエデさんなんだよね?」
「そうだよ。なぁシド?」
「うん?ああ、私の番はカエデだよ」
シドは手元から視線を外し、ショーマとソラ見た。
「そうなんだ。じゃあそのうちヒスイやアンズねえちゃんにも番が現れるんだね!」
「今回私がアンズを連れてここに来たのはヒスイ君の誕生を祝う事以外にそれもあるんだよ」
「へ?」
「アンズの番がショーマ君かヒスイ君じゃないかという確認だね」
「なるほどー。って俺も!?」
「そうだよ。なぁソラ?」
「ああ。ショーマがドラゴンの子だとシドから聞いたからね。ドラゴンと同じなのかな?って話になったんだよ。実際は竜人だったわけだけど。
ドラゴンと竜人が同じ性質なら、もしかしたらショーマにも番が現れるかもしれないよ?今回、アンズちゃんは番ではなかったみたいだけどね」
「へぇー。じゃあ俺のお嫁さんはドラゴンかもしれないね!」
「そうだね。でも、僕もサクラもショーマの連れてきた娘ならたとえドラゴンでなくとも反対はしないよ」
ソラはそう言うとショーマの頭を撫でた。
「ふふ、ありがと!
あれ?そう言えば、ヒスイとアンズねえちゃんは番じゃなかったの?番って言うからには、会った瞬間にビビビッて周りからも判る感じなんじゃない?」
「そう。ショーマ君の言う通りアンズの番はヒスイ君じゃなかったんだ。だからもう少し暖かくなったら他の家族の所へ行くことになるかな」
「そうなんだ。早くアンズねえちゃんの番が見つかると良いね」
「あは、ははは・・・」
「ショーマ、シドは父親だから」
「あ、そうだよね。ごめんなさい」
ショーマは不用意な発言をしてしまいシドに謝った。シドは気にしなくていいよ。と言いつつも苦笑いだ。
「あ!そうだ!金はどうなってるかなー」
ショーマは苦し紛れに話を逸らす。
さすがにまだ出ないよね?とはシド。ソラも器を覗き込んだ。
「まだみたい。でも、さっきより紫が濃くなってる気がする!」
「確かに。ならもうすぐ次の色が出るかもね。本当に考えられない速さだよ」
ソラはへぇと感心しつつ、ソファの背に凭れた。
「あ、そうだ!父さんってなんで魔族に詳しいの?」
「ああ、それは・・・」
ソラの話はまだまだ続く。
☆オマケ☆
ショーマは夕食後、少しのんびりとお茶を啜る。
今日の夕飯も美味しかったなぁ。少し食べ過ぎちゃった。
あのシチューはばあちゃん直伝の味だったんだね。俺的には肉は鳥の方が好きだけど。
あ、今度メルカで牛肉を買ってなんちゃってハヤシライスでも振る舞おうかなぁ。
ちなみに今夜の夕食の献立はゴロゴロ猪肉のたっぷり入ったブラウンシチュー、チーズがたっぷり掛かったジャガイモのグラタン、ニンジンとキャベツと鳥肉の野菜炒め、外はこんがり中はふんわりと焼かれたパン。お酒のおつまみには小魚のオリーブオイル漬け(ラアイテで購入)。
「ねぇねぇ、アンズねえちゃんは本当にニンジンが嫌いなの?」
ショーマは苦手なニンジンを今日も美味しいと食べたアンズに聞いた。
「うん。ショーマ君ちのニンジンは甘くて美味しいから食べれるよ。あたしんちの方のニンジンは苦くて美味しくないの」
「ニンジンが苦い?もしかして、もっと細くて固かったりする?」
「どうなんだろ?ママ、いつものニンジンってどんなの?」
「えっとね、もっと茶色くて、細くて、固いかなっ。あと、舌が痺れるくらい苦いっ」
「それはちゃんと野菜を売るお店で買ってる?」
ツバキがカエデに問うた。
「あ、ウチの近所に生えてるやつだよっ。抜いても抜いても直ぐに増殖するのっ」
「はぁ。たぶんそれは薬草の一種でしょうね。そんな苦いニンジンを食べさせられるアンズが不憫だよ。ちゃんと見分けられる様に教えた筈なのに」
カエデの答えにツバキは深い溜め息とともに頭を抱えた。そしてこれからは店で買う様に約束させる。
カエデさんが採ってたニンジンは高麗人参とかそんな感じのだろうなぁ。可哀想なアンズねえちゃん。
―――
ショーマ「朝木さぁ」
朝木 「な、なんでしょ!?」
ショーマ「GWに投稿しようとしてタイミング逃したっしょ」
朝木 「ドキーッ!!」
ショーマ「それ口で言っちゃう?」
朝木 「あはは。まぁ、確かに令和になったから!とか思って投稿しようとしたけど。書ききれなくて結局予定通りに今日の投稿です」
ショーマ「そんな事になる気がしたよ」
色々あって令和記念投稿は無理でしたー
波に乗りたかった…
(;・ω・)
魔族はこんな感じの集まりです。
彼らは異種間とかの常識に囚われないみたいです。
ロックな感じですねー
…ロックで良いのか?
次回、もうちょっと掘り下げて。です。
なんでソラは魔族に詳しいの?
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